第1320回 チャンピオンズリーグ、グループリーグ中盤の戦い

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■グループリーグの中盤で第1シードと対戦するフランス勢

 前回の本連載ではチャンピオンズリーグの第1節と第2節でフランス勢3チームは無敗だったことを紹介した。昨年までにチャンピオンズリーグのグループリーグを何回か取り上げてきたが、重要なのは第3節と第4節の中盤戦である。これは同じ相手とホームアンドアウエーで戦うため、連勝あるいは連敗と言うケースが多くあり、序盤戦で不調だったチームが上位に躍り出たり、逆に勝ち点を積み上げたチームが失速したりすることがある。
 フランス勢3チームの第2節終了時点の成績はマルセイユが2勝でグループFの首位、リヨンが1勝1分でグループDの2位、リールが2分でグループBの3位となっている。まずまずの成績で序盤戦を乗り切ったフランス勢であるが、マルセイユはイングランドのアーセナル、リヨンはスペインのレアル・マドリッド、リールはイタリアのインテル・ミラノといずれも第1シードとの対戦となった。
 この強豪との試合で何とか五分の成績を残しておきたい各チームであったが、フランス勢はいずれも苦戦し、序盤戦の優位は一気に崩れ去った。

■インテル・ミラノに連敗し、最下位になったリール

 リールは10月18日に第3節、インテル・ミラノをリール・メトロポール競技場に迎え撃った。グループBのもう1試合はロシアのモスクワで行われ、リールの試合が始まる前にすでに終わっており、CSKAモスクワがギリシャのオリンピアコスを下しているため、リールは暫定順位で最下位に沈んでいる。勝利を得たいリールは序盤から攻勢にでるが、21分にイタリア代表のエース、ジャンパオロ・パッツィーニのボレーシュートで先制を許す。この1点を返すことができないリールは0-1と言う最少得点差で勝ち点を逃してしまった。
 さらに、11月2日のミラノでの試合は前半にインテル・ミラノのワルテル・サムエルが先制点、さらに後半に入ってもディエゴ・ミリートに追加点を許し、2点のリードを奪われる。リールは83分にトゥーリオ・デメロが1点を返すにとどまり、中盤戦で連敗し、最下位に沈んだのである。

■1年間にレアル・マドリッドに1分3敗となったリヨン

 リヨンは昨季のチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦で1分1敗で敗れたレアル・マドリッドとの戦い、まずはアウエーでの試合となる。勢い込んでマドリッド入りしたリヨンであるが、かつてリヨンに所属していたカリム・ベンゼマに先制点を奪われ、後半に入るとオウンゴールを含む3失点、0-4となすすべもなく敗れる。
 第4節は決勝トーナメントに王手をかけたレアル・マドリッドがリヨンのジェルラン競技場を訪れる。ジェルラン競技場でリヨンは24試合連続で負けなしと言う不敗神話を築き上げたが、2週間前の大敗で気落ちしたのか、この日も元気がなく、クリスチャーノ・ロナウドが前半24分にFKから直接ゴールを決める。さらに後半に入っても白い巨人の勢いは衰えず、69分にはペナルティエリア内のクリスチャーノ・ロナウドを止めることができず、リヨンのDFがファウル、PKをクリスチャーノ・ロナウド自身が決めて2-0、リヨンは連敗し、順位を3位に落としてしまった。

■ホームの試合、ロスタイムで勝ち点を失ったマルセイユ

 連勝スタートのマルセイユは同じく連勝でスタートしたアーセナルとの首位決戦となる。第3節はマルセイユの本拠地ベロドロームで行われる。決勝トーナメント進出となる2位以内を目標とするならば、アウエーのアーセナルは引き分けを狙いたいところである。試合はその通りの展開となり、両チーム無得点のままロスタイムに、スコアレスドローかと思われた92分、途中出場したアーセナルのアーロン・ラムジーが決勝点をあげ、マルセイユはホームで痛い黒星となったのである。
 首位アーセナルと勝ち点3となった2位マルセイユは11月1日にアーセナルの本拠地ハイベリーで戦うが、この試合も2週間前の試合同様、得点機の少ない試合となる。結局スコアレスドローとなり、マルセイユは首位決戦で勝ち点1しか奪うことができず、2位に陥落する。
 このようにフランス勢は中盤戦で苦戦し、決勝トーナメントに赤信号がともったのである。(この項、終わり)

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