第1327回 チャンピオンズリーグ、グループリーグ第5節

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■挽回なるかフランス勢

 今季のチャンピオンズリーグのグループリーグについては本連載第1319回で序盤の戦い、第1320回で中盤の戦いを紹介してきた。序盤はまずまずのスタートを切ったリール、マルセイユ、リヨンのフランス勢であるが、中盤に当たる第3節と第4節は第1シードとの連戦となり、3チームともここで失速してしまう。しかし完全に希望が失われたわけではない。11月下旬に行われる第5節、さらに12月に入ってから行われる最終節での挽回のチャンスは与えられている。
 今回は第5節のフランス勢の戦いを紹介しよう。第5節はグループAからDまでが11月22日、グループEからHまでが23日に行われた。フランス勢は22日にグループBのリールとグループDのリヨンが出場、23日にグループFのマルセイユが出場する。

■背水のリール、厳寒のモスクワで快勝

 リールの所属するグループBはイタリアのインテル・ミラノが一歩抜け出しており、第4節終了時点で3勝1敗、勝ち点10で首位、インテル・ミラノを追ってロシアのCSKAモスクワとトルコのトラブゾンスポルと勝ち点5、そしてリールは勝ち点2で最下位である。リールも2位集団とは勝ち点3の差であり、残る2試合はこの2位の2チームが相手、直接対決を制すれば、決勝トーナメント進出が濃厚である。
 22日の夕方、リールはCSKAモスクワの本拠地で、氷点下8度という厳しい寒さの中、背水の陣。前日に出場すると発表された本田圭介の姿がピッチ上にもベンチにもない。人気選手の欠場で会場のルジニキ競技場は空席が目立ち、観衆はわずか1万5000人とさびしい一戦となった。一方のリールはリーグチャンピオンの意地を見せたいところである。勝ち点3を狙うリールの攻撃陣は右にイングランドのリバプールから今季加入したイングランド代表のジョー・コール、左はベルギー代表としてフランス代表と対戦したばかりのエデン・アザール、そして中央はセネガル代表で昨季リーグ得点王のムッサ・ソーと言う豪華な陣容である。そしてこの攻撃陣を支える中盤は主将のリオ・マブーバ、フローラン・バルモンが控える。人工芝の上での厳寒の戦いはリールが支配する。特に右サイドのコールはチャンスを作り、後半立ち上がりの49分、コールからの攻撃が起点となり、最後はCSKAモスクワのオウンゴールを呼び込む。さらに64分にはコールは左サイドから攻撃を仕掛け、最後はソーのゴールで2-0となる。CSKAを圧倒したリールは勝ち点を5に伸ばす。インテル・ミラノとトラブゾンスポルが引き分けたため、リールは最終戦のトラブゾンスポルとの直接対決で勝利すれば決勝トーナメント進出となる。

■ほぼ3位が確定したリヨン

 一方、残念な結果に終わったのがリヨンである。グループDは全勝のレアル・マドリッド(スペイン)、全敗のディナモ・ザグレブ(クロアチア)にはさまれ、2位アヤックス・アムステルダム(勝ち点7)と3位リヨン(勝ち点4)の争いとなっている。この試合、勝利が欲しいリヨンであったが、試合内容は全く五分、両チーム無得点のまま90分が過ぎ、ホーム、アウエーともスコアレスドローとなった。リヨンは、勝ち点差で2位と3差のままであるが、最終節でリヨンが勝利、アヤックス・アムステルダムが敗戦して、勝ち点で並んでも、得失点差で大きく差があるため、ほぼ3位が確定した。

■ホームで敗戦、3位に追い上げられるマルセイユ

 そして連勝でスタートしながらアーセナル(イングランド)との連戦で勝ち点1しかあげることができなかったマルセイユはギリシャのオリンピアコスとアウエーで戦う。グループFは混戦で首位と最下位の勝ち点差が5と差が一番小さいグループであり、2位のマルセイユは地元で最下位のオリンピアコスに確実に勝利しておきたい。ところがマルセイユはベロドロームで大苦戦、アーセナルがボルシア・ドルトムント(ドイツ)相手にリードというニュースが入る。スコアレスドローかと思われた77分、マルセイユは痛恨の失点、地元で勝ち点ゼロに終わり、2位をキープしたものの、アーセナルとの勝ち点差は4で逆転は不可能となり、3位オリンピアコスに勝ち点わずか1の差で追いあげられることになったのである。(この項、終わり)

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