第1332回 チャンピオンズリーグ、マルセイユとリヨンが決勝トーナメント進出

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2位を目指すフランス勢3チーム

 今季のチャンピオンズリーグのグループリーグについては本連載第1319回で序盤の戦い、第1320回で中盤の戦い、第1327回で第5節の戦いを紹介してきた。序盤はまずまずのスタートを切ったリール、マルセイユ、リヨンのフランス勢であるが、中盤で第1シード相手に苦戦、そして第5節を終えた段階で、マルセイユは2位、リールとリヨンは3位であるが、フランス勢の所属するグループはいずれも第1シードが独走し、フランス勢は2位争いをする展開である。最終節は12月6日にマルセイユ、7日にリールとリヨンが登場し、いずれもドラマチックな展開となった。

■敵地での直接対決で逆転勝利を収めたマルセイユ

 マルセイユのグループBはイングランドのアーセナルが首位を確定し、2位マルセイユ(勝ち点7)、3位にギリシャのオリンピアコス(勝ち点6)、4位にドイツのボルシア・ドルトムント(勝ち点4)と2位以下は混戦である。最終節でマルセイユは敵地でボルシア・ドルトムントと対戦する。マルセイユは勝利すれば、決勝トーナメント進出であるが、引き分けの場合はホームで戦うオリンピアコスの結果に依存する。さらにドルトムントに敗れれば勝ち点で並び、順位争いは混とんとしてくるが、マルセイユでの試合は3-0と大勝しているため、ドルトムントは4点差以上での勝利を狙ってくる。
 ボルシア・ドルトムントはその狙い通り、序盤からマルセイユを圧倒する。23分に先制点をあげたボルシア・ドルトムントは32分にPKで追加点、試合の3分の1が経過したところで2-0と理想的な試合展開。しかし、マルセイユは前半のロスタイムにロイック・レミーがロングのクロスボールをゴールに突き刺す。
 後半に入り、両チームは得点をあげることなく時計の針は進む。オリンピアコスがアーセナルを2点リードと言う情報、すなわち、マルセイユは勝たなくては決勝トーナメントに進出できない状況である。73分、マルセイユはレミーに代えてマチュー・バルブエナを投入、これで流れが変わる。85分にはアンドレ・アユーが同点ゴールを決め、欲しいのは勝ち越し点。その直後の87分、左サイドをバルブエナは2人抜いて右足で強烈なシュート、この3点目がマルセイユを決勝トーナメントへ導いたのである。

■スコアレスドローで共倒れとなったリールとトラブゾンスポル

 その翌日、リールのグループBの試合が行われる。グループBもグループF同様イタリアのインテル・ミラノが首位を確定、勝ち点1差の中にそれ以外の3チームがひしめく大混戦。しかし3位に浮上したリールはホームで2位のトラブゾンスポル(トルコ)との直接対決。勝った方が決勝トーナメントという明確な図式の中でキックオフされた。
 ホームのリールは一方的に攻め、シュートを浴びせるが、得点には至らない。逆にトラブゾンスポルも失点こそしないが得点のチャンスは数少ない。引き分けた場合、リールは3位以下が確定、トラブゾンスポルは3位以上となるが、ミラノでのインテル・ミラノ-CSKAモスクワ(ロシア)の結果に順位は委ねられる。そのミラノでの試合はなんと遠来のCSKAモスクワが終盤に決勝点を奪う。スコアレスドローに終わったリールとトラブゾンスポルはCSKAモスクワに抜かれ、3位トラブゾンスポル、4位リールとなり、両者共倒れとなったのである。

■奇跡の大勝で決勝トーナメントに進出したリヨン

 そしてフランス勢で奇跡を起こしたのがリヨンである。リヨンはグループDで勝ち点5の3位、2位のアヤックス・アムステルダム(オランダ)の勝ち点は8である。最終節でリヨンがアウエーでディナモ・ザグレブ(クロアチア)に勝ち、アヤックス・アムステルダムがホームでレアル・マドリッド(スペイン)に勝利すれば勝ち点で並ぶ。しかしリヨンとアヤックス・アムステルダムは直接対決で2試合ともスコアレスドロー、順位決定は得失点差となるが、最終節を迎える段階でアヤックス・アムステルダムの得失点差は+3、リヨンは-4、この7点の差があり逆転は不可能と思われていた。
 しかし、リヨンは戦闘意欲を失っているディナモ・ザグレブ相手に7-1と大勝する。そしてアヤックス・アムステルダムはホームでレアル・マドリッドに0-3の敗戦。リヨンは得失点差で上回り、マルセイユとともに決勝トーナメントに進出したのである。(この項、終わり)

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