第1362回 チャンピオンズリーグ、決勝トーナメント開始(4) マルセイユもインテル・ミラノに先勝

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■グループリーグ首位突破チームが有利な決勝トーナメント1回戦

 16チームが参加するチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦8試合は2週に分けて行われる。2月14日、15日にそれぞれ2試合、さらにその翌週の21日と22日にも2試合ずつ行われる。フランスからチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出した2チームはリヨンが初日の14日に登場し、マルセイユが最終日の22日に登場する。そしてリヨンもマルセイユもグループリーグを2位通過だったため、決勝トーナメントの1回戦はグループリーグで首位のチームと対戦し、さらに第1戦をホームで戦うことになる。グループリーグを首位で通過したチームが有利になる大会規定は、過密なスケジュールであっても、グループリーグの最後の最後まで各チームが、より良い成績を目指すことを目的としている。
 今回の決勝トーナメントの第1戦の21日までの成績を振り返ってみるならば、2位通過したホームチームの成績は4勝1分1敗である。ホームチームが勝敗では優勢であるが、4勝のうち3勝は1点差であり、2点以上の差がついたのはACミラン(イタリア)がアーセナル(イングランド)を4-0と下した試合だけであり、やはりグループリーグ首位突破チームの力を認めざるを得ない。

■2003-04UEFAカップ準々決勝ではマルセイユが連勝

 マルセイユと対戦するインテル・ミラノ(イタリア)は最終節を待たずして決勝トーナメントの首位通過を決める力のあるチームである。インテル・ミラノは前回の本連載で紹介したとおり、第二の黄金時代を築いており、チャンピオンズリーグは10年連続出場し、決勝トーナメント進出は8年連続である。
 マルセイユとミラノというとどうしても赤と黒のACミランの全盛期の対戦を本連載の読者の皆様は連想されるであろう。たまたまACミランの黄金期とマルセイユの黄金期が重なった名勝負といえるが、現在のイタリアサッカーの中心はインテル・ミラノである。マルセイユとインテル・ミラノは1度だけ欧州カップで対戦したことがある。それは2003-04シーズンのUEFAカップ準々決勝でのことである。両チームともチャンピオンズリーグのグループリーグで3位になりUEFAカップに転戦し、準々決勝で対戦し、マルセイユが2試合とも1-0と勝利している。

■最近の成績が好対照な両チーム

 それ以来2回目の対戦となる。両チームのこのところの調子は対照的であり、マルセイユは昨年11月にリーグ戦のモンペリエ戦、チャンピオンズリーググループリーグ第5節のオリンピアコス(ギリシャ)戦で連敗した後、パリサンジェルマンを下してからは15試合では負けなしであり、順位も5位をキープしている。
 一方のインテル・ミラノであるが、1月25日にイタリアカップでナポリに敗れ、国内リーグではパレルモと4-4というハイスコアの引き分けをはさみ、4連敗であり、7位まで順位を落としている。このところ6試合、勝利から見放されているが、この5敗はいずれも完封負けであり、深刻な状態であるといえる。

■アベディ・ペレの息子のアンドレ・アイェウがロスタイムに決勝ゴール

 舞台はマルセイユの本拠地、ベロドローム競技場、水色一色になったこのフランスのサッカーの都に青と黒のインテル・ミラノが乗り込んでくる。立ち上がりはホームのマルセイユが積極的に攻める。しかしゴールはならず、次第にインテル・ミラノが力を発揮し、マルセイユのゴールを脅かし始める。インテル・ミラノの攻撃を防いだのがフランス代表のサブGKであるスティーブ・マンダンダである。
 前半は両チーム無得点で後半に入る。後半に似合っても前半と同じような展開でゴールの気配はない。そして試合はロスタイムに入る。ロスタイムに入ってアフリカ選手権から帰ってきたガーナ代表のアンドレ・アイェウは2回の得点機を逃し、試合はスコアレスドローかと思われた。しかし、93分、マチュー・バルブエナの蹴ったCKをアンドレ・アイェウがゴールにたたきこんだ。父アベディ・ペレは赤と黒のACミラノ戦に滅法強く、今でもマルセイユのファンでの語り草である。そしてその息子アンドレ・アイェウのゴールで青と黒のインテル・ミラノに1-0と先勝したのである。(この項、終わり)

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