第1361回 チャンピオンズリーグ、決勝トーナメント開始(3) マルセイユ、グランデ・インテルに挑戦

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■5年連続でチャンピオンズリーグ出場となるマルセイユ

 前回までの本連載は、フランスサッカーにとって今年初めての国際試合となったリヨンとキプロスのアポエルの第1戦について紹介したが、フランスからはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出したもう1つのチームであるマルセイユを紹介しよう。昨季リーグ2位のマルセイユは、グループFの最終節でアウエーでドルトムント(ドイツ)に2点リードされながら逆転勝ちし、アーセナル(イングランド)に次ぎ2位となって決勝トーナメントに進出した。
 マルセイユは、チャンピオンズリーグになった初年度の1992-93シーズンに優勝(八百長事件でタイトル剥奪)したが、チャンピオンズリーグ出場は1999-2000シーズン(グループリーグで最下位)、2003-04シーズン(グループリーグで3位になり、UEFAカップに転戦し、準優勝)と疎遠かつ不本意な成績であった。2007-08シーズンから今季で5年連続でのチャンピオンズリーグ出場である。昨年までの4年間の成績を振り返ると、最初の3年間はグループリーグ3位でヨーロッパリーグ(UEFAカップ)の決勝トーナメントに出場、昨年はグループリーグ2位で決勝トーナメントに進出し、2年連続の決勝トーナメントである。
 18シーズンぶりの決勝トーナメントとなった昨年はイングランドのマンチェスター・ユナイテッドに敗退しており、右肩上がりの成績を残しているマルセイユとしては、今季は決勝トーナメント1回戦を突破したいところである。決勝トーナメント1回戦の相手はイタリアのインテル・ミラノである。

■1960年代のグランデ・インテル

 マルセイユに対するインテル・ミラノは1960年代にグランデ・インテルといわれ、リーグ優勝3回、チャンピオンズカップ優勝2回、準優勝1回という素晴らしい成績を残した。この時代のチャンピオンズカップにおけるインテル・ミラノの活躍はソフィア・ローレンが主演した映画「ひまわり」でも、東西冷戦下でサッカーが東西を結ぶ数少ない象徴的な存在として取り上げられている。しかし、1970年代以降はライバルACミランの後塵を拝すことになった。当時はリーグチャンピオンしか出場できなかったチャンピオンズカップは準優勝した1971-72シーズンを最後に遠ざかり、1980-81シーズンまで出場の機会はなく、リーグ戦2位以下のチームの出場するUEFAカップの常連であった。1988-89シーズンにリーグ優勝し、翌年のチャンピオンズカップに出場したものの、1回戦でスウェーデンのマルモに敗れている。前年度優勝チームとして出場したライバルACミランが優勝したのとは対照的な惨敗であった。

■2000年代になって再び訪れたグランデ・インテル

 このように1国1チーム時代はACミランやユベントスというライバルの陰に隠れた存在であったが、1997-98シーズンに1国から複数チームがチャンピオンズリーグに出場できるようになってからは、戦力も充実し、常連チームとなる。2002-03シーズン以降は連続出場し、2009-10シーズンは優勝し、1965-66シーズン以来、44年ぶり3回目の優勝を飾っている。
 そしてインテル・ミラノの躍進はチャンピオンズリーグにイタリアから複数チームが出場するようになったからだけではない。国内リーグにおいても2000年代になってからは他のライバルを圧倒し、2005-06シーズンに17シーズンぶりの優勝を果たしてからはリーグ5連覇という見事な成績を残し、昨季こそ2位になったものの、イタリアで最も力のあるクラブであるといえるであろう。

■リールに連勝して勝ち取った決勝トーナメント

 そして、今季のチャンピオンズリーグでは第1戦でトルコのトラブゾンスポルにホームで敗れるというまさかの黒星発進、しかし中盤の第3節と第4節で対戦したリールにアウエー、ホームとも勝利し、最終的には3勝1分2敗という成績でグループBを首位で突破した。ちなみに勝ち点10での首位突破は前回まで紹介したアポエルの勝ち点9に次いで少ない数字であり、フランス勢のリール相手の貯金がものを言った形になる。
 これまで数々のフランスのチームと対戦し、昨秋はリールを下したインテル・ミラノにマルセイユが挑戦するのである。(続く)

このページのTOPへ