第1453回 欧州カップ開幕(3) 歴史に残るモンペリエの初戦は果敢に攻めるが黒星スタート

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州カップで2度目のイングランド勢との対戦となるモンペリエ

 フランス勢にとって今季最初の欧州カップの本戦は、9月18日20時45分、モンペリエとパリと同時に始まった。モンペリエにはアーセナル(イングランド)が乗り込み、パリサンジェルマンはディナモ・キエフ(ウクライナ)を迎える。モンペリエが欧州カップでイングランドのチームと対戦するのはこれが2回目である。今から22シーズン前の1991年、当時のカップウィナーズカップでの準々決勝でマンチェスター・ユナイテッドと対戦する。アウエーの第1戦、オールドトラフォードでの試合を1-1のドローに持ち込んだモンペリエであるが、ホームの第2戦は0-2と敗れてしまう。ちなみにこのときのモンペリエの主将はフランス代表の前監督のローラン・ブランである。

■チャンピオンズリーグ初出場のモンペリエ

 モンペリエは今回がチャンピオンズリーグ初出場、出場32チームの中で今回が初出場というのはモンペリエ、マラガ(スペイン)、ノアシェラン(ノルウェー)の3チームだけである。一方のアーセナルは15季連続出場という常連チームである。チャンピオンズカップにはほぼ無縁であったアーセナルであるが、イングランドから複数国が出場できるようになったチャンピオンズリーグの大会形式の変更はロンドンの名門クラブに多くのものをもたらした。そして近年のアーセナルになくてはならないのがフランス人選手である。現在のアーセナルにはアブー・ディアビ、バカリ・サーニャ、ローラン・コシールニー、セバスチャン・スキラッチと新旧のフランス代表選手がそろっているが、今年は話題のフランス人が移籍してきた。現役フランス代表のオリビエ・ジルーである。ジルーは昨季モンペリエのリーグ初勝利の立役者であり、この夏にアーセナルに移籍したわけだが、チャンピオンズリーグの本戦でいきなり古巣と対戦することになった。

■果敢に攻めるが15季連続出場のアーセナルに逆転負け

 アーセナルにはジルーとディアビ、モンペリエにはマプー・ヤンガ・エムビワの合計3人のフランス代表選手が先発メンバーに名を連ねている。試合は13年ぶりの欧州カップ本戦となったモンペリエは積極的な試合を展開し、9分にはユネス・ベルハンダが先制点を入れる。しかしながら、さすがアーセナルは欧州カップの常連である。アウエーで押された試合展開の中で数少ないチャンスを得点に結びつける。16分にはジルーのパスをケルン(ドイツ)から移籍してきたルーカス・ポドルスキーがゴールに結びつける。移籍コンビの活躍でアーセナルが追いつく。さらにその直後の18分、アーセナルはブラジル人のジェルビーニョが逆転ゴールをあげる。
 序盤での逆転をアーセナルは守りきる。モンペリエはクラブ史上初めてのチャンピオンズリーグでの戦いは黒星となってしまったが、ボール保持率ではほぼイーブン、そしてシュート数では18対6と3倍のシュートを放ち、第2戦以降に希望を持たせる敗戦となったのである。

■6チームでチャンピオンズリーグに出場したズラタン・イブラヒモビッチ

 そして同時刻にキックオフされたパリサンジェルマンはシード順では格上のディナモ・キエフをパルク・デ・プランスに迎える。今季のパリサンジェルマンは昨年に続き大型補強を行う。目玉選手はスウェーデン代表でイタリアのACミランから移籍してきたズラタン・イブラヒモビッチである。イブラヒモビッチの移籍金は実に2000万ユーロ、昨年の4200万ユーロとも言われているハビエル・パストーレには及ばないものの一昔前のフランスのサッカーシーンではありえないレベルの金額である。
 イブラヒモビッチはこれまでにアヤックス・アムステルダム(オランダ)、ユベントス、インテル・ミラノ(以上イタリア)、バルセロナ(スペイン)、ACミランの5チームでチャンピオンズリーグに出場している。パリサンジェルマンはイブラヒモビッチにとって欧州挑戦の6番目のユニフォームであり、最多記録なのである。(続く)

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