第1473回 チャンピオンズリーグ第4節(2) モンペリエ、リールともアウエーで大敗

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■3位に浮上したいモンペリエ

 前回の本連載ではパリサンジェルマンがクロアチアのディナモ・ザグレブに2週間前のアウエーでの試合に続いて連勝したことを紹介したが、今回紹介するモンペリエはその逆に元気がない。昨年の得点源であったオリビエ・ジルーがイングランドのアーセナルに移籍したとはいえ、チャンピオンズリーグでは第2節のアウエーのシャルケ04(ドイツ)戦を引き分けに持ち込んだものの、連勝すれば上位に肉薄できる第3節ではギリシャのオリンピアコスに1-2と敗れている。国内リーグでも14位と下位を低迷している。モンペリエはグループリーグで3位以内に入り、年明け以降もチャンピオンズリーグあるいはヨーロッパリーグの決勝トーナメントでの戦いを継続したい。モンペリエの勝ち点は1、当面のライバルであるオリンピアコスの勝ち点は3、ここで勝利して3位に浮上し、終盤戦を迎えたいところである。

■トゥールーズからオリンピアコスに移籍したパウロ・マシャドが先制点

 しかし、このモンペリエの希望は試合開始早々に崩れてしまう。4分、今季トゥールーズからオリンピアコスに移籍してきたポルトガル代表のパウロ・マシャドが先制点を決める。マシャドはトゥールーズの前にはサンテチエンヌに所属していたが、欧州カップに出場することを希望してトゥールーズに移籍した。今回も同様に欧州カップ出場のためにギリシャリーグのチャンピオンとなったオリンピアコスに移籍し、その念願通りの活躍をした。
 モンペリエは先制点を奪われてからは、全くサッカーができなくなる。オリンピアコスが優勢のまま試合は後半に入る。モンペリエにチャンスが訪れたのは60分過ぎ、この時間帯はテンポよくモンペリエが攻撃し、オリンピアコスの選手がたまらずスレイマン・カマラをペナルティエリア内で倒してしまう。このPKをユネス・ベルハンダが決めて同点とする。しかし、その後も試合を支配したのはオリンピアコス、80分にはCKからのこぼれ球をレアンドロ・グレコ、82分にはコスタス・ミトログルが連続ゴールを決めて、3-1と突き放す。連勝したオリンピアコスは勝ち点を6に伸ばし、2位のアーセナル(イングランド)と勝ち点1差、首位シャルケ04とは勝ち点2差と上位に迫る。一方のモンペリエは勝ち点1のまま、チャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出の望みは絶たれ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出もかなり厳しくなったのである。

■3強1弱となったグループFのリール

 翌日の11月7日に登場したリールはさらに厳しい戦いとなった。ここまでチャンピオンズリーグでは3連敗のリール、第3節でバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に敗れた後、国内ではリーグ戦で連勝して順位を一桁にし、リーグカップの初戦でも勝利して、3連勝してアウエーのバイエルン・ミュンヘン戦を迎える。グループFは前半戦を終えた段階でバイエルン・ミュンヘン、バレンシア(スペイン)、BATEボリソフ(ベラルーシ)の3チームが2勝1敗の勝ち点6で並び、リールだけが3連敗で勝ち点ゼロ、リールは後半戦3試合で最低2勝はしないと3位以内も望めない。

■クラウディオ・ピサロのハットトリックなど大量失点のリール、最下位が確定

 しかし、第1シードのバイエルン・ミュンヘンとのアウエーゲームは厳しい戦いとなった。試合開始直後から黒いユニフォームのバイエルン・ミュンヘンがリールのゴールを襲う。5分にはバスティアン・シュバインシュタイガーがFKで先制、ここからこの夜の主役の背番号14が登場する。日本の宇佐美貴史がつけていた栄光の背番号を受け継いだペルー代表のクラウディオ・ピサロが、18分、28分、33分と立て続けにゴールをあげて、わずか15分でハットトリックを達成する。この間にアリエン・ロッベンのシュートがリールのDFに当たってゴールインしており、33分でバイエルン・ミュンヘンは5-0と大量にリードする。前半に5点をあげたのは本連載の読者の皆様ならばよくご存じであろう、第269回の連載で紹介したとおりモナコがラコルーニャ(スペイン)戦以来のことであり、チャンピオンズリーグのタイ記録である。
 不名誉な記録を作ってしまったリールの反撃は57分のサロモン・カルーが見事なシュートで1点を返すにとどまり、バイエルン・ミュンヘンも66分にトニ・クロースがゴールを決める。結局1-6とクラブ史上最悪のスコアで敗れたリールは第4節終了時点でグループリーグの最下位が確定したのである。(この項、終わり)

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