第1491回 欧州カップ、グループリーグ終盤戦(5) 国内首位を狙うリヨンとマルセイユ、明暗が分かれる

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■国内リーグで首位パリサンジェルマンを追走するリヨンとマルセイユ

 前回までの本連載ではフランスからチャンピオンズリーグに出場しているパリサンジェルマン、モンペリエ、リールの戦いぶりを紹介してきた。もう1つの欧州カップであるヨーロッパリーグに出場しているマルセイユ、ボルドー、リヨンの戦いについては本連載の第1468回で前半戦の最後の試合となる第3節の模様を紹介しているので、今回からは第4節以降の足取りを振り返ろう。
 第4節は諸聖人のバカンス明けの11月8日に行われたが、国内リーグでは首位はパリサンジェルマン、国内の勢いがそのまま欧州の舞台でも発揮された形になっているが、2位にマルセイユ、3位にリヨンと上位を欧州カップ出場チームが占めている。今回は第4節のリヨンとマルセイユの戦いを紹介したい。

■フランス代表の活躍で前半を2-0とリードしたリヨン

 ヨーロッパリーグのグループの前半戦を終了した時点でグループIのリヨンは3連勝、2位のスパルタ・プラハ(チェコ)に勝ち点3、3位のハポエル・キリヤット・シュモナ(イスラエル)、アスレチック・ビルバオ(スペイン)に勝ち点8の差をつけており、グループリーグ突破をかけてビルバオでの戦いとなる。
 この試合は11月8日の夜に行われたが、この日の午後、フランス協会は翌週に予定されているイタリアとの親善試合出場する代表選手を発表している。その中には3人のリヨンの選手が含まれていたが、中でも代表に復帰したヨアン・グルクフは気を良くしてこのアスレチック・ビルバオ戦に臨んだ。100年の歴史を誇るサン・マネス競技場は2万7000人の地元ファンが集まるが、前半にリヨンはリードを奪う。まず22分にはフランス代表に復帰したグルクフのFKを同じく代表に選出されたバフェタンビ・ゴミスが先制点、そして前半ロスタイムには代表に復帰したグルクフが追加点をあげて、リヨンは前半を2-0と終える。

■2点差を追いつかれるが、アレクサンドル・ラカゼットが決勝点

 名将マルセロ・ビエルサを擁しながら、ここまでわずか1分のアスレチック・ビルバオはこのまま引き下がるわけにはいかない。後半が始まって間もない48分、アンデル・エレーラがまず1点を返し、55分にはアリツ・アドゥリスが同点ゴール、試合の行方は分からなくなった。ここで決勝点を奪ったのはリヨンだった。アレクサンドル・ラカゼットが63分にゴール前の混戦からゴールネットを揺らす。1点のリードを許したアスレチック・ビルバオは攻撃に重点を置いて残り30分弱攻め続けるが、大きな壁となったのがリヨンのGKのレミ・ベルクートルである。ベルクートルは昨季まではフランス代表の正GKのウーゴ・ロリスの陰に隠れていたが、今季はレギュラーとしてゴールを守り、この日もアスレチック・ビルバオのシュートをセーブし続けた。この結果、リヨンはグループIで4連勝、2試合を残して決勝トーナメント進出を決める。

■ボルシア・メンヘングランドバッハ相手に痛恨のドローとなったマルセイユ

 さて、国内ではリヨンよりも首位に近いポジションにいるのがマルセイユである。1試合消化試合が少ないながらもパリサンジェルマンと勝ち点で並んでいる。しかし、ヨーロッパリーグではグループCで初戦はフェネルバフチェ(トルコ)とアウエーで引き分け、第2節でAELリマソル(キプロス)に大勝し、リズムをつかんだに思えてが、第3節はドイツのボルシア・メンヘングランドバッハに0-2と敗れ、ボルシア・メンヘングランドバッハに勝ち点で並ばれ、得失点差で3位に沈んでいる。第4節はホームに迎え、ライバルを突き放したいところである。ブノワ・シェイルーのミスに付け込まれ先制点を22分に奪われたマルセイユであるが、後半に入り、54分にジョーイ・バートンが同点ゴール、67分にジョルダン・アユーが逆転ゴールを決め、筋書き通りの展開となる。
 しかし、後半ロスタイム、ベロドロームには一足早い寒波がやってきた。91分、ベネズエラ代表のファン・アランゴがマルセイユのゴールネットを揺らす。ロスタイムに失点により、2-2の引き分けとなるが、マルセイユとしてはライバルのボルシア・メンヘングランドバッハとの直接対決で1分1敗と負け越してしまったのである。(続く)

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