第1492回 欧州カップ、グループリーグ終盤戦(6) 若手が活躍するリヨン、国内外で不調のマルセイユ

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■18歳のCFヤシン・バンジアが公式戦初ゴール

 国内で首位パリサンジェルマンに迫る勢いのリヨンとマルセイユ、11月8日に行われた第4節では、アウエーで競り勝って決勝トーナメント進出を決めたリヨン、ホームでロスタイムに同点ゴールを奪われたマルセイユと明暗が分かれた。
 その後の両チームであるが、リヨンは国内で3番目のタイトルであるリーグカップも10月31日に行われた初戦でニースに敗れており、当面の目標はリーグ戦でパリサンジェルマンに追いつき、追い越すことである。順調に白星を重ね、11月中旬には1試合未消化のままで首位を奪う。
 第5節はスパルタ・プラハとのチェコでのアウエーゲーム、リヨンは若手中心のメンバーで臨む。前半は無得点であったが、後半開始早々に得点を決めたのは、18歳のCF、ヤシン・バンジアである。リーグ戦でもまだ得点をあげたことのない若者が、公式戦初ゴールをプラハの地で決めた。試合は結局、この直後にリヨンは追いつかれ、1-1のドローとなったが、バンジアを含め若い選手にとっては貴重な経験を積むことができた。

■公式戦初出場初得点となったストッパーのムハマド・サール

 そしてそのアウエーでのスパルタ・プラハ戦の経験が最後のハポエル・キリヤット・シュモナ(イスラエル)戦でも生きた。この試合も先発メンバーは若手中心であり、ストッパーにはこの日が公式戦のデビュー戦となる19歳のムハマド・サールが入る。またCFはリーグ戦では交代出場しかしていないバンジアがスパルタ・プラハ戦に続いて先発し、本拠地ジェルランでの試合で初先発となる。そしてこの試合の先制点は15分、ハポエル・キリヤット・シュモナのクリアミスを拾ったミシェル・バストスがクロス、このときゴール前に上がっていたのがストッパーのサールであり、ヘディングで先制点を奪う。プロの試合で初先発初得点というだけで珍しいがストッパーが欧州カップでこのような記録を残すことはまれであり、サールは強運の星の下に生まれているのかもしれない。この19歳の先制ゴールに触発されたのか、リヨンの追加点はバンジアであった。ロングパスから角度のないところから得点を決め、若手主体のリヨンは2-0と難なく勝利、グループリーグ5勝1分と無敗で首位突破を決めたのである。

■フェネルバフチェに勝たなくてはならないマルセイユ

 一方、第4節で勝ち点を1しか加えることのできなかったマルセイユは国内でも調子を落とした。ホームのニース戦は引き分け、アウエーのボルドー戦では負け、第4節と第5節の間の国内リーグ2試合で勝ち点わずかに1、第5節はホームにトルコのフェネルバフチェを迎える。この第5節が行われる段階のグループCの順位は首位フェネルバフチェ(勝ち点10)、勝ち点5でボルシア・メンヘングランドバッハとマルセイユが並び、AELリマソル(キプロス)は勝ち点1となっている。フェネルバフチェはあと勝ち点1で決勝トーナメント進出であり、注目は2位争いである。
 そしてもしも勝ち点で並んだ場合は直接対決の成績が第一優先であり、マルセイユはボルシア・メンヘングランドバッハと勝ち点で並んだ場合は決勝トーナメントにたどり着けない。お互いにAELリマソル戦は勝ち星が計算できることから、フェネルバフチェ戦は勝利しなくてはならないであろう。

■オーバーヘッドキックの一撃で沈没したマルセイユ

 国内外で調子を落とし、国内リーグでも4位まで順位を落としたマルセイユに対してファンは冷たい。ベロドロームに集まった観衆はわずか1万5000人、その熱心なファンの前でマルセイユは欧州の道を閉ざされてしまった。マルセイユは積極的に攻めるがどうしてもゴールに結びつかない。逆に40分、フェネルバフチェのストッパーのベルテ・イルテギュンが見事なオーバーヘッドキックでスティーブ・マンダンダの守るゴールを突き破る。この1点をマルセイユには重くのしかかり、0-1と負けてしまう。グループCのもう1試合ではボルシア・メンヘングランドバッハがAELリマソルに順当勝ちする。最終戦でマルセイユが勝利してもボルシア・メンヘングランドバッハに勝ち点で並ぶにとどまり、この時点でマルセイユの敗退が決まった。
 マルセイユはさらに調子を落とし、国内リーグでは延期となっていたホームのリヨン戦で1-4と大敗しただけではなく、消化試合とはいえ、最終戦のAELリマソル戦は戦意を喪失し、枠内シュートゼロ、0-3と完敗してしまったのである。(続く)

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