第1527回 ボルドー、ベンフィカに敗れる(3) ヨーロッパリーグからフランス勢が姿を消す

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■国内リーグ4連敗で迎えたバスティア戦

 アウエーの大観衆の中で試合を組み立て、ベンフィカを上回るシュート数を記録しながら、クロスバーに当たったシュートがGKの手に当たりオウンゴールとなるという不運な結果になった第1戦、ワインの都ボルドーはさすがに沈んだ。
 ボルドーにとってつらいのはリスボンでの敗戦から3日後に国内リーグ戦が行われるということである。前回までの本連載で紹介した通りボルドーは国内リーグでは4連敗中であり、順位を4位から10位まで落としてしまった。
 3月10日の第28節の相手はバスティアである。現在13位のバスティアであるがボルドーにとって幸いだったのはホームゲームであるということである。もちろん、ウクライナのキエフやリスボンという国外への遠征に続き、コルシカ島への遠征が選手にとって負担となるのは事実であるが、それよりもこのところのコルシカ島でのサッカーファンによる相次ぐ事件から逃れることがボルドーにとって幸運であろう。

■ファンのトラブルが続くコルシカ島

 地中海に浮かぶコルシカ島、独特の文化を構築し、熱くなる島民性はこの島のサッカー熱を支えてきた。人口わずか31万人の島でありながら、プロチームだけで1部のバスティア(SCバスティア)とアジャクシオ(ACアジャクシオ)、2部にはGFCアジャクシオと3つ存在する。そしてナショナルリーグにはCAバスティアが所属している。いずれも財政的には小規模なクラブであり、国内リーグ優勝の経験はないが、ファンは非常に熱心である。
 コルシカのクラブというと1992年のフランスカップの準決勝でマルセイユを迎えるバスティアのフリアニ競技場でのフリアニの悲劇が忘れられないが、これは人気チームのマルセイユを迎えるために設置された仮設スタンドが崩れ落ちたためであり、ファン同士の争いではなかった。この2年ばかりコルシカ島内で行われるサッカーの試合でファンのトラブルが絶えず、ホームゲームの開催中止や勝ち点の剥奪などの措置が講じられている。3月に入って1日の2部リーグGFCアジャクシオ-モナコ戦、翌日の1部のバスティア-アジャクシオ戦でも大がかりな事件が起こり、アウエーチームが試合に集中できる状況ではない。

■バスティアに1-0、1月半ぶりの国内リーグ戦勝利

 ボルドーで行われたバスティア戦、多くの選手を累積警告で出場停止となるバスティアに対し、ボルドーは攻め続ける。しかし、このところ極端な得点力不足に悩むボルドーは前半無得点で終える。このまま無得点かと思われたが、56分、真理代表のシェイク・ディアバテがクロスボールをシュートし、先制点をあげる。結局この1ゴールでボルドーはリーグ戦では2月2日以来の勝利をあげ、4日後のベンフィカ戦を迎えたのである。

■決定力を欠くボルドー、ホームでも2-3で敗れる

 シャバン・デルマス競技場はほぼ満員の観衆で埋まる。この試合も果敢に攻めたのはボルドーであったが、決定力不足に泣く。そして29分にベンフィカに先制点を許す。ボルドーは残り1時間で3得点が必要になった。ボルドーは枠をとらえたシュートを放つことができなかったが、後半に入りようやく74分、ディアバテが強烈なシュートを放ち、1-1、2試合通算では1-2と迫る。しかしベンフィカはすかさず途中出場のパラグアイ代表のオスカル・カルドソが勝ち越し点を1分後に決める。再びあと3点が必要なボルドーは試合をあきらめず、試合終了間際の90分にはサイベのヘディングシュートをベンフィカのGKがはじいたところを、ベンフィカのDFがオウンゴール、しかしベンフィカはその直後にカルドソが決定的なゴールを決め、3-2で勝利し、2試合通算で4-2となり準々決勝に進出したのである。
 この結果、期待されたヨーロッパリーグでフランス勢はすべて姿を消し、欧州の舞台に残っているのはチャンピオンズリーグに出場しているパリサンジェルマンだけとなったのである。(この項、終わり)

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