第1537回 バルセロナ-パリサンジェルマン第2戦 (1) パスのバルセロナ、シュートのパリサンジェルマン

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パスで試合を支配したバルセロナ

 バルセロナ(スペイン)が前半終盤に先行し、パリサンジェルマンが一旦追いつくものの、試合終了間際にPKを献上し、勝ち越し点を奪われる。しかしながらロスタイムの94分に起死回生の同点ゴール、2-2というスコアはホームチームとしては目論見通りではないかもしれないが、試合展開については引き分け以上の価値のある結果となった。
 この試合をスタッツで振り返ってみるとパリサンジェルマンのボール支配率は33%に過ぎない。逆にバルセロナは67%のボール支配率であったわけであるが、このボール支配は主にパスによるものであり、パリサンジェルマンのパスは304本(うち成功は242本で成功率80%)、一方のバルセロナのパスは倍以上の658本(成功は598本で成功率は91%)である。パスによってボールが移動しており、ボール支配率よりも一方的な試合に感じられた。

■シュート数はほぼ互角の両チーム

 しかし、シュート数に着目するならば興味深いことがわかる。これだけパスを回し、試合を支配したバルセロナのシュート数が15本、パリサンジェルマンはそれよりも1本少ないだけの14本である。さらに枠内シュートについていえば両チームとも5本で同数である。そして得点数は同じであるが、バー、ポストをたたいたシュートはパリサンジェルマンは2本(うち1本はズラタン・イブラヒモビッチの得点に結びついている)、バルセロナはゼロである。
 バルセロナにボールを支配された試合でありながら、パリサンジェルマンがゴール前までボールをつなぎ、イブラヒモビッチという絶対的なエースを中心にゴール前の戦いに持ち込んだということは大きな自信であると言えよう。 また、バルセロナは小柄な選手が多いが、1対1の競り合いでパリサンジェルマンがバルセロナを圧倒していたということも言及すべきであろう。逆に1対1の競り合いを避けるためにバルセロナはパスをつなぐサッカーを志向した。 このように、両チームがそれぞれの長所を出した試合であったことは高く評価できるであろう。

■出場停止、負傷で多くの選手を欠く第2戦

 この試合を裁いたのはドイツ人のウォルフガング・シュタルク氏、日本のJリーグも招聘審判として、何試合か笛を吹いているので日本の皆様もよくご存じであろうが、厳格なジャッジで知られる。決して荒れた試合ではなかったが、両チーム4枚ずつのイエローカードが飛び交った。この結果として、パリサンジェルマンはロスタイムの同点ゴールを決めたブレーズ・マツイディが累積警告で出場停止となる。
 さらに、パリサンジェルマンはブレーズの代役の守備的MFのチアゴ・モッタが負傷で第2戦も欠場は決定的、第1戦で負傷したアレックス、チアゴ・シウバは4月6日のリーグ戦のレンヌ戦を回避、第2戦の出場も微妙である。
 一方のバルセロナは累積警告による出場停止はないものの、第1戦のハーフタイムで退いたリオネル・メッシだけでなく、ペドロ・ロドリゲス、アドリアーノも同様に4月6日の国内リーグのマジョルカ戦を欠場、第2戦の出場も最後の最後までわからない。さらに第1戦の終盤に負傷退場したハビエル・マスチェラーノは今月一杯は戦線離脱、カルレス・プジョルもまだ復帰はできないという状況であり、両チームとも多くの選手を欠いた中で第2戦が行われる。

■エリック・アビダル1年ぶりに復帰、週末のリーグ戦では両チームとも快勝

 逆に、フランス代表の名DFであるエリック・アビダルは、昨年春に肝臓の移植手術をして長い間戦線から離脱していたが、マジョルカ戦でほぼ1年ぶりの復活を果たしている。
 ちなみに両チームとも第1戦と第2戦の間の国内リーグ戦ではパリサンジェルマンはアウエーでレンヌに2-0と勝利、バルセロナはホームでマジョルカに5-0と快勝している。パリサンジェルマンはジェレミー・メネスとイブラヒモビッチが得点、バルセロナはセスク・ファブレガスがハットトリック、アレクシス・サンチェスが2得点と期待されるべき選手が得点している。
 カンプ・ノウでの第2戦も素晴らしい試合になることを期待したい。(続く)

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