第1536回 パリサンジェルマン、バルセロナと第1戦はドロー(4) ラスト5分のドラマ、パリサンジェルマン追いつく

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■組み合わせ決定直後からチケット売り場に行列

 4月2日、いよいよチャンピオンズリーグ準々決勝のパリサンジェルマン-バルセロナ(スペイン)戦の第1戦がパルク・デ・プランスで行われた。組み合わせ抽選が行われた3月15日の午後には早くもチケット売り場に列ができた。さらにパリサンジェルマンはバルセロナ戦とバランシエンヌ戦(第35節)、バルセロナ戦とブレスト戦(第37節)を組み合わせたチケットを販売した。

■先発メンバーに名を連ねたデビッド・ベッカム

 パリサンジェルマンの先発メンバーの中で最大の驚きはデビッド・ベッカムの先発出場であろう。マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)、レアル・マドリッド(スペイン)、ACミラン(イタリア)とビッグクラブに所属し、米国のロサンジェルス・ギャラクシーから今年の初めにパリサンジェルマンに移籍してきた38歳である。2月24日のマルセイユ戦に交代出場してフランスリーグにデビューしたが、ここまでリーグ戦に出場した6試合のうち先発は1試合だけ、しかもフル出場はない。
 名将カルロ・アンチェロッティ監督のベッカム起用の意図は2点、メンタル面ではバルセロナに比べてチャンピオンズリーグなどのビッグゲームの経験の少ないメンバーの精神的支柱となること、戦術面では守勢に回る試合展開が予想されることからベッカムの精度の高いロングパスでの攻撃をもくろむことであろう。

■ボールを支配するバルセロナ、果敢にシュートを打つパリサンジェルマン

 バルセロナのキックオフで始まった試合は開始から2分近くバルセロナがボールを支配し、パリサンジェルマンの選手はボールに触ることができないという予想通りの展開となった。堅守が伝統のパリサンジェルマンはブレーズ・マツイディとベッカムが守備的MFを組み、数少ないチャンスを攻撃に結び付け、最初のゴールチャンスを5分に演出した。また、バルセロナのパスで試合を支配されながらもパリサンジェルマンは攻撃をシュートまで結びつける。しかし先制点はバルセロナであった。38分にCKをパリサンジェルマンのDFがクリアしたボールをダニエウ・アルベスが浮き球でゴール前に、その落下地点に走り込んだのがリオネル・メッシであった。ダイレクトのシュートにパリサンジェルマンのサルバトーレ・シリグも及ばず、均衡が破れる。
 しかしメッシは負傷し、前半でピッチを去る。後半も中盤まではバルセロナが前半同様の展開で試合を支配する。2006年以来、欧州カップのホームゲームで23戦連続無敗という記録を持つパリサンジェルマンは選手を次々と入れ替える。フレッシュな選手が走り回りゲームの流れをパリサンジェルマンに引き寄せる。79分にはFKをチアゴ・シウバがヘディングでシュート、このシュートがポストに当たり、跳ね返ったボールをゴールに押し込んだのはズラタン・イブラヒモビッチ、当時の監督とうまくいかず、いい思い出のなかった古巣相手に決めたゴールでパリサンジェルマンは追いついた。

■ラスト5分に双方がゴール、パリサンジェルマンが追いつきドロー

 時計の針は進み、90分になろうかとしていた時、パリサンジェルマンのペナルティエリア内でシリグがアレクシス・サンチェスを倒してしまい、PKを与える。このPKをシャビが決めて、バルセロナが勝ち越す。
 これで勝負あったかと思われたが、ロスタイムの表示は4分。94分にクリストフ・ジャレの右からのクロスをイブラヒモビッチがヘディングで落とし、ブレーズが左足で強烈なシュート、シュートコースにはバルセロナのDF2人とGKがいたが、とめることができず、ゴールネットが揺れ、バルセロナのGKビクトル・バルデスが崩れ落ちる。パリサンジェルマンの土壇場の同点ゴールと共にホイッスルが鳴らされ、パリサンジェルマンはドローに持ち込み、本拠地パルク・デ・プランスでの無敗記録を24に伸ばし、翌週のバルセロナでの戦いに臨むのである。(この項、終わり)

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