第1640回 チャンピオンズリーググループリーグ終了(3) マルセイユ、屈辱の6戦全敗

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■無敗のパリサンジェルマン、全敗のマルセイユ

 前回の本連載で紹介した通り、チャンピオンズリーグに参戦したフランス勢は最終節を待たずして順位が決まり、グループCのパリサンジェルマンは首位で決勝トーナメントへ、グループのマルセイユは最下位で敗退となる。グループリーグ最終戦となる第6節は12月10日と11日に行われたが、ファンの関心は両チームが最終戦も第5節までと同じ結果になるかである。

■2位争いのかかったベンフィカに逆転負けしたパリサンジェルマン

 フランス勢で先に登場したのは、グループCのパリサンジェルマン、アウエーでベンフィカ(ポルトガル)との対戦である。グループCの2位争いはベンフィカとオリンピアコス(ギリシャ)が勝ち点7で並んでいる。同勝ち点の場合は直接対決の成績で順位を決定するため、1勝1分で勝ち越したオリンピアコスが優位な位置にある。2位争いをするベンフィカとオリンピアコスはいずれも最終戦をホームで迎える。ベンフィカにとってはホームでパリサンジェルマンに勝利することが、決勝トーナメントへの道である。ギリシャのピレウスとポルトガルのリスボンで20時45分に同時にキックオフされる。
 ベンフィカとの一戦は明らかにモチベーションには差があり、ベンフィカがホームの大観衆の声援に押され、試合を支配し、しばしばパリサンジェルマンのゴールを襲う。しかしながらパリサンジェルマンの守備陣が守り、逆に37分にエディソン・カバーニがジェレミー・メネスからのクロスをゴールに流し込んで先制する。
 パリサンジェルマンは若い選手も起用したが、この日がプロのデビュー戦となったカリファ・トラオレが経験の少ないところを露呈してしまう。前半終了間際にペナルティエリア内で不用意なファウル、これでPKを献上し、ベンフィカのリマが決めて同点になる。後半もベンフィカペースで試合は進み、58分にガイタンがゴール前でパリサンジェルマンのDFのクリアボールをゴールに入れて勝ち越す。結局、パリサンジェルマンは最終節で黒星がついてしまう。一方の逆転勝ちを収めた地元のベンフィカであるが、ギリシャでの試合でオリンピアコスがアンデルレヒト(ベルギー)を3-1で下したため、グループ3位にとどまり、ヨーロッパリーグに転戦することになった。

■3強1弱のグループF、暫定監督にジョゼ・アニーゴ

 その翌日、マルセイユはボルシア・ドルトムント(ドイツ)を迎える。グループFは3強1弱、最終節を迎える段階でアーセナル(イングランド)が4勝1敗で勝ち点12、そしてボルシア・ドルトムントとナポリ(イタリア)が3勝2敗で勝ち点9で追っている。上位3チームのいずれも1位から3位までの可能性がある。したがって、ボルシア・ドルトムントはベストメンバーでマルセイユ入りする。
  一方のマルセイユは国内リーグでも順位を下げ、エリ・ボー監督を解任、スポーツディレクターのジョゼ・アニーゴが暫定監督となる。これまで2回監督の経験のあるアニーゴの初戦、6戦全敗は避けたいところである。ボルシア・ドルトムントはナポリとは直接対決で優っているため、ナポリと同じ結果であれば決勝トーナメント進出が決まる。

■マルセイユ、9チーム目となる6戦全敗で日程終了

 ボルシア・ドルトムントは4分にロベルト・レバンドロフスキが先制点を簡単に決める。このままでは6連敗となるマルセイユは14分にスレイマン・ディアワラがバーに当たったシュートの跳ね返りをシュートし、同点に追いつく。試合はこのままボルシア・ドルトムントがボールを支配したまま、タイスコアで終盤を迎える。もう1つのナポリでの試合はスコアが生まれず、このままでいくとボルシア・ドルトムントは2位に入り込む。ところがナポリでは73分、ゴンサロ・イグアインが先制点、ここでボルシア・ドルトムントはギアをシフトする。そして87分のケビン・グロスクロイツのゴールでボルシア・ドルトムントが勝利、マルセイユは6戦全敗で日程を終える。
  現在の大会形式になった2003-04シーズン以降、6戦全敗は9チーム目のことであり、欧州後大リーグのチームとしては2011-12シーズンのスペインのビジャレアル以来2チーム目という不名誉な成績となったのである。(この項、終わり)

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