第1791回 チャンピオンズリーグ終盤戦(3) レバークーゼンにアウエーで勝利したモナコ

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1強3弱で終盤戦を迎えるグループC

 前々回と前回の本連載ではチャンピオンズリーグのグループFでスペインのバルセロナと首位争いを演じたパリサンジェルマンについて紹介したが、今回はグループCのモナコについて紹介しよう。
 グループCは混戦気味であり、本連載第1759回から第1761回で紹介した通り、序盤ではロシアのゼニト・サンクトペテルブルクとモナコが1勝1分で優位に立ち、1勝1敗のドイツのレバークーゼン、2敗のポルトガルのベンフィカをリードする。ところが、中盤戦でモナコはベンフィカ、ゼニト・サンクトペテルブルクはレバークーゼンと連戦し、モナコは1分1敗、レバークーゼンが連勝したことを本連載第1773回と第1774回で紹介した。
 この結果、グループCはレバークーゼンが勝ち点9で首位となり、それを追う形で勝ち点5のモナコ、勝ち点4のゼニト・サンクトペテルブルクとベンフィカという1強3弱の構図となって終盤戦を迎えることになった。

■試合前にゼニト・サンクトペテルブルクの勝利で決勝トーナメント進出を決めたレバークーゼン

 グループCの第5節はグループFの翌日の11月26日に、サンクトペテルブルクでゼニト・サンクトペテルブルク-ベンフィカ戦が18時キックオフ、そしてレバークーゼンでレバークーゼン-モナコ戦が20時45分にキックオフされた。北緯が高く、さらに東方にあるロシアの試合は18時キックオフである。この時点で残り3チームをリードするレバークーゼンであるが、レバークーゼンがこの第5節で決勝トーナメント進出を決めるには2つの可能性がある。まず、モナコ戦で引き分け以上の成績を残すことである。そしてモナコ戦で負けた場合でもゼニト・サンクトペテルブルクがベンフィカ相手に引き分け以上なら2位以内に入ることが確定する。
 すなわち、18時キックオフの試合でレバークーゼンは決勝トーナメントが決まってしまう可能性がある。このサンクトペテルブルクでの試合、レバークーゼンのファンの期待通りの試合となった。ペトロフスキー競技場は1万4000人とさびしい観客数であったが、ホームのゼニト・サンクトペテルブルクがゲームを支配する。そして終盤の79分にゼニト・サンクトペテルブルクが主将のダニーがゴールを決める。この得点が決勝点となり、レバークーゼンの決勝トーナメント進出とベンフィカの3位以下が決定したのである。

■古巣レバークーゼン相手に素晴らしいプレーを見せたディミタール・ベルバトフ

 試合前に決勝トーナメント進出を決めたレバークーゼンの本拠地バイアレナ、祝勝ムードの中でのキックオフとなる。試合はホームのレバークーゼンがボールを支配するが、モナコもここまで4試合で失点はわずか1であり、レバークーゼンの攻撃をしのぐ。モナコは数少ないチャンスの中で戦うこととなる。モナコのこの日のフォーメーションはディミタール・ベルバトフの1トップである。ベルバトフは元ブルガリア代表でブルガリア代表として最多得点を記録しているが、この英雄が母国の名門CSKAソフィアを離れて初めて所属した国外のクラブがレバークーゼンである。2001年から2006年までのレバークーゼン生活では2002年にチャンピオンズリーグ準優勝という輝かしい記録を残しており、レバークーゼンのファンにとっても英雄である。 その英雄が敵としてこのバイアレナに戻ってきたが、ベルバトフは古巣相手の試合で随所に素晴らしいプレーを見せた。

■終盤にルーカス・オカンポスのゴールでモナコが勝利

 この試合唯一のゴールが生まれたのは72分のことであった。右サイドでベルバトフからボールを受けたナビル・ディアルがクロスをあげる。このクロスを途中出場したばかりのルーカス・オカンポスがゴールを決める。
 終始劣勢だったモナコはこの1点でアウエーでの勝利をつかむ。この結果、グループCは首位レバークーゼン(勝ち点9)、2位モナコ(8)、3位ゼニト・サンクトペテルブルク(7)、4位ベンフィカ(4)となったのである。(続く)

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