第1790回 チャンピオンズリーグ終盤戦(2) 直接対決を制したバルセロナが8年連続首位突破

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■最終節で首位を決する直接対決

 終盤を迎えたチャンピオンズリーグのグループリーグ、パリサンジェルマンとバルセロナ(スペイン)が早々と決勝トーナメント進出を決めたグループFの注目は首位争いである。前回の本連載で紹介したように第5節でパリサンジェルマンはオランダのアヤックス・アムステルダム相手に3-1と快勝、なかでも9月以来ゴールから遠ざかっていたエースのズラタン・イブラヒモビッチのゴールは最終節でのバルセロナとの直接対決に何よりも心強いことである。

■チャンピオンズリーグで通算最多得点となったリオネル・メッシ

 バルセロナは第5節はアウエーでのアポエル・ニコシア戦である。アウエーとはいえ、パリサンジェルマンとの直接対決に向けて勝ち点3を確保したいバルセロナは十分におつりが出るほどの結果を残した。28分にルイス・スアレスが先制ゴールを奪い、その後リオネル・メッシが38分、:58分、87分に立て続けにゴールを決め、ハットトリックを達成し、4-0と大勝する。なお、メッシはこの日の3ゴールでチャンピオンズリーグ通算74得点、71得点で並んでいたラウル・ゴンザレス、クリスチャーノ・ロナウドを突き放して単独首位となった。

■ズラタン・イブラヒモビッチのゴールでパリサンジェルマンが先制

 そして、いよいよ12月10日、首位を決める1戦がバルセロナのカンプ・ノウ競技場で8万2570人の大観衆を集め、キックオフされた。試合開始前の段階でアウエーのパリサンジェルマンが勝ち点ではリードしており、引き分ければ首位通過となる。一方のバルセロナは勝利しなければ首位の座をつかむことはできない。
 これまでの本連載でも紹介しているが、チャンピオンズリーグでパリサンジェルマンはバルセロナに負けたことがなく、これまでの対戦成績はパリサンジェルマンの2勝3分である。それ以外の欧州カップでは、1997年5月14日のカップウィナーズカップ決勝でバルセロナが1-0と勝利しているだけである。ちなみにこの時は現在の両チームの監督、ローラン・ブランとルイス・エンリケがバルセロナに選手として所属していた。最新の試合は9月14日のパリでの試合であり、パリサンジェルマンが3-2と勝利しているが、この試合はイブラヒモビッチ抜きでの勝利であり、イブラヒモビッチのいるパリサンジェルマンの手ごわさは誰しもが認識しているであろう。
 そのイブラヒモビッチもかつてはバルセロナに所属し、カンプ・ノウは慣れたものである。試合は引き分けでもいいパリサンジェルマンに対し、勝利が必要なバルセロナが攻勢に出るという、予想通りの展開となった。しかし、先制点はパリサンジェルマン、15分にイブラヒモビッチが、右サイドからのクロスをブレーズ・マツイディがつなぎ、最後は左足で決める。イブラヒモビッチはパリサンジェルマンの一員として古巣相手にこれが2点目のゴールである。

■メッシ、ネイマール、ルイス・スアレスのゴールでバルセロナが逆転勝利

 ところがその4分後、バルセロナはエースのメッシがスアレスからのパスを右足でシュート、パリサンジェルマンのGKサルバトーレ・シリグもセービングしたが、及ばず、バルセロナは同点に追いつく。引き分けでもよいパリサンジェルマンも決して引くことはなく、スペクタクルな攻撃的サッカーが両チームの間で繰り広げられた。
 そして勝ち越し点を奪ったのは42分、地元のバルセロナであった。その直前のピンチをしのぎ、パリサンジェルマンのチアゴ・モッタからイニエスタがボールを奪い、すかさず前方へフィード、スアレスからのパスを受けたネイマールが40メートルの位置からシュート、シリグも及ばず、バルセロナはリードして後半を迎える。
 リードされたパリサンジェルマンは後半は攻勢に出たが、77分、スアレスとネイマールのパス回しから最後はスアレスが得点を決め、3-1となる。勝利したバルセロナが2007-08シーズンから8季連続でグループリーグを首位通過する。一方、ブラン監督就任後初めて3失点を喫したパリサンジェルマンは2位通過となったのである。(続く)

このページのTOPへ