第1789回 チャンピオンズリーグ終盤戦(1) ズラタン・イブラヒモビッチの復活ゴールで勝ち越し

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■終盤を迎えたチャンピオンズリーグのグループリーグ

 各チームとも6試合を戦うチャンピオンズリーグのグループリーグ、中盤戦の第4節までの戦いぶりについては本連載の第1773回と第1774回で紹介し、グループFのパリサンジェルマンは2試合を残して早々と決勝トーナメント進出を決定し、グループCのモナコはレバークーゼン(ドイツ)が一歩抜け出ながら残り3チームがほぼ横一線という戦いである。
 パリサンジェルマンにとっては決勝トーナメントの1回戦でアドバンテージが与えられる首位突破を果たすことが残り2試合の目的であり、モナコにとってはまず2位以内に入り、決勝トーナメントに進出することが目標となる。

■パリサンジェルマンとバルセロナのトップ争いとなったグループF

 グループFはパリサンジェルマン(勝ち点10)とスペインのバルセロナ(9)が突出しており、オランダのアヤックス・アムステルダム(2)とキプロスのアポエル・ニコシア(1)を大きく引き離している。
 第5節はパリサンジェルマン-アヤックス・アムステルダム戦とアポエル・ニコシア-バルセロナ戦が行われ、最終節のではバルセロナとパリサンジェルマンが直接対決する。最終節をアウエーで迎えるパリサンジェルマンとしてはホームのアヤックス・アムステルダム戦で勝利し、勝ち点を3積み上げ、バルセロナでの戦いは引き分けに持ち込みたいところである。
 一方のバルセロナは最終戦のパリサンジェルマン戦の勝利で逆転したいところであるが、その前のアポエル・ニコシア戦はアウエーであるが、確実に勝利しておきたい。  そして上位2チームに大きく離されているとはいえ、3位に入ればUEFAカップに転戦することができる。下位2チームのジャイアントキリングにかける意気込みも無視できない。

■アヤックス・アムステルダム相手にエディンソン・カバーニが先制点

 第5節はグループFが1日早く11月25日に行われた。パルク・デ・プランスは年内最後の国際試合とあって、満員の観衆で膨れる。11月のオランダ勢との対戦というとオールドファンの皆さんは1981年11月18日に行われたワールドカップ予選を思い出されるであろう。ベルギー、オランダ、アイルランド、フランスという4チームが激しく競り合い、ホームでのオランダ戦に勝利したフランスは最終戦でキプロスに勝利してスペイン行きのチケットをつかむ。
 その時を思わせる大観衆の中、試合が始まる。ボール支配率はアヤックス・アムステルダムが上回ったが、ゴール前にボールを運ぶ能力はパリサンジェルマンが上回る。この日は中盤の底に19歳の若いフランス人のアドリアン・ラビオが入る。このラビオからの前方へのロングパスをズラタン・イブラヒモビッチが受けてすぐにエセキエル・ラベッシにつなぎ、ラベッシが左サイドのエディンソン・カバーニにパス、カバーニはアヤックス・アムステルダムのGKと1対1になるが、これをかわして難なくゴールを決め、パリサンジェルマンが先制する。
 対するアヤックス・アムステルダムもヨーロッパリーグへのチケットは欲しい。後半に入って67分にはブラジルのワールドカップでブレイクしたダビー・クラーセンが同点ゴールを決める。

■8月31日以来のゴールとなったズラタン・イブラヒモビッチ

 勝ち点3の欲しいパリサンジェルマン、勝ち越しゴールが決まったのはそのほぼ10分後、78分のことであった。パリサンジェルマンは左サイドから攻撃を仕掛ける。ルカ・ディーニュがハビエル・パストーレにつなぎ、パストーレからのクロスをイブラヒモビッチが右足で豪快にゴールに決める。イブラヒモビッチにとっては8月31日以来の久しぶりのゴールとなった。波に乗るパリサンジェルマンは83分にもカバーニがインターセプトから抜け出し、GKをかわして無人のゴールにシュート、パリサンジェルマンは3-1と年内最後のホームでの国際試合に勝利したのである。
 パリサンジェルマンはこれでチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグという欧州カップのホームゲームでの無敗記録を32に伸ばしたのである。(続く)

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