第1774回 チャンピオンズリーグ中盤戦(2) 中盤戦で足踏み状態となったモナコ

3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■中盤戦でベンフィカと対戦するモナコ

 グループFのパリサンジェルマンは中盤戦でアポエル・ニコシア(キプロス)に連勝し、2試合を残して決勝トーナメント進出を決めた。リーグ戦で順位を上げてきたとはいえ、首位マルセイユを追走するパリサンジェルマンにとってこの決勝トーナメント進出決定によって国内リーグに専念できることは大きい。
 一方のモナコ、国内リーグでは順位を上げてきたとはいえ一桁の後半、チャンピオンズリーグで弾みをつけて国内リーグでも優勝争いに絡みたい。そのモナコの中盤戦の相手はポルトガルのベンフィカである。第1シードのベンフィカはモナコにとっては最大の強敵であり、序盤戦を同じ勝ち点4で終えたライバルとの戦いを五分以上の戦績で乗り切りたいところである。また、ベンフィカはポルトガルリーグのチームであり、モナコのベンフィカ戦の結果はフランスリーグのUEFAインデックスにも大きく影響する。

■GKダニエル・スパシッチの好守で勝ち点1を獲得したモナコ

 モナコとベンフィカはこれが初顔合わせとなる。第3節はモナコのルイ2世競技場での試合となる。モナコにとってはこのホームゲームで勝ち点3を奪いたいところである。ベンフィカはここまで連敗と精彩を欠くが、国内リーグでは首位を走る。  試合はホームチームのモナコが立ち上がりからチャンスをつかむ。しかし、ディミトリ・ベルバトフからパスを受けたルーカス・オカンポスは無人のゴールへのシュートを外してしまう。得点機を作れないまま、両チーム無得点で後半に入る。
 後半に入って60分、ベルバトフが負傷で退場してしまう。攻撃陣の多くが移籍でモナコを去った今季、唯一の切り札となったベルバトフの負傷は痛い。後半、試合はベンフィカのペースとなる。ベンフィカのシュートが次々とモナコのゴールを襲う。ここで獅子奮迅の活躍をしたのがクロアチア代表のGKダニエル・スパシッチである。スパシッチが次々とベンフィカのシュートをセーブする。ベンフィカは終盤に退場者を出し、モナコが数的優位に立ったが、ベンフィカの攻撃をモナコがしのぐという展開は変わらず、モナコはホームで勝ち点1をようやく獲得したのである。
 第3節を終えて、グループCはレバークーゼン(ドイツ)が勝ち点6、モナコが勝ち点5、ゼニト・サンクトペテルスブルク(ロシア)が勝ち点4、ベンフィカが勝ち点1となり、上位3チームの争いとなった。

■フランス勢にホームで無敗のベンフィカ、ポルトガルに苦い思い出のあるモナコ

 2週間後の11月4日、第4節の試合がベンフィカの本拠地ルス競技場で行われる。このルス競技場、フランス勢にとっては苦い思い出の多いスタジアムである。1990年4月のチャンピオンズカップ準決勝、ベンフィカと対戦したマルセイユはホームでの第1戦を2-1と勝利しながら、リスボンでの第2戦はベンフィカの選手のハンドによるゴールで0-1と敗れ、アウエーゴール2倍ルールで敗れている。ここまでベンフィカのホームでのフランス勢との対戦成績は9勝4分、いまだフランス勢は勝利したことがない。
 さらにモナコは1991-92シーズンのカップウィナーズカップの決勝をこのルス競技場で戦い、ドイツのブレーメンに0-2と敗れている。ちなみにモナコは2004年にはチャンピオンズリーグの決勝に進出しているが、ポルトガルのポルトに敗れ、クラブの歴史での2回のファイナルはいずれもポルトガルがらみの敗戦である。

■終盤のゴールでベンフィカが勝利、1強3弱となったグループC

 モナコは負傷のベルバトフを欠くが、ここまで3試合連続シャットアウトの守備は安定し、ベンフィカのゴールを許さない展開となった。3強1弱の1弱から抜け出したいベンフィカは終盤に攻勢に出る。82分、20歳のブラジル人FWのタリスカがゴール前でノーマークとなり、シュートを決める。この1点が決勝点となり、ベンフィカは初白星、モナコは初黒星となる。
 もう1試合はアウエーのレバークーゼンがゼニト・サンクトペテルスブルクを下し、勝ち点を9に伸ばす。以下モナコ(勝ち点5)、ゼニト・サンクトペテルスブルク、ベンフィカ(以上勝ち点4)となり、1強3弱となって終盤戦を迎えることになったのである。(この項、終わり)

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