第1831回 イングランド勢を下したパリサンジェルマンとモナコ(2) 3度のピンチを乗り越えたパリサンジェルマン

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■第1戦と第2戦の間にタフな時間のあったパリサンジェルマンとモナコ

 前回の本連載ではギャンガンがヨーロッパリーグの決勝トーナメント1回戦で敗退したことを紹介したが、この時点で、チャンピオンズリーグに出場しているパリサンジェルマンとモナコは第1戦を終えたばかりである。この両チームは前回の本連載で取り上げたようにここからリーグ戦で対戦し、フランスカップ準々決勝を戦い、そしてチャンピオンズリーグの第2戦を迎えるというタフで濃厚な時間を過ごし、それぞれ第2戦をむかえることになる。

■前半31分、ズラタン・イブラヒモビッチが一発退場

 パリサンジェルマンの方が1週間早いスケジュールとなっており、第2戦は3月11日、チェルシー(イングランド)の本拠地、スタンフォードブリッジに乗り込む。第1戦は内容的に圧倒しながら1-1のドローとなってしまったパリサンジェルマン、敵地での勝利または2点以上得点を取っての引き分けが8強入りの条件となる。
 昨年、パリサンジェルマンはスタンフォードブリッジで0-2と敗れており、今年も厳しい戦いが予想されたが、パリサンジェルマンのファンにとっては後々まで語り継がれる劇的な試合となった。
 パリサンジェルマンのファンは敗退を覚悟した瞬間が3回あったが、パリサンジェルマンが勝ち抜いた。
 スコアレスドローでも勝ち抜くことのできる青いユニフォームのチェルシーは守備的な試合、勝利の欲しいアウエーの赤いユニフォームのパリサンジェルマンは試合開始直後からアクセルを踏む。ところがこのパリサンジェルマンの気持ちが裏目に出てしまう。31分、この日トップに入ったズラタン・イブラヒモビッチがオスカールへの悪質なファウルで一発退場、これがパリサンジェルマンのファンが敗退を覚悟した最初のシーンである。試合はまだ1時間残っている段階で1人少ない戦いを余儀なくされた。しかしパリサンジェルマンは互角以上の試合を展開し、前半は両チーム無得点で後半を迎える。

■残り4分、ダビド・ルイスのゴールで追いついたパリサンジェルマン

 後半に入りビッグチャンスをつかんだのはパリサンジェルマンであった。58分、ハビエル・パストーレのパスがエディンソン・カバーニに渡る。GKと1対1になったが、カバーニのシュートはポストに当たり、ゴールならず、パリサンジェルマンは得点機を活かせなかった。その後もパリサンジェルマンの得点チャンスが続くが、ゴールネットを揺らすことなく時計の針は動く。そして81分、ギャリー・ケーヒルがセスク・ファブレガスのCKをゴールにたたき込む。残り試合時間は10分弱であり、パリサンジェルマンのファンはこの日2回目の敗退の覚悟をした。しかし、86分、今度はパリサンジェルマンがエセキエル・ラベッシのCKをダビド・ルイスが古巣相手にゴール、パリサンジェルマンは1-1に追いつく。パリでの試合と同スコアで90分が終わったため、試合は延長戦となる。

■勝ち越し点を許したが、主将チアゴ・シウバの2度目のヘディングで決勝ゴール

 延長戦に入り、パリサンジェルマンのファンはこの日3回目の敗退の覚悟をする。95分、チアゴ・シウバがペナルティエリア内で痛恨のハンド、チェルシーにPKが与えられる。エデン・アザールが簡単に決めて、チェルシーは8強に近づく。しかし、パリサンジェルマンはあきらめなかった。延長後半に入り、試合時間も残り少なくなった113分、パリサンジェルマンはCKからチアゴ・シウバがヘディングでシュート、これをチェルシーのGKクルトワがセーブし、再びCKに逃れる。続くCK、チアゴ・モッタの蹴ったボールを再びチアゴ・シウバがヘディングで合わせて今度はクルトワも及ばず、ゴールネットを揺らす。
 主将のゴールにより、パリサンジェルマンは2-2の同点に追いつく。2試合とも引き分けとなったが、アウエーゴール2倍ルールにより、パリサンジェルマンがチェルシーを下し、昨年の準々決勝での悔しい思い出から歓喜の勝どきをあげたのである。(続く)

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