第1987回 パリサンジェルマン、4年連続8強入り(1) 歴史的にも50-50の第2戦

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■日程消化が一番遅いチャンピオンズリーグで戦うパリサンジェルマン

 本連載第1980回から第1983回で紹介した通り、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントに出場したサンテチエンヌとマルセイユはいずれも1回戦で惜敗となり、フランスから欧州の舞台で戦うのはパリサンジェルマンだけとなった。
 そのパリサンジェルマンも1回戦を勝ち抜いたわけではない。本連載第1978回と第1979回で紹介した通り、イングランドのチェルシーとの1回戦の第1戦にホームで勝利しただけである。チャンピオンズリーグの方が日程消化が遅いだけであり、ロンドンのスタンフォードブリッジでの戦いでフランス勢で最後に残ったチームの運命が決まる。

■第1戦から第2戦までの両チームの戦績の比較

 さて、2月16日のパリでの第1戦はパリサンジェルマンが2-1と勝利したが、3月9日に行われた第2戦までの両チームのその間の足取りを確認しよう。パリサンジェルマンは直後のリーグ戦ではスタッド・ランスに勝利したものの、2月28日のリーグ戦のリヨン戦では今季初めての国内タイトルでの黒星を喫している。その直後にはフランスカップでサンテチエンヌに勝利し、3月5日のホームのモンペリエ戦ではスコアレスドロー、今季ホームで無得点だったのは昨秋のチャンピオンズリーグのレアル・マドリッド(スペイン)戦以来のことであり、国内ンタイトルでは初めてのことである。2勝1分1敗という成績で第2戦に臨む。
 一方のチェルシーはFAカップでマンチェスター・シティに5-1と大勝、リーグ戦ではアウエーでサウサンプトン、ノリッチ・シティに連勝、そして直前の週末にはストーク・シティと引き分け、3勝1分と調子を取り戻しつつある。シーズン途中から指揮を執るフース・ヒディング監督はこれで就任以来リーグ戦では12戦連続で無敗である。

■歴史的にも五分五分の「第1戦ホームチーム2-1の勝利」

 これまで過去55年間のチャンピオンズリーグなどの欧州カップ戦のホームアンドアウエー方式のノックアウトシステムの対戦でホームチームが第1戦で2-1で勝利した場合、勝ち抜く確率は50.56%であり、まさに第1戦で敗れた直後にチェルシーのヒディング監督の「これで50-50」という発言は欧州三大カップ時代からの長い歴史に基づいたものでもある。チェルシーにとっては一昨年の準々決勝と同じ展開、すなわち第1戦をパリで1-3と落としたが、第2戦で2-0と勝利し、アウエーゴールの差で勝ち抜くためには、今年は1-0の勝利で十分である。一方のパリサンジェルマンは引き分け以上で勝ち抜きを決めたいところである。

■ブラジル勢が支えるパリサンジェルマン、スペイン勢の多いチェルシー

 チェルシーはCFのジエゴ・コスタ、パリサンジェルマンはマルコ・ベラッティ、ブレーズ・マツィディが負傷の影響で出場が危ぶまれた。しかし、ベラッティ以外は先発メンバーとしてピッチに立つ。また、パリサンジェルマンは直前のモンペリエ戦でハビエル・パストーレとズラタン・イブラヒモビッチを温存しフル出場させなかったが、パストーレは先発メンバーから外れ、若手のアドリアン・ラビオが先発する。
 パリサンジェルマンの守備ライン4人は全員ブラジル代表、右からマルキーニョス、チアゴ・シウバ、ダビド・ルイス、マクスウェルというメンバーとなった。さらに左ウイングのルーカスもブラジル代表である。一方のチェルシーはブラジル代表はトップ下のウィリアンだけであり、主力はスペイン勢である。右DFのセサル・アスピリクルタ、守備的MFのセスク・ファブレガス、右ウイングのペドロ、そしてCFのジエゴ・コスタと4人が名を連ねる。それ以外にGKのチボー・クルトワと左ウイングのエデン・アザールというベルギー勢の存在も忘れてはならない。
 結局両チームの自国の選手はパリサンジェルマンはマツィディとラビオ、そしてチェルシーはストッパーのギャリー・ケーヒルだけとなったのである。
 これまで両チームの対戦成績は2勝2敗3引き分けと全くの五分、まさに50-50の試合がキックオフされるのである。(続く)

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