第1983回 ヨーロッパリーグ、フランス勢は初戦で敗退 (4) マルセイユ、サンテチエンヌともあと一歩及ばず

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■アウエーで戦績のいいマルセイユ

 ヨーロッパリーグの決勝トーナメント1回戦の第1戦、フランス勢2チームはホームで戦ったが、サンテチエンヌは3-2の辛勝、マルセイユは0-1と敗れた。
 直後の週末には両チームがリーグ戦で対戦し、1-1のドロー、第2戦は2月25日に行われ、マルセイユが19時、サンテチエンヌは21時5分にキックオフを迎えた。
 アスレティック・ビルバオ(スペイン)とアウエーで戦うマルセイユ、勝利が必要なマルセイユは攻撃陣は1トップでミッチー・バシャウィを起用する。対するアスレティック・ビルバオは第1戦でベロドロームを沈黙させたアリツ・アドゥリスが1トップである。前回の本連載でも紹介した通り、今季のヨーロッパリーグでのマルセイユはホームよりもアウエーの方が得点力がある。グループリーグの成績はホームもアウエーも2勝1敗であるが、ホームでは3得点しか記録できなかったが、アウエーでは9得点をあげている。また、国内リーグ戦でもホームの成績よりアウエーの成績が良い。したがって、マルセイユがアウエーで勝利するということは難しいことではない。

■ミッチー・バシャウィの先制点もあと10分が守りきれず

 この数字を裏付けるように、試合はマルセイユが先制する。試合の立ち上がりの7分にタックルを受けて倒れたバシャウィであったが、試合に復帰し、40分に、クロスをヘディングでシュートし、ゴールネットを揺らす。マルセイユが先制し、第1戦と逆のスコアとなる。試合は互角であり、このままでいけば延長戦となる。
 試合は激しいものとなり、イエローカードが飛び交うとともに、選手の負傷でしばしば時計が止まる。アスレティック・ビルバオは選手交代をするが、マルセイユのミッチェル監督は延長戦を見込んでか、選手交代を告げない。この選手交代の有無が明暗を分けた。残り10分、両チームの運動量が落ちてきたところで、ベスト16を決定するゴールが生まれた。81分にアスレティック・ビルバオは交代出場したサビン・メリノがヘディングシュートで同点ゴールを決める。マルセイユは残り10分、選手交代をするが、4分間のロスタイムにもゴールを決めることができず、試合は1-1のまま終わる。2試合通算で1-2となったマルセイユはヨーロッパリーグ敗退が決定し、残るタイトルはリーグ戦とフランスカップだけとなった。

■序盤に得点をあげたバーゼル

 そしてマルセイユのファンが失意に打ち負かされた直後、スイスのバーゼルでサンテチエンヌがキックオフを迎える。第1戦3-2と勝利したサンテチエンヌ、ロースコアでの敗戦は許されない。試合は劇的な展開となった。
 ノルウェー勢を欠くサンテチエンヌはジャン・クリストフ・バエベックをトップに起用する。バーゼルはチームの精神的支柱である主将のマティアス・デルガドが復帰し、ロースコアでの勝利を狙う展開となる。15分にゴール前20メートルの位置でFKを得たバーゼルはスイス代表のルカ・ズッフィがこれを直接ゴールに決める。1-0のスコアを残り75分守り切ればバーゼルが勝ち抜くことになる。

■終了間際にサンテチエンヌがゴール、ロスタイムにバーゼルが決勝点

 なんとか1点をあげようとするサンテチエンヌは、後半に入って56分、トップのバエベックを交代し、ノーラン・ルーを投入する。両チームとも次の1点で試合が決まると見込み、次々と選手を交代させる。しかし、スコアは動かず、このままバーゼルがアウエーゴールの差で勝ち抜きかと思われた、さらに82分、サンテチエンヌはバランタン・エイセリクがイエローカードを2回受け、退場処分になる。
 ところが84分、バーゼルもブリール・エンボロが2枚目のイエローカードで退場、10人対10人となる。そして89分、サンテチエンヌはCKをバーゼルのGKがパンチングしたボールをストッパーで主将のムスタファ・バヤルがゴールに決めて、1-1と追いつき、通算得点でも上回る。
 ロスタイムは4分、そしてロスタイムの92分、バーゼルはズッフィがゴール前の混戦から右足でシュートし、勝ち越し点を奪う。第2戦を2-1と制したバーゼルがアウエーゴールの差でサンテチエンヌを下す。
 フランス勢は第2戦でいいところまで行ったが、いずれも競り負け、姿を消したのである。(この項、終わり)

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