第2062回 欧州の舞台を目指すフランス勢(7) サンテチエンヌ、3年連続で本戦出場

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■プレーオフでイスラエルのベイタル・エルサレムと対戦

 前回の本連載ではヨーロッパリーグの予備戦3回戦の第2戦のリールとサンテチエンヌの戦いを紹介し、アウエーで勝利したサンテチエンヌだけがプレーオフに進出したことを紹介した。
 サンテチエンヌのプレーオフは8月17日と25日に行われる。サンテチエンヌの相手はイスラエルのベイタル・エルサレムであり、第1戦をエルサレム、第2戦をサンテチエンヌで戦う。ベイタル・エルサレムは昨季のイスラエルリーグ3位、予備戦1回戦から出場し、3つのチームを退けてプレーオフに進出した。長年低迷してきた伝統チームであるが、近年、富豪がオーナーとなり、急速に力を蓄えてきた。

■ボルドーからエルサレムに移動したサンテチエンヌ

 フランスリーグは8月12日に開幕し、サンテチエンヌはリーグ開幕戦を終えた直後のプレーオフ第1戦を迎えることになるが、サンテチエンヌは開幕戦をアウエーのボルドーで戦い、2-3と敗れている。ボルドーからエルサレムへの移動となったが、エルサレムの空港には数多くの人々が待ち受けていた。ちょうどリオデジャネイロオリンピックの柔道の100kg超級で銅メダルを獲得したオル・サッソンの帰国と重なったためである。サッソンは準決勝で金メダルを獲得したフランスのテディ・リネールに敗れており、イスラエルのファンにとってはベイタル・エルサレムがオリンピックの仇を取ってくれると期待するのも無理はない。
 ベイタル・エルサレムの本拠地のテディ競技場の収容人員は3万2000人であり、第1戦には2万5000人の観衆が集まった。プレーオフ第1戦はこの試合だけが8月17日に行われ、それ以外の試合は18日に行われているがこれには理由がある。リッキー・マーティンのコンサートがあるため、サッカーの試合を1日早く設定したのである。そのため、サンテチエンヌについては日程的に厳しいものとなった。
 これまでにサンテチエンヌがイスラエルのチームと欧州カップで対戦したことは1度だけある。2008-09シーズンのUEFAカップの1回戦でハポエル・テルアビブと対戦している。今回の欧州選手権で活躍したディミトリ・パイエのゴールなどで第1戦、第2戦とも2-1というスコアで勝利している。

■アウエーの第1戦で逆転勝ちしたサンテチエンヌ

 試合は開始早々にFKからベイタル・エルサレムがシュートを放つが、わずかに枠を外れる。サンテチエンヌは立ち上がりから守勢一方となり苦しい展開となる。そして8分には早くも先制点を奪われる。サンテチエンヌのファーストシュートはこの失点の後の10分まで待たなくてはならなかった。しかし15分にサンテチエンヌはファビアン・ルモアンがシュートを放ち、同点に追いつく。この得点でサンテチエンヌはリズムに乗り、構成に転じる。30分にはフローラン・ポグバがCKからシュート、ベイタル・エルサレムのGKは逆を突かれて反応できず、ポグバの逆転ゴールとなったのである。サンテチエンヌはベイタル・エルサレムの守備の弱さを突き、2ゴールをあげて、第1戦は2-1と勝利し、本拠地へ戻ったのである。

■1人少ないサンテチエンヌ、スコアレスドローで3年連続本戦出場

 第2戦を迎える前に、サンテチエンヌはリーグ戦の第2節をホームで戦った。モンペリエを迎えての1戦で前半に1点を失ったものの、後半に入ってケビン・モネ・パケ、ダイラン・サンルイ、ロベール・ベリックのゴールで3-1と逆転勝利、地元ファンを満足させる内容でリーグ初勝利をあげる。
 モンペリエ戦の勝利の4日後の8月25日にジェフロワ・ギシャールで第2戦が行われた。サンテチエンヌは負傷者を多数抱えて、クリストフ・ガルチエ監督も苦心の布陣を引く。立ち上がりからサンテチエンヌは攻めるが得点が生まれない。引き分けでも勝ち上がるサンテチエンヌであるがフラストレーションがたまったようで、44分に相手のファウルを受けたGKのステファン・ルフィエが審判に対する言動がよくなく、レッドカードを受けてしまう。
 1人少なくなったサンテチエンヌは後半も何回かチャンスをつかむが、得点をあげられず、また守備陣も危なげなく守り、スコアレスドロー。サンテチエンヌは3年連続でヨーロッパリーグの本戦に出場することになったのである。(この項、終わり)

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