第2074回 欧州カップ開幕 (4) リヨン、ディナモ・ザグレブに大勝

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■第4シードのディナモ・ザグレブと対戦するリヨン

 今季のフランス勢の欧州カップのグループリーグはパリサンジェルマンとアーセナル(イングランド)の23季ぶりの対戦で幕を開けた。前回までの本連載で紹介した通り、1-1のドローに終わったが、その翌日の9月14日にはリーグ2位のリヨン、3位のモナコが登場する。
 リヨンはグループHで第3シードであるが、第4シードのディナモ・ザグレブ(クロアチア)と対戦する。グループHは第1シードがイタリアのユベントス、第2シードがスペインのセビリアであり、リヨンはホームの初戦で確実に勝ち点3を獲得しておきたいところである。

■5年前の大逆転の相手のディナモ・ザグレブ

 さて、本連載の読者の方であれば、リヨンとディナモ・ザグレブの対戦を思い出されるであろう。2011-12シーズンのチャンピオンズリーグのグループリーグ最終戦で対戦する。第5節を終えた時点でリヨンは2位のアヤックス・アムステルダム(オランダとは勝ち点3差であり、最終戦でリヨンが勝って、アヤックス・アムステルダムが敗れれば、両チームは勝ち点で並ぶが、最終戦を迎える時点の得失点差はリヨンが-4、アヤックス・アムステルダムが+3であり、リヨンの決勝トーナメント進出は数字の上でのみしか可能ではないかと思われていた。最終節ですでに決勝トーナメント進出の望みを絶たれていたディナモ・ザグレブ相手にリヨンは40分に先制を許す。前半終了間際にバフェタンビ・ゴミスのゴールでようやく同点に追いつく。しかし、後半に入り、リヨンは47分のマキシム・ゴナロンのゴールを皮切りに大量6点をあげ、7-1と大勝する。またアヤックス・アムステルダムはスペインのレアル・マドリッドに0-3で敗れ、リヨンは奇跡の決勝トーナメント進出を決めた。リヨンにとってはこれがチャンピオンズリーグで決勝トーナメントに進出した最後の年であり、クラブの歴史に残る大勝を記録した相手との試合で始まる今季も久しぶりに欧州の舞台で大暴れしたいところである。

■新スタジアムでの記念すべき欧州カップ第1戦

 また、リヨンは新本拠地パルク・オランピック・リヨネで初めて欧州カップを戦う。この試合に先発したメンバーのうち、5年前に大勝した試合にも出場しているのはこの試合で主将を任されたゴナロンだけである。アレクサンドル・ラカゼットは5年前の試合に出場していたが、現在負傷したため戦線を離脱している。一方のディナモ・ザグレブは1人も当時のメンバーが残っていない。

■新システムで大勝したリヨン

 満員の観衆の中で行われた一戦、5年前の後半を思わせるような展開となった。ラカゼットの不在により、通常は4-3-3システムを採用するブルーノ・ジェネジオ監督はシステムを変更する。マックスウェル・コロネをトップに配し、トップ下のコランタン・トリッソの下に5人のMFが並び、3バックという3-5-1-1というシステムのリヨンはコロネとトリッソを中心に次々にディナモ・ザグレブのゴールを襲う。リヨンの前半の得点は13分のトリッソのゴールだけであったが、実に15本のシュートを浴びせる。
 後半に入ってリヨンはジョルダン・フェリが49分、コロネが57分に得点をあげて3-0と完勝する。前半途中で負傷したゴナロンの具合が気になるが、リヨンは新スタジアムでの初めての欧州カップの試合を白星で飾ったのである。
 グループHのもう1試合はユベントスがセビリアをホームに迎え、スコアレスドローに終わる。上位シード2チームが引き分けて勝ち点を伸ばす言葉できず、リヨンは首位に立った。リヨンは負傷したラカゼットの穴埋めとしてイングランドのクリスタルパレスを退団したトーゴ代表のエマニュエル・アデバヨールを獲得しようとしたが、結局破談となり、第2戦以降を迎えることになったのである。(続く)

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