第2073回 欧州カップ開幕(3) 23季ぶりのアーセナルとの対戦はドロー

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■フランス色の強いアーセナル

 23シーズンぶりの対戦となったパリサンジェルマンとイングランドのアーセナル、満員のパルク・デ・プランスでキックオフされた。
 アーセナルは1996年に名古屋グランパスエイトからアルセーヌ・ベンゲルを指揮官として獲得し、その後は継続的にチャンピオンズリーグの常連チームとなっている。そしてかつてのボーリング・アーセナルというイングランドの伝統であるキックアンドラッシュ戦法から脱却し、世界中から選手を集めたモダンなチームに仕上がった。もちろんその中にはフランス人選手もおり、主将を務めるのはフランス代表のローラン・コシエルニー、MFのフランシス・コクランもフランス人である。さらに先発メンバーから外れているが、トップの控えにフランス代表のオリビエ・ジルー、守備陣ではマチュー・ドビュッシーの存在も忘れてはならない。アーセナルはフランス国内ではめっぽう強く、22年前のパルク・デ・プランスでのドローも含め、過去12戦して8勝4分と好成績を残している。

■パリサンジェルマン史上最速の42秒で得点を奪ったエディンソン・カバーニ

 一方、パリサンジェルマンも国内でのイングランド勢との対戦はこれまで3勝3分1敗とそう悪くない成績を残している。パリサンジェルマンの先発メンバーにはGKのアルフォンス・アレオラ、MFのアドリアン・ラビオ、ブレーズ・マツイディの3人しかフランス人選手がいない。前回の対戦以来、両チームとも大きく変わった。
 国内のリーグ戦で足踏み状態となったパリサンジェルマン、キーとなるプレーヤーはエディンソン・カバーニである。昨季までのエースストライカーのズラタン・イブラヒモビッチのいなくなったパリサンジェルマンで1トップを務め、まさに背番号9の進化の問われる試合となる。
 試合はそのカバーニが見事に期待に応え、開始1分もたたない42秒で先制点が生まれる。パリサンジェルマンのキックオフで始まった試合、右サイドDFのセルジュ・オーリエからのクロスをシュートする。このシュートが決まり、パリサンジェルマンの欧州カップ史上最速のゴールで先制した。

■オリビエ・ジルーの投入でリズムの変わったアーセナルが同点に追いつく

 一方、アーセナルはトップをジルーではなく、チリ代表のアレクシス・サンチェスを起用するという奇策に出る。序盤はリードされたアーセナルが試合を支配し、ボール支配率や1対1での競り合いではパリサンジェルマンを上回る数字を残す。しかし、ビッグチャンスをつかむのはパリサンジェルマン、32分にはカバーニが絶好の得点機を迎えたが、ゴールはならず、パリサンジェルマンが1点リードして後半を迎える。
 後半に入ってもパリサンジェルマンはチャンスをつかむが、追加点を奪うことができない。そしてリードを許したアーセナルは選手交代を早めに仕掛け、63分にはアレックス・オックスレイド・チェンバレンに代わってジルーを投入する。ジルーが加わったことによりアーセナルはリズムをつかみ、77分サンチェスが同点ゴールを決める。

■アディショナルタイムに両チーム1人ずつが退場処分、試合はドロー

 勝ち越しを決めたいパリサンジェルマンはその後も果敢に攻めるが、得点をあげることができず、試合はアディショナルタイムへ。アディショナルタイムにアーセナルはジルーがマルコ・ベラッティにファウル、主審の背後でのプレーであったが、副審のアピールにより、この日2枚目のイエローカードとなって退場処分となる。そしてベラッティも2枚目のイエローカードとなり続いて退場する。その直後もパリサンジェルマンはCKのチャンスがあったがゴールには至らず、両チーム10人ずつになった試合は1-1の引き分けとなった。パリサンジェルマンとアーセナルの23季ぶりの対戦はまたも引き分けに終わった。アーセナルはフランス国内での無敗記録を13に伸ばしたのである。
 グループAのもう1試合のスイスのバーゼルとブルガリアのルドゴレツ・ラズグラドの試合はアウエーのルドゴレツ・ラズグラドが先制し、バーゼルが追い付くという展開、パリサンジェルマンの第2戦はアウエーでのルドゴレツ・ラズグラド戦である。(続く)

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