第2086回 中盤戦を迎えた欧州カップ (1) フランス代表の鬼門で勝利をあげたパリサンジェルマン

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■ブルガリアリーグ5連覇中のルドゴレツ・ラズグラド

 本連載の第2071回から2076回にかけて9月中旬に始まったチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグのグループリーグの第1節について紹介したが、今回からは中盤戦までの戦いぶりを紹介しよう。
 フランス勢として最も注目を集めるのはチャンピオンズリーグのグループAのパリサンジェルマンである。グループAで第1シードのパリサンジェルマンは、第2シードのアーセナルと9月13日にホームのパルク・デ・プランスで対戦し、1-1の引き分け発進となっている。
 第2節は9月28日に行われ、パリサンジェルマンはアウエーでブルガリアのルドゴレツ・ラズグラドと対戦する。ルドゴレツ・ラズグラドはもともと1945年に創設したクラブが20世紀末に倒産したが、21世紀に入って再スタートした歴史を持つ。2011年にブルガリアの1部リーグに昇格して、いきなりリーグ、カップの二冠を獲得し、それ以来ブルガリアリーグでは5連覇を果たし、ブルガリアのサッカーのトップリーダー的存在である。

■2年ぶり2回目のチャンピオンズリーグ本戦出場

 2季連続でチャンピオンズリーグの予備戦で敗退した後、クラブ史上初の欧州カップの本戦出場を2013-14シーズンのヨーロッパリーグで果たす。グループリーグを首位で突破し、ベスト16決定戦でスペインのバレンシアに敗れたが、イタリアのラツィオ、オランダのPSVアイントホーヘンに勝利したことは高く評価された。また続く2014-15シーズンにはチャンピオンズリーグの予備戦を勝ち抜き、本戦出場、グループリーグでは最下位に終わったが、力を蓄えてきたことを印象付けた。2015-16シーズンはチャンピオンズリーグの予備戦で敗退したが、今季はチャンピオンズリーグの予備戦2回戦、3回戦、プレーオフを勝ち抜き、2年ぶり2回目の本戦出場である。

■ソフィアのバシル・レフスキ国立競技場でホームゲームを開催

 第2073回の本連載で紹介したとおり、第1節ではアウエーでバーゼル(スイス)と引き分ける。第2節はパリサンジェルマンを迎えるわけであるが、このルドゴレツ・ラズグラドの本拠地のルドゴレツアリーナは収容人員が8,800人であり、UEFAの求めるチャンピオンズリーグの試合開催基準に満たない。したがって、ルドゴレツ・ラズグラドはルドゴレツから280キロ離れた首都ソフィアのバシル・レフスキ国立競技場でホームゲームを行うことになる。バシル・レフスキはブルガリアが19世紀にオスマン帝国から独立する際にリーダーとして戦った革命家の名前である。国民的英雄の名前を関するこのスタジアムは4万3000人を収容し、ブルガリア代表のホームスタジアムである。第2079回と第2080回の本連載で紹介したとおり、2018年ワールドカップ・ロシア大会を目指すフランスは予選でブルガリアと同じグループであり、フランス代表もこのスタジアムで戦うことになるであろう。フランス代表がこのスタジアムで戦ったのは1992年9月のことであるが、チャンピオンズリーグでフランスのチームがブルガリアのチームと対戦したのは1989年までさかのぼらなくてはならない。準々決勝でマルセイユがCSKAソフィアと対戦し、マルセイユはアウエーの第1戦を1-0、ホームの第2戦を3-1と連勝する。

■先制されるが、鮮やかな逆転勝ちを収めたパリサンジェルマン

 第1節で勝ち点を1しか奪えなかったことに加え、ライバルのマルセイユ以来のブルガリアでの試合とあり、パリサンジェルマンの選手の意気込みも違う。15分に先制点を許したが、その後はボールを支配し、41分にブレーズ・マツイディが同点ゴール、さらに後半に入って55分にはディマリアからのFKをエディンソン・カバーニがヘディングでシュートを決め、逆転する。60分にもカバーニが追加点をあげ、パリサンジェルマンは3-1と勝利をあげる。
 代表チームは1992年に行われた1994年ワールドカップ米国大会の予選までこのバシル・レフスキ国立競技場では1分4敗という成績である。フランスの鬼門ともいうべきこのスタジアムで、フランスを代表するクラブチームが見事に勝利をあげたのである。(続く)

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