第2105回 欧州カップグループリーグ終盤戦 (2) モナコ、出場した4大会連続で首位突破

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■チャンピオンズリーグで好成績を残すモナコ

 モナコをチャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンズカップの準々決勝に導いたグレン・ホドルについて前回の本連載で紹介した。この1988-89シーズンはモナコにとってはチャンピオンズアップには5回目の出場であり、準々決勝進出というのは当時のクラブ史上最良の成績であった。
 チャンピオンズリーグになってからもモナコは好成績を残し、1994年には準決勝進出、1998年にも準決勝に進んでいる。そして2004年には決勝に進出し、ポルト(ポルトガル)に敗れている。決勝トーナメント1回戦で敗れた2004-05シーズンを最後にチャンピオンズリーグ出場から遠ざかっていたが、久しぶりに出場した2014-15シーズンはグループリーグを首位通過、決勝トーナメントの1回戦ではウェンブリーでアーセナル(イングランド)に勝利し、準々決勝に進出している。準々決勝ではユベントス(イタリア)に敗れたが、チャンピオンズリーグに強いモナコという伝統を欧州全体に印象付けることができた。昨シーズンはプレーオフで敗れ、本戦出場はならなかったが、モナコは2年ぶりの決勝トーナメント、さらには決勝トーナメントでの上位進出を虎視眈々と狙っている。

■負傷者を抱えるトットナム・ホットスパー、ベストメンバーのモナコ

 モナコとトットナム・ホットスパーは第1節でロンドンのウェンブリーで対戦している。ウェンブリーでのクラブの試合の最多動員となる85,011人の観客の前でモナコが枠内シュート数2で2点をあげ、2-1と勝利している。トットナム・ホットスパーの主将を務めるフランス代表GKのウーゴ・ロリスにとっては痛恨の敗戦であったであろう。トットナム・ホットスパーは国内リーグではいまだ無敗、モナコに勝利すれば、決勝トーナメントも見えてくるが、負傷者が多く、何人かの選手がモナコ入りしなかった。
 一方のモナコは主力に負傷者はほとんどおらず、2年ぶりの決勝トーナメントに向けて万全の態勢、ルイ2世競技場には1万3000人のファンが集まった。

■ウーゴ・ロリスのスーパーセーブに阻まれた先制機

 試合は紺のセカンドユニフォームのトットナム・ホットスパーが支配する。しかし、先制のチャンスを先に得たのはモナコであった。11分にモナコがPKを得る。PKのスペシャリストのファビーニョはファルカオにキッカーを譲る。ファルカオのキックはグラウンダーの低いシュートであったが、ロリスがスーパーセーブを見せる。モナコはフランス代表主将の攻守に阻まれ先制点を奪うことができない。その後もモナコは果敢にトットナム・ホットスパーのゴールにシュートを浴びせるが、ロリスの攻守もあり前半は両チーム無得点に終わる。

■追いつかれた39秒後に勝ち越しゴール

 試合が動いたのは後半開始早々であった。48分にモナコはバンジャマン・マンディからの絶妙のクロスをジブリル・シディベがヘディングでシュート、フランス代表の若手のヘディングシュートに対し、主将は左に飛んでパンチングで逃れようとしたが、及ばず、モナコは先制点を奪ったのである。
 しかし、その4分後、モナコのグリックがペナルティエリア内でデル・アリを倒してしまい、PKを与えてしまう。このPKをハリー・ケインが右足で確実に決めてトットナム・ホットスパーは同点に追いつく。
 同点でも決勝トーナメント進出の決まるモナコであったが、すかさず勝ち越し点を奪う。11月の連戦でフランス代表入りしたトマ・ルマールがシディベのクロスをグラウンダーでゴールにたたきこむ。同点のPKを奪われてわずか39秒後の勝ち越し点であった。
 その後も試合を支配するトットナム・ホットスパー、それに対してシュートを数多く放つモナコ、そして、そのモナコのシュートを次々と防ぐロリスというパターンで試合は進んだ。引き分け以上で決勝トーナメント進出の決まるモナコは余裕の試合運びで、2-1と勝利をあげ、決勝トーナメント進出を決めた。
 そしてグループEのもう1試合のCSKAモスクワ(ロシア)-レバークーゼン(ドイツ)は1-1のドローとなる。この結果、モナコの首位突破となる。実にモナコは出場したチャンピオンズリーグで4大会連続して首位突破となったのである。(続く)

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