第2108回 欧州カップグループリーグ終盤戦 (5) ロンドンで2-2のドロー、パリサンジェルマン首位浮上

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■フランス勢の活躍がパリサンジェルマンにも刺激

 11月22日にフランス勢はモナコがトットナム・ホットスパー(イングランド)に勝利してグループリーグを首位突破、リヨンがディナモ・ザグレブ(クロアチア)に勝利して、最終節でセビリア(スペイン)と直接対決に持ち込んだ。パリサンジェルマンはイングランドが苦手でこれまで8戦して1勝3分4敗という成績であるが、前夜のモナコとリヨンの戦いは、すでに決勝トーナメント進出を決めているパリサンジェルマンの首位突破へ良い刺激を与えた。

■エディンソン・カバーニの先制点

 選手生活の最後をパリサンジェルマンで過ごしたダビッド・ベッカムもスタジアムの片隅で見守る中、試合はアーセナルのキックオフで始まった。今季のアーセナルは序盤に失点が多いことからパリサンジェルマンはパスをつないでアーセナルのゴールに迫る。パリサンジェルマンは上々のスタートである。15分にはCKからチャンスをつかみ、18分にはチアゴ・モッタが左ウイングのブレーズ・マツイディにつなぎ、マツイディがクロスをあげる。このクロスをエディンソン・カバーニが決めてパリサンジェルマンは先制点をあげる。カバーニは今季はチャンピオンズリーグでの5得点を含み、国内の試合と合わせて16得点である。主要リーグの選手でこれ以上の得点をあげているのは18得点のリオネル・メッシだけである。

■前半終了間際にPKで失点、後半に入ってオウンゴールで逆転

 さらにパリサンジェルマンはアーセナルを攻め、前半が終わろうとする段階でアーセナルは1本もシュートを放っていないのに対し、パリサンジェルマンは5本のシュートをアーセナルのゴールに向けて記録している。そして間もなく前半が終わろうとしていたところ、パリサンジェルマンの守備的MFのグジェゴシュ・クリホビアクがペナルティエリア内でサンチェスを倒してしまう。アーセナルはPKをオリビエ・ジルーが決めて同点に追いついて後半を迎えた。
 後半に入ってパリサンジェルマンは不運な失点をしてしまう。ラムジーのシュートをマルキーニョスがクリアしたが、これがマルコ・ベラッティに当たり、オウンゴールになってしまう。2-1とリードしたアーセナルが優位になるが、追いつけばパリサンジェルマンが有利になる。

■ルーカスのヘディングで追いついたパリサンジェルマン

 残り時間は30分、早速ミスを犯した守備的MFのクリホビアクを下げてFWのハテム・ベンアルファを投入する。ベンアルファはチャンピオンズリーグではなかなかゴールをあげることができず、リヨン時代の9年前にシュツットガルト戦で2点を決めただけである。しかし、ベンアルファはこの試合で得点をアシストする。77分のCK、ベンアルファが蹴ったボールをルーカスがヘディングシュート、このシュートがアーセナルのアレックス・イウォビに当たり、ゴールに転がり込む。記録はルーカスの得点、ベンアルファのアシストとなった。後半に入ってプレゼンスをあげたルーカスの同点ゴールでパリサンジェルマンは2-2のドローに持ち込む。  アーセナルとパリサンジェルマンは全く譲らず、両チームとも3勝2分で並んだが、直接対決の結果で順位が決まり、パリで1-1、ロンドンで2-2という結果から、パリサンジェルマンが上位となり、首位に躍り出た。
 最終節は12月6日に行われ、パリサンジェルマンはルドゴレツ・ラズグラド(ブルガリア)をホームに迎え、アーセナルはバーゼル(スイス)とのアウエーゲームである。パリサンジェルマンはアーセナルと同等以上の成績を残せば、首位をキープできる。
 パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグに5年連続で出場し、過去4年間は決勝トーナメントに進出したが、首位突破は最初の2シーズンだけであり、昨季、一昨季は2位にとどまっている。3年ぶりの首位突破が期待されたが、パリサンジェルマンは思わぬ落とし穴にはまってしまったのである。(続く)

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