第2112回 欧州カップグループリーグ終盤戦(9) 第3節でようやく初勝利をあげたリーグ首位のニース

 読者の皆様、あけましておめでとうございます。連載を開始して16回目の新年を迎えました。
 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、すべての日本の皆様に激励の意を表します。
 本年もよろしくご愛読のほどお願いいたします。

■ハテム・ベンアルファに代わってマリオ・バロテッリが加入したニース

 前回の本連載ではヨーロッパリーグに出場しているサンテチエンヌがグループリーグの第2戦で第1戦同様に終盤に追いついて2試合連続ドローとなったことを紹介したが、今回はもう1つのフランス勢のニースを紹介しよう。古豪と言われるニースであるが、タイトルからは遠ざかっているが、昨季はリーグ戦で4位に入り、ヨーロッパリーグの出場権を確保した。
 昨季のニースの攻撃陣の主力はハテム・ベンアルファであったが、そのベンアルファがパリサンジェルマンに移籍し、代わりに獲得したのがマリオ・バロテッリであり、このバロテッリが大活躍し、今季のリーグ戦で旋風を巻き起こし、リーグ戦の序盤戦で首位に立ったことは本連載の第2069回と第2070回で紹介した。このニースの勢いは止まらず、地力のあるパリサンジェルマンとモナコにも昨年までのような圧倒的な力がなく、首位をキープしている。

■ヨーロッパリーグでは苦戦したニース

 しかし、国内リーグ戦ではニースより下の順位にいるモナコとパリサンジェルマンはこれまでの本連載で紹介してきたようにチャンピオンズリーグのグループリーグで早々に決勝トーナメント進出を決めたのに対し、欧州での経験が少なかったのか、ニースは苦戦続きであった。

■ロシアのクラスノダールに終盤突き放され大敗

 ニースの初戦はホームでドイツのシャルケ04に敗れ、その2週間後の9月29日にロシアのクラスノダールとアウエーで対戦した。第3シードのクラスノダールは第1節で第2シードのザルツブルク(オーストリア)にアウエーで勝利している。ニースは立ち上がりこそ順調であったが、守備の乱れを突かれ、22分に先制点をあげる。さらに33分にもクラスノダールは追加点をあげ、ニースは2点のリードを許してしまう。ようやくニースが反撃を開始したのは42分、CKからつないだボールをバロテッリが泥臭く決めて1点差に詰め寄る。なんとか同点に追いつきたいニースであったが、64分にはハンドの反則でPKを献上、これを決められて再び2点差となる。71分にニースはウィリアン・シプリアンが1点差に詰め寄るゴールをあげたが、反撃はここまでであった。86分と93分には途中出場のアリに連続ゴールを許し、2-5と大敗を喫し、中盤戦に臨むことになったのである。

■少ないチャンスを守り切ってアウエーでザルツブルクに勝利

 連敗で最下位のニースと中盤戦で戦ったのは同じく連敗しているザルツブルクである。まずザルツブルクのホームで10月20日に戦い、11月3日にニースで第4節の試合を行う。何とかここで連勝して上位2チームとの直接対決に持ち込みたいところである。ザルツブルクでの試合、ニースはその目論見通りの展開となった。実はニースはこれまで欧州カップで17戦しているが一度もアウエーゲームで勝利したことがない。一度だけ1959年にプレーオフ(当時はアウエーゴール2倍ルールもPK戦もなく、中立地でプレーオフが行われた)でトルコのフェネルバフチェ相手にスイスのジュネーブで勝利したことがあるだけである。しかし、このザルツブルクでの試合、ニースはフランスリーグ首位の意地を見せた。序盤はザルツブルクに攻め込まれることが多かったが、12分にカウンターからアラッサン・プレアがザルツブルクの守備のすきをついて先制点をあげる。最初の得点機をものにしたニースが先制し、3試合目にして初めてニースはリードを奪う。ザルツブルクはスペイン人の主将のジョナサン・ソリアーノを中心にニースのゴールを襲うが、なかなか得点が奪えない。虎の子の1点をニースは駆け付けた1500人のファンの声援をバックに守りきり、アウエーで勝ち点3をあげたのである。
 そして首位攻防戦はシャルケ04がアウエーでクラスノダールを1-0と下す。二強二弱となったグループIの中盤戦は二強同士、二弱同士の対戦となったが、第3節ではいずれもアウエーチームが先勝した。第4節でホームの2チームが勝利すれば、勝ち点でニースはクラスノダールと並ぶのである。(続く)

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