第2164回 モナコ、準々決勝を突破 (5) モナコ連勝、5回目の準決勝進出

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■5分遅れたキックオフ

 アウエーの第1戦を3-2と勝利し、過去のチャンピオンズリーグのホームゲームでは欧州有数の勝率を誇るモナコ、ボルシア・ドルトムント(ドイツ)をホームのルイ二世競技場4月19日に迎えた。
 チャンピオンズリーグの準々決勝ともなると、普段はあまり観客の多くないルイ二世競技場も1万7000人の観衆で埋まる。ボルシア・ドルトムントのメンバーを乗せたバスはセキュリティ確保のために到着が遅れ、キックオフが5分遅れた。

■先制点は18歳のキリアン・ムバッペ

 最低でも2得点が必要なボルシア・ドルトムントのキックオフで始まった試合、最低でも2得点が必要なボルシア・ドルトムントはキックオフ直後から果敢に攻める。しかし、ゴール前でモナコの守備陣にクリアされる。モナコは左サイドDFに入ったバンジャマン・マンディが攻め上がり、ゴール前にクロスを入れる。ボルシア・ドルトムントのロマン・ビュルキがパンチングでクリアしたが、これを拾ったのがキリアン・ムバッペ、シュートが決まってモナコは先制点を奪う。ムバッペは今季のチャンピオンズリーグ出場7試合目で5得点である。18歳の選手でチャンピオンズリーグで5得点をあげたのはムバッペが最初である。

■光る左サイドのバンジャマン・マンディとトマ・ルマール

 この日のモナコはマンディとトマ・ルメールの左サイドの動きが光った。17分にはルメールがクロスをあげて、マークを外したラダメル・ファルカオがヘディングで追加点をあげる。ファルカオはこの日が欧州カップ50試合目の出場となる。ポルト(ポルトガル)、アトレチコ・マドリッド(スペイン)、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー(以上イングランド)と欧州を代表するクラブを渡り歩いてきたウルグアイ代表が節目の試合でゴールを決めた。このゴールが決まった直後、ボルシア・ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督は選手にアップを命じる。
 しかし、試合を支配していたのはボルシア・ドルトムントである。第1戦同様、パス主体の攻撃でモナコを圧倒する。14分にはヌリ・サヒンのシュートがポストに嫌われ、同点のチャンスを逃す。モナコが左サイドからの攻撃が多いのと同様、ボルシア・ドルトムントの攻撃もラファエル・ゲレーロ、マルコ・ロイスが左サイドから攻め上がるケースが多くなる。そしてCFのピエール・エメリク・オーバメヤンにつなぐが、エースが本来の動きができない。36分には香川真司から絶妙のパスがオーバメヤンに出されるが、オフサイドの判定となる。そして守るモナコのGKのダニエル・スバシッチも好セーブを連発する。

■4試合連続3得点をあげたモナコ

 ボルシア・ドルトムントは3点取ってようやく延長戦に持ち込むことができる。ボルシア・ドルトムントは後半開始時には早くも2人目の選手交代を行う。これが功を奏し、48分には主将のロイスが1点を返す。後半もボルシア・ドルトムントがボールを支配する構図は変わらなかったが、モナコの守備陣が集中力を切らさずに守る。
 攻められながらも余裕のあるモナコはファルカオとムバッペの2トップをベンチに下げる。控え選手にとってはチャンスである。81分にムバッペに代わって入ったバレル・ジェルマンはピッチに入ってすぐにルマールがインターセプトしたボールを受けてシュート、ボルシア・ドルトムントのGKビュルクの両足の間を抜けてゴールインする。ルマールは決勝トーナメントに入って4試合連続でアシストを決める。これは2010-11シーズンのアンドレス・イニエスタ(バルセロナ)以来、6年ぶりのことである。
 モナコは3-1と第1戦に続き連勝し、13年ぶり5回目の準決勝進出となる。モナコは決勝トーナメントに入って4試合連続で3ゴールを奪っている。これはチャンピオンズリーグの決勝トーナメント史上初めてのことである。予備戦3回戦から始まったモナコの欧州挑戦はまだまだ続くのである。(この項、終わり)

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