第2246回 中盤を迎えたチャンピオンズリーグ (5) 苦境のモナコ、先制するもドローどまり

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■クラブ史上初の決勝トーナメントを目指すベシクタシュ

 11月1日、モナコがアウエーでベクシタシュ(トルコ)と対戦した。ベクシタシュは欧州での戦いでは過去11試合負けがなく、グループリーグの前半戦は3連勝、勝ち点9である。このモナコ戦で勝利するか、引き分けた場合でもRBライプチヒ(ドイツ)がポルト(ポルトガル)に勝利すればクラブ史上初めてとなるチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出が決まる。

■苦しい布陣のモナコ、救世主となるかケイタ・バルデ

 対するモナコは第1シードながら勝ち点1で最下位、後半戦3試合で2勝1分以上の成績を残さないことには昨年に続く決勝トーナメント進出は難しくなった。モナコはチャンピオンズリーグではアウエーの戦いを特に苦手としており、準決勝に進出した昨季から通算してアウエーゲームでは戦績が悪く、4月にボルシア・ドルトムント(ドイツ)に勝利した以外は今年になってから勝ち星がない。さらにモナコは今季チームのほぼ半数の得点を記録しているコロンビア代表のラダメル・ファルカオとフランス代表としてワールドカップ予選突破に貢献したジブリル・シディベの2人を負傷で欠くという苦しい布陣である。 ただ、ベクシタシュに10月17日に敗れてから、モナコは国内リーグでは2連勝、ホームでカーンに勝利し、アウエーでボルドーに勝利している。この連勝のカギとなったのがセネガル代表のケイタ・バルデである。ファルカオと2トップを組んで出場したカーン戦、そしてファルカオが負傷により欠場したボルドー戦、ともに先制点をあげている。ベクシタシュとのイスタンブールでの試合はバルデがボルドー戦に続いて1トップを務める。

■24シーズン前を思い出させた先制点も実らずドロー

 熱狂的なサッカー熱で知られるイスタンブール、ガラタサライやフェネルバフチェが有名であるが、リーグでは2連覇中のベクシタシュのファンも熱い。この勢いでチャンピオンズリーグの決勝トーナメントという大きな目標まであとわずかである。ファンの熱い声援に押されたベクシタシュは立ち上がりから優勢に試合を進める。
 一方、モナコは左サイドのトマ・ルマールが試合序盤に相手選手と接触して地面に倒れ、結局25分にピッチを後にするなど、劣勢である。ユーリ・ティーレマンスのヘディングシュートと37分にロニー・ロペスのシュートがベシクタシュのGKのファブリにゴールライン上で阻まれた以外は枠の中にシュートが飛ばない。ところが、前半のアディショナルタイムの46分、ジョアン・モウチーニョからのパスをロペスが決めて、モナコが先制する。モナコが初めてイスタンブールの地でサッカーの試合をしたのは1994年3月16日のことである。チャンピオンズリーグのグループステージ、ガラタサライとの試合でモナコはエンゾ・シーフォのゴールなどによって2-0と勝利している。オールドファンは準決勝に進出した当時を思い出したであろう
 いい時間帯に先制したモナコ、ところが後半が始まって間もない53分、ティーレマンスがボールを奪われ、ペナルティエリア内に攻め込んだベシクタシュのリカルド・クアレスマに対し、モナコの左サイドDFのジョルジが後方からタックル、PKとなってしまう。このPKをジェンク・トシンが決めて、ベシクタシュは追いつく。その後はベシクタシュが勝ち越しを狙うが、モナコもよく対応し、結局はドローとなり、ベシクタシュの決勝トーナメント進出決定は第5節以降となる。しかしモナコも勝ち点1を加えただけで決勝トーナメント進出が厳しい状況は変わらないのである。

■圧倒的な強さを見せるパリサンジェルマン

 苦戦するモナコと比較するとパリサンジェルマンの強さがよくわかる。この時点で4連勝しているのはパリサンジェルマン以外にはマンチェスター・ユナイテッドとシティのイングランド勢があるが、パリサンジェルマン4試合の得失点差は17である。この時点でこれまでの得失点差の記録はトリプルを記録した1998-99シーズンのマンチェスター・ユナイテッドの16であり、この記録を更新した。そしてここまで無失点であり、華麗な攻撃陣ばかりに目が向くが、守備陣も盤石なのである。(この項、終わり)

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