第2301回 パリサンジェルマン、レアル・マドリッドに連敗(1) リーグ戦のマルセイユ戦でネイマールが負傷

 1998年2月20日、「サッカークリック」の「フランス・サッカー実存主義」でJ.P.モアンは連載を始めました。2018年2月20日に20周年を迎えました。「サッカークリック」で92回、「スポーツナビ」で40回、そしてこの「フランス・サッカー幻想交響曲」で2301回、全部で2433回の連載を続けてこられたのは読者の皆様のおかげです。引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。

■アウエーの第1戦で1-3と敗れたチームが勝ち抜く確率は24パーセント

 世界の注目を集めたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦、パリサンジェルマンとレアル・マドリッド(スペイン)の第1戦、マドリッドでの試合でパリサンジェルマンは先制点をあげながらも、エースのクリスチャーノ・ロナウドの2ゴールなどで、1-3と敗れた。
 2点差の敗戦ではあるが、これまでの欧州カップのホームアンドアウエーのノックアウト方式での結果を紐解くと、アウエーの第1戦で1-3と敗れたチームでも24パーセントはホームの第2戦で逆転して勝ち抜いている。ホームで2-0で勝利することを考えれば、それほど難しいことではない。そして、第2299回の本連載でも紹介したとおり、1993年3月の初対決の際は、マドリッドでの第1戦で1-3と落とした後、ホームの第2戦で4-1と劇的な勝利をあげている。25年前の大逆転劇をパリのファンは昨日のように覚えている。

■3週間のインターバルの間に4試合を戦い全勝したパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンは1-3で敗れた2月14日の試合以降タフなスケジュールをこなした。リーグ戦3試合、カップ戦1試合の合計4試合を3週間の間に戦った。そしてその中で宿敵マルセイユとは2月25日にリーグ戦、2月28日にフランスカップ準々決勝で連戦している。いずれもホームの試合であったが、パリサンジェルマンが3-0と完勝する。レアル・マドリッドとの第1戦と第2戦の間のリーグ戦は3戦全勝で2位のモナコに勝ち点14の差をつけ、すでに独走の気配、そしてフランスカップも栄光まであと2勝に迫った。

■ネイマールが負傷、代役のアンヘル・ディマリアは2試合で3得点

 このように勝敗のみを見れば、過密日程の中で順調に勝ち続け、3月6日の逆転劇に満を持しているかのように見えるが、大きなアクシデントが起こった。それは2月25日のマルセイユ戦でのネイマールの負傷である。ライバル対決とあって激しい試合となり、両チーム合わせて11枚のイエローカードの出された試合となった。しかし、パリサンジェルマンは55分までに3-0とリードを広げる。何とか反撃に出たいマルセイユはサイドDFの酒井弘樹を下げてブーナ・サールを投入する。アクシデントは試合終盤の80分過ぎに起こった。サールへのパスに対してネイマールがチャージする。その際にネイマールは右足首をひねり、グラウンドに倒れこみ、担架で運ばれる。検査の結果、右足首骨折、ロシアで行われるワールドカップの出場も危ぶまれるという重症であった。
 スペインのバルセロナから移籍してきたネイマールにとってレアル・マドリッド戦は特別な試合であったであろう。この大黒柱のネイマールを欠くことは大きな痛手であるが、3日後のフランスカップ準々決勝のマルセイユ戦には左のウイングはネイマールに代わりアンヘル・ディマリアを起用し、中央のエディンソン・カバーニ、右サイトのキリアン・ムバッペという布陣で臨んだ。ネイマールの代役のディマリアは期待に応え、先制点と2点目を決め、マルセイユ戦連勝の原動力となった。レアル・マドリッド戦前最後の試合となる3月3日のリーグ戦のトロワ戦ではパリサンジェルマンはムバッペとカバーニを外すメンバーで戦う。そしてこの日も先制点はディマリアであり、2-0と簡単に退けた。

■アラン・ロッシュの出場停止で第2戦に出場したアントワン・コンブアレ

 思えば25年前の大逆転劇、第2戦で殊勲のゴールを決めたアントワン・コンブアレは第1戦のメンバーではなかった。第1戦のアディショナルタイム、1-2とリードされていたパリサンジェルマンのアラン・ロッシュがペナルティエリア内でハンド、これが得点を阻止したという主審の判断で、パリサンジェルマンは3点目を失うとともに、ロッシュも第2戦出場停止となる。ロッシュの代役として出場したのがコンブアレだったのである。今回はネイマールの代役がラッキーボーイになる予感の高まる中で、3月6日をパリは迎えた。試合当日の3月6日付のレキップ紙の1面は決勝ゴールを決めたコンブアレのゴール後の歓喜の姿の写真で飾り、大逆転劇の再現を祈っているのである。(続

このページのTOPへ