第2335回 マルセイユ、ヨーロッパリーグ準優勝(5) 最多観客数をまた更新、マルセイユ幸先よく先勝

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■グループリーグではマルセイユは1分1敗

 豊富な資金量で選手を獲得しオーストリアリーグの中では頭一つ抜け出しているレッドブル・ザルツブルクであるが、欧州のステージでは苦戦が続いていた。今季もチャンピオンズリーグ予備戦3回戦から登場したが、クロアチアのリエカと対戦、2試合とも引き分けたが、アウエーゴールの差で初戦で敗れてしまう。これでヨーロッパリーグのプレーオフに転戦し、ルーマニアのビトルルと対戦する。聞きなれないチームであるが2009年に名手ゲオルゲ・ハジが創設したチームである。レッドブル・ザルツブルクは2戦とも勝利し、本戦に出場する。
 本戦では第1シードとしてグループIに入る。このグループに第2シードとして入っていたのがマルセイユであった。グループリーグでの戦いについては本連載でも紹介してきたとおりであるが、3勝3分の無敗で首位通過する。2位のマルセイユはレッドブル・ザルツブルクにアウエーで0-1と敗れ、ホームでは0-0で引き分けている。マルセイユは2試合でノーゴールであった。

■決勝トーナメントで次々に強豪を下したレッドブル・ザルツブルク

 決勝トーナメントでも無敗記録は続く。1回戦はスペインのレアル・ソシエダ、アウエーの第1戦は2-2の引き分け、ホームに戻り2-1と勝利する。2回戦はドイツのボルシア・ドルトムントである。ホームでの1回戦は2-1と勝利し、アウエーの第2戦はスコアレスドローに持ち込み、またも強豪を下した。
 今季のヨーロッパリーグの台風の目となったが、準々決勝のラツィオ(イタリア)戦はアウエーの第1戦で2-4と敗れた。快進撃もここまでかと思われたが、ホームでは4-1と終盤に得点を重ねて逆転勝利したのである。

■準々決勝に続いてまたも最多観客動員数を更新

 準決勝の第1戦は4月26日にマルセイユの本拠地ベロドロームで行われた。決勝はリヨンで行われるため、マルセイユのファンが地元でヨーロッパリーグで戦うマルセイユの姿を見るのはこれが最後である。集まったファンは実に62,312人である。前々回の本連載では準々決勝のRBライプチヒ戦で今季最多の61,882人の観衆が集まったと紹介したが、それを上回る観衆が集まった。欧州カップ戦でも史上最多の観客数となり、数々の欧州カップ戦を戦ってきたマルセイユにとって記念すべき日となった。

■フローリアン・トーバン、クリントン・エンジエのゴールでマルセイユ先勝

 そして、その大観衆の期待に応える試合内容となった。序盤からマルセイユは優勢に試合を進め、満員のファンの歓声を誘う。この日大活躍だったのはディミトリ・パイエである。ヨーロッパリーグというタイトルも重要であるが、このようなビッグゲームでの活躍は6月のワールドカップでのロシア行きへとつながっている。16分にパイエがFKを蹴り、これをフローリアン・トーバンがファーポストでヘディングで合わせる。トーバンのヘディングシュートはレッドブル・ザルツブルクのGKの両手の間をすり抜けて、先制点となる。
 マルセイユが1点リードして折り返したが、53分にベロドロームのファンが肝を冷やすシーンがあった。自陣ペナルティエリア内でマキシム・ロペスが相手選手に接触する。レッドブル・ザルツブルクはPKをアピールするが、ペナルティはとらず試合続行。
 そして64分にはカメルーン代表のクリントン・エンジエが追加点をあげる。60分にロペスに代わってピッチに入ってきたエンジエが見事にインパクトのあるゴールを決めて、マルセイユが2-0とリードを広げる。
 結局、試合は2-0というスコアでマルセイユが先勝する。このスコアは14年前に当時のUEFAカップの準決勝のニューカッスル(イングランド)戦、アウエーでのスコアレスドローの後にホームのベロドロームで行われた第2戦と同じスコアである。14年ぶりの欧州カップの決勝進出に向けてマルセイユは幸先良い先勝を飾ったのである。(続く)

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