第2459回 欧州カップの決勝トーナメント始まる(3) レンヌ、決勝トーナメント初戦はドロー

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今年国内最初の国際試合となるレンヌ-ベティス戦

 前回の本連載では2月12日に行われたチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦の第1戦でパリサンジェルマンがマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に勝利したことをお伝えしたが、これはアウエーゲームであり、フランス国内で初めての国際試合は2月14日のヨーロッパリーグのレンヌ-ベティス(スペイン)戦である。

■クラブ史上初めて年を越えて欧州カップを戦うレンヌ

 フランス有数の大学都市であるレンヌ、もともとはレンヌ大学の学生のクラブであったレンヌはリーグ優勝こそないものの、近年はビッグクラブに次ぐ成績を残し、今世紀に入ってからは1部に継続して在籍し、二桁順位は4回だけであり、欧州への挑戦もしている。昨季までレンヌはカップウィナーズカップに2回、UEFAカップに3回、ヨーロッパリーグ1回ずつ出場している。しかし、2回のカップウィナーズカップはいずれも初戦で敗退、3回のUEFAカップは予備戦あるいはグループリーグで敗退、そして唯一の出場となる2011-12シーズンのヨーロッパリーグもグループリーグで最下位に終わっている。そして今季はリーグ5位として予備戦なしでヨーロッパリーグのグループリーグから出場し、強豪のディナモ・キエフ(ウクライナ)には連敗したものの、第5節と第6節で連勝して2位に滑り込み、クラブ史上初めて年を越えて欧州カップを戦うことになった。
 しかし、決勝トーナメントの相手はスペインのベティスである。今季から日本の乾貴士が所属していたが、1月にアラベスにレンタルされている。スペインでタイトルを獲得するレベルのチームではないが、熱心なファンに支えられ、昨季はリーグで7位に入り、5年ぶりのヨーロッパリーグとなった。グループリーグでは3勝3分と負けなしで首位、なかでもACミラン(イタリア)相手にホームで引き分け、アウエーでの勝利は特筆に値する。
 ベティス有利という予想の中ではあったが、レンヌのロアゾン競技場は国内で2019年最初の国際試合を迎えるとあって2万8000人のファンで埋め尽くされたのである。

■2点差で後半を迎えたレンヌ

 試合は予想とは異なる得点経過となる。レンヌは開始2分にハテム・ベンアルファが左サイドに展開、左サイドから折り返しのクロスが戻ってきたところをアドリアン・ウヌーが先制点をあげる。さらに9分にはセネガル代表として昨年のワールドカップでも日本代表を苦しめたイスマイラ・サールのクロスボールをベティス守備陣が誤ってオウンゴール、開始10分足らずでレンヌは2点をリードした。
 しかし、地力に勝るベティスが試合を支配する。圧倒的なボール支配率で赤と黒のユニフォームのレンヌは自陣にくぎ付け、緑と白の縦縞のユニフォームのベティスが攻め続ける。ベティスの反撃は32分、パリサンジェルマンから出場機会を求めてレンタルされてきたジョバニ・ロセルソが1点を返す。この後もベティスが攻め続けるが、前半のアディショナルタイム、ペナルティエリア内でサールが倒される。PKを得たレンヌはベンアルファが決めて、3-1と得点差を2に戻してハーフタイムを迎える。

■試合終盤に追いつかれドローに終わったレンヌ

 後半に入り、62分にベティスは1点を返し、1点差に迫る。パスをつないで同点、逆転を狙うベティスに対し、レンヌはよく守る。このまま勝利かと思われた90分、レンヌはベティスにCKを与える。セルヒオ・カナレスの蹴ったボールにヘディングで合わせたのはヘセである。2016年の夏にレアル・マドリッド(スペイン)から鳴り物入りでパリサンジェルマンに移籍するが、思ったような活躍ができず、レンタル移籍を繰り返す。そして1月末からベティスにレンタルされることになった。ヘセのヘディングはファーポストに流れ、そこをディエゴ・ライナスが決めて、ベティスは追いつく。
 レンヌは勝ち星を逃したが、守勢一方の中での3得点は第2戦に大きな希望をつないだのである。(続く)

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