第2471回 フランス勢、ベスト8に残れず(1) レンヌはアーセナルと対戦

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■早春の期待を裏切ったラグビー代表とパリサンジェルマン

 前回までの本連載ではラグビーのフランス代表の6か国対抗での戦いを紹介してきた。結局2勝3敗で4位になったが、上位3チームとの差を感じさせ、今秋に控えるワールドカップに向けて長期低迷から抜け出すことができないのではないかと、多くのファンは思ったであろう。
 そしてサッカーであるが、欧州カップの決勝トーナメントにフランス勢で最初に登場したパリサンジェルマンは、イングランドのマンチェスター・ユナイテッド相手にアウエーの第1戦で勝利しながら、ホームの第2戦の終了間際に決定的な得点を奪われ、敗退してしまった。リヨンはスペインのバルセロナ相手にホームの第1戦はスコアレスドローに終わっている。

■ベティスにアウエーで勝利したレンヌは2回戦でアーセナルと対戦

 その中でフランスのファンを驚かせたのがレンヌである。スペインのベティス相手にホームの第1戦では3-3のドロー、熱狂的なファンの支える第2戦にはチャンスはないかと思われたが、なんと3-1でアウエーの試合を制す。クラブ史上初めて年を越えて欧州カップを戦うチームは2回戦に進出した。そして2回戦の相手はイングランドのアーセナルである。
 アーセナルはプレミアリーグの強豪であるが、1968年には訪日し、メキシコオリンピックを控えた日本代表と対戦し、数多くの日本人選手も在籍したことから日本の皆様はよくご存じのチームである。そして日本の名古屋グランパスエイトを天皇杯優勝に導いたアルセーヌ・ベンゲルを監督に招聘したことも日本のファンの方々には記憶に新しいであろう。そのアーセナルもエミレーツ競技場に移転してからはFAカップは獲得したことがあるが、プレミアリーグでは優勝から遠ざかっている。昨季はリーグ6位で2年連続でチャンピオンズリーグ出場を逃した。

■22年間チームを率いたアルセーヌ・ベンゲルが退いたアーセナル

 ついに22年間にわたってアーセナルを率いてきたベンゲルが退任することになった。そしてその後任は昨季までパリサンジェルマンを率いていたウナイ・エメリとなった。今季はチャンピオンズリーグ出場圏内におり、レンヌとの第1戦の直前にはリーグ戦でトットナム・ホットスパーとのノースロンドンダービー、3位争いをする両チームは譲らず1-1のドローでレンヌに乗り込む。
 レンヌにとっては歴史的な対戦とあって3月2日に開始されたチケットの窓口販売には長蛇の列となった。第1戦はレンヌのホームゲームである。決勝トーナメントの1回戦はグループリーグを首位で通過あるいはチャンピオンズリーグのグループリーグ3位で成績の良いチームがシードとなり、第1戦をアウエーで戦い、グループリーグ2位のレンヌは第1戦をホームで戦った。しかし、2回戦以降はどちらが第1戦をホームで戦うかはくじで決まる。ところが、UEFAの規定には同一日に同一都市で複数の試合を行わないとなっており、この日ロンドンではチェルシーがディナモ・キエフを迎え、アーセナルはロンドンを離れて試合を行うことになったのである。
 意外なことに、過去5季のヨーロッパリーグの2回戦のデータを見ると第1試合をホームで戦うチームの方が準々決勝に進む確率が高いのである。また、レンヌはホームではこのところ12試合連続で負けていない。昨年12月の初めにストラスブールに負けて以来好調を保っている。

■試合前から火花を散らすウナイ・エメリとハテム・ベンアルファ

 ファンのボルテージは高まる一方であるが、試合前から火花を散らす気配があるのが、アーセナルのエメリ監督とレンヌのエースのハテム・ベンアルファである。ベンアルファは2016年にローラン・ブラン監督の引きでパリサンジェルマンに移籍したが、監督がブランからエメリに交代、ベンアルファは個人プレーが目立つとエメリ監督から嫌われ、不遇な時代を送り、契約満了となる2018年夏にレンヌに移籍、レンヌの快進撃の主軸となった。ベンアルファにとっては自らに冷や飯を食わせたかつての監督を見返す絶好の機会となり、エメリは自らの判断が正しかったことを証明する対決となったのである。(続き)

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