第2472回 フランス勢、ベスト8に残れず(2) レンヌ、ホームでアーセナルに先勝

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■先制点はジェイジェイ・オコチャのおい、アレックス・イウォビ

 ヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出、さらに1回戦突破とクラブ史上最高の欧州での成績となるレンヌは2回戦でイングランドのアーセナルをホームに迎える。1901年に設立したクラブの歴史においてこの3月7日の夜は記念すべき時となった。
 クラブ史上第3位となる29,171人の観衆の見守る中でのキックオフ、先制点を挙げたのは水色のユニフォームを着たアーセナルであった。4分に左サイドからアレックス・イウォビが切れ込みそのままシュートまで持っていく。見事にレンヌから先制点を奪う。ナイジェリア代表のイウォビはかつてナイジェリア代表としてそしてパリサンジェルマンの選手として活躍したジェイジェイ・オコチャのおいであり、アーセナルのユースチーム上がりの選手である。

■ハテム・ベンアルファを反則でしか止められないアーセナル

 この先制点でレンヌのファンはここまでかと思ったが、大声援に押されてレンヌはその後盛り返す。試合はレンヌが優勢に進めるようになる。特に精彩を放ったのが前回の本連載でも紹介したハテム・ベンアルファ、この一戦に特別な思いを持つベンアルファの突進に対してアーセナルは反則で止めることしかできず、ローラン・コシエルニーとストッパーのコンビを組むソクラテス・パパスタソプーロスは36分にファウルでベンアルファを止めて1枚目のイエローカード、そして41分にはイスマイラ・サールにファウルをして、2枚間のイエローカードはレッドカードに変わる。試合時間を半分以上残した段階でピッチから去ってしまった。

■数位的優位に立ったレンヌが逆転

 その直後にFKから得たチャンス、42分にバンジャマン・ブージジョーがスペクタクルなゴールで同点に追いつく。アーセナルの誇る名GKペトル・チェフもキャッチすることができず、1-1でハーフタイムを迎える。
 後半は数的優位になったレンヌが勢いづいた。ボール支配率もシュート数もレンヌが上回り、61分にはグラニト・ジャカがベンアルファにファウルをして警告を受ける。そして65分にはレンヌの右サイドDFのメフディ・ゼファンがアーセナルの選手からボールを奪い、クロスを上げる。このクロスをアーセナルのナチョ・モンレアルがミスタッチして、ボールは自らのゴールの中に吸い込まれていく。

■名手ペトル・チェフからイスマイラ・サールがダイビング・ヘッドで追加点

 思わぬ展開とスコアに歓喜するロアゾンパークのファン、そしてそのボルテージが最高となるのは試合終了間際のことであった。レンヌはリードしているが、追い付かれれば2-2のドロー、1週間後のアウエーの第2戦でアーセナルが勝つか1点以下のロースコアの引き分けとなれば、アーセナルがベスト8入りとなる。終盤は守備的に行きたいところであったが、レンヌは攻め続ける。アーセナルのゴールを執拗に狙ったのがベンアルファである。しかし、ベンアルファをはじめとするレンヌのシュートをチェフは止め続ける。ところがさすがのチェフも止めることのできないシュートが88分に生まれる。レンヌは自陣からのカウンターアタックを仕掛け、左サイドに途中から入ったジェームズ・レア・シリキがクロスを上げる。ファーポストに走りこんできたのがサールであった。ダイビングしながらのヘディングシュートが見事に決まり、レンヌは3-1と第1戦を制したのである。
 有利とみられていたアーセナルは前半の終盤にレッドカードで1人減ってから、ウナイエメリ監督が特段の手を打つわけではなく、そのまま時間が過ぎていくのを待っているようであった。ピッチ上では特に攻撃陣が不振であり、年明けから調子を落としているピエール・エメリク・オーバメヤンをはじめとし、精彩を欠き、最年長かつ最後尾のチェフが孤軍奮闘している状況であった。
 1回戦のベティス(スペイン)相手の勝利が決してフロックではないことをこの日のレンヌは示したのである。(続く)

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