第2595回 終盤戦のチャンピオンズリーグのグループリーグ(4) 首位から最下位までの可能性のあるリヨン

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■最終節に望みを託すリヨン

 このシリーズの本連載ではチャンピオンズリーグの終盤の模様を紹介しているが、第5節でパリサンジェルマンはレアル・マドリッド(スペイン)と引き分けて、グループリーグ首位突破を決め、リールはアヤックス・アムステルダム(オランダ)に完敗し、最下位が確定してしまった。最終節を待たずして順位が決まってしまったチームと逆に、最終節まで決勝トーナメント進出をかけて戦うことになったのが第5節でゼニト・サンクトペテルブルク(ロシア)に敗れたリヨンである。
 リヨンの所属するグループGは第5節終了時点でドイツのRBライプチヒが勝ち点10、勝ち点7でリヨンとゼニト・サンクトペテルブルクが並び、最下位は勝ち点4のベンフィカ(ポルトガル)である。最終節は12月9日21時にリヨン-RBライプチヒ、ベンフィカ-ゼニト・サンクトペテルブルクが同時にキックオフされる。
 第5節で引き分けたRBライプチヒはチャンピオンズリーグの出場権を手にしたが、王手をかけていたリヨンがアウエーでゼニト・サンクトペテルブルクに敗れたことからそれ以外のチームはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントの出場権争いが極めて複雑になった。リヨンとゼニト・サンクトペテルブルクにはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの戦いを継続する可能性があり、ベンフィカにもヨーロッパリーグの決勝トーナメントの夢がある。さらにリヨンについては最終順位が1位から4位までの可能性がある唯一のチームである。

■最終戦で勝利すれば首位突破となるリヨン

 首位のRBライプチヒはリヨン戦で引き分け以上であれば首位で決勝トーナメント進出となる。ところがリヨンに敗れた場合、RBライプチヒとリヨンは勝ち点10で並ぶ。この2チームのみを比較すれば、両チームの直接対決ではリヨンが2勝しているためリヨンが優先される。もう1試合でゼニト・サンクトペテルブルクがベンフィカに引き分け以下であれば、勝ち点10の2チームが決勝トーナメント進出、そしてリヨンが首位突破、RBライプチヒは2位突破となる。また、ゼニト・サンクトペテルブルクがベンフィカに勝利した場合、勝ち点10で3チームが並ぶ。この3チームの間の直接対決の結果となるとリヨンが2勝1分1敗で首位、ライプチヒが2勝2敗で2位、ゼニト・サンクトペテルブルクが1勝1分2敗で3位となる。すなわちリヨンはホームの最終戦で勝てば首位突破となる。

■最下位の可能性もあるリヨン

 逆に、この時点で最下位のベンフィカもゼニト・サンクトペテルブルクに勝利すれば勝ち点を7に伸ばす。リヨンがRBライプチヒに敗れれば3チームが勝ち点7で2位以下に並ぶことになる。この場合もまた同じ勝ち点のリヨン、ゼニト・サンクトペテルブルク、ベンフィカの直接対決の結果となり、まずゼニト・サンクトペテルブルクが2勝1分1敗で2位、次にベンフィカが2勝2敗で3位、最後にリヨンが1勝1分2敗で最下位となる。すなわちリヨンは最下位の可能性もある。
 ベンフィカは、最終節でホームでゼニト・サンクトペテルブルクに勝利すれば勝ち点で並ぶが、リヨンが引き分け以上の場合、3位争いをゼニト・サンクトペテルブルクと行う。その際、直接対決となるが、アウエーで1-3と敗れているベンフィカがホームでそれ以上の成績を残せば、3位に滑り込むことになる。
 またリヨンが敗れてもベンフィカが勝利しなかった場合、すなわちゼニト・サンクトペテルブルクが勝ち点1以上を得るので、リヨンは3位となりヨーロッパリーグへと転戦することになる。

■ゼニト・サンクトペテルブルクの直接対決で劣るリヨンは勝利が欲しい

 リヨンが勝つか負けるかしたケースを想定してきたが、リヨンが引き分けた場合はゼニト・サンクトペテルブルクが負けなくてはチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出とならない。リヨンはゼニト・サンクトペテルブルクとは1分1敗、すなわちこの2チームのみが同勝ち点で2位争いをする場合はゼニト・サンクトペテルブルクが優先されてしまい、ゼニト・サンクトペテルブルクがチャンピオンズリーグ、リヨンがヨーロッパリーグとなってしまう。したがって、リヨンは引き分け以下の場合はゼニト・サンクトペテルブルクよりもいい成績でなければならず、勝利がぜひとも欲しい。
 このような条件でホームのリヨンで行われた試合、思わぬ展開が待っていた。(続く)

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