第2602回 フランス勢不振のヨーロッパリーグ(6) サンテチエンヌもグループリーグ敗退決定

 読者の皆様、あけましておめでとうございます。連載を開始して19回目の新年を迎えました。
 9年前の東日本大震災、4年前の平成28年熊本地震、昨年の台風15号、18号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、すべての日本の皆様に激励の意を表します。
 本年もよろしくご愛読のほどお願いいたします。

■第5節で敗退の危険性もあるサンテチエンヌ

 前回の本連載では中盤戦でルーマニアのCFRクルージに連敗したレンヌが第4節を終えた時点でグループリーグ敗退が決まったことを紹介した。
 レンヌとともにフランスから参戦しているサンテチエンヌは中盤戦でウクライナのオレクサンドリーヤと2試合連続で引き分けてしまい、上位進出のチャンスをいかすことができなかった。サンテチエンヌの所属するグループIの首位はベルギーのゲントで勝ち点8、ドイツのヴォルフスブルクが勝ち点5で続き、サンテチエンヌとオレクサンドリーヤは勝ち点3である。11月28日の第5節はサンテチエンヌ-ゲント、オレクサンドリーヤ-ヴォルフスブルクの2試合が予定され、ヴォルフスブルクが勝利し、サンテチエンヌが引き分け以下の場合、サンテチエンヌの敗退が決まってしまう。サンテチエンヌはなんとか首位のゲントにホームで勝利し、アウエーで行われるアウエーのヴォルフスブルク戦に望みをつなぎたいところである。

■国内外で10試合連続で負けのないサンテチエンヌ、ウクライナ勢がカギを握るゲント

 今季のシーズン初めは不調だったサンテチエンヌであるが、新監督のギスレーン・プランタンを第3節のオレクサンドリーヤの後に更迭し、クロード・ピュエルが新監督となった。実はサンテチエンヌはプランタン前監督の更迭前から負けがなく、9月25日のニーム戦で負けたのを最後に10試合負けがなく(5勝5分)、リーグ順位も5位まで上昇させ、この勢いで決勝トーナメント進出へ逆転したい。
 サンテチエンヌとゲントは9月19日の第1節で対戦し、この時はホームのゲントが3-2で勝利している。ゲントのカギを握るのは3人のウクライナ人選手である。欧州選手権予選で活躍したロマン・ヤレムチュクがこのクラブに移籍してきたのは2シーズン前のことであったが、ヤレムチュクの活躍を機に、その後2人のウクライナ人選手、ロマン・ベズスとイゴール・プラストンが加わった。

■スコアレスドローでグループリーグ敗退となったサンテチエンヌ

 サンテチエンヌの本拠地ジェフロワ・ギシャール競技場には2万5000人のファンが詰めかけ、スタンドを緑一色に染めてヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出を願う。しかし、サンテチエンヌはなかなか得点を奪うことができない。29分にはデニ・ブアンガのシュートがバーをたたき、期待のFWのロイス・ディオニーは不調でチャンスを逃し続ける。気になるもう1つのウクライナでの試合であるが、前半終了間際にヴォルフスブルクが先制する。
 ハーフタイムを迎えた時点でこのままでは敗退が決まってしまう。サンテチエンヌはゲントよりも早めに選手交代のカードを切り、そして76分、ゲントの選手が2回目の警告でレッドカード、残り14分間をサンテチエンヌは数的有利な状況で戦うことになった。ところがサンテチエンヌは好機をいかせず、このままスコアレスドローとなる。もう1試合はヴォルフスブルクが先制点を守り切って勝利する。この結果、グループIはゲントとヴォルフスブルクの決勝トーナメント進出が決まり、サンテチエンヌはオレクサンドリーヤとともにグループリーグ敗退が決定する。

■敗退後の12月は勢いが対照的なレンヌとサンテチエンヌ

 サンテチエンヌはこの引き分けで国内外で11試合負けなしとなったが、欧州の舞台では3年前の12月にベルギーのアンデルレヒトに勝利して以来4分3敗と7試合勝ちがない。
 なお、サンテチエンヌがグループリーグ敗退直後の12月1日に国内リーグ戦でレンヌとサンテチエンヌが対戦する。レンヌも11月28日にはセルチック・グラスゴー(スコットランド)に敗れているが、この試合はホームのレンヌが勝利した。
 この試合を境に両チームの流れが変わり、レンヌは12月は国内リーグでは5戦全勝で順位を3位まで上げ、ヨーロッパリーグでもラツィオ(イタリア)に勝利している。一方、サンテチエンヌは12月のリーグ戦は1勝4敗で順位を14位まで下げ、ヨーロッパリーグの最終戦でもヴォルフスブルクに敗れる。また、欧州組が12月に参戦したリーグカップではレンヌは初戦で敗れたが、サンテチエンヌは勝利している
 国内タイトルだけを目指す両チームの年明けの動向に注目である。(この項、終わり)

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