第2706回 パリサンジェルマンとリヨン、準決勝進出 (7) 10年ぶり2度目の準決勝進出を狙うリヨン

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■準決勝に進出したRBライプチヒとバイエルン・ミュンヘンのドイツ勢

 前回までの本連載ではパリサンジェルマンがアタランタ(イタリア)に逆転勝利し、欧州カップでは23年ぶり、チャンピオンズリーグでは25年ぶりの準決勝に進出したことを紹介した。
 準々決勝は1日1試合のペースで行われ、翌日にはドイツのRBライプチヒがスペインのアトレチコ・マドリッドに勝利し、準決勝でのパリサンジェルマンの対戦相手となる。その翌日にはドイツのバイエルン・ミュンヘンがスペインのバルセロナを8-2という一方的なスコアで下し、驚きを与える。

■マンチェスター・シティと対戦するリヨン

 そして最後にベスト4の座を争うのがリヨンとイングランドのマンチェスター・シティである。今季まで23年連続で欧州カップを戦ってきたリヨンであるが、国内での成績では来季の出場権を得ることができなかった。このリスボンでの戦いで優勝すれば、タイトルホルダーとなって24年目の欧州での戦いを続けることができる。
 リヨンの過去23年間の成績を振り返ると越年できなかったのは3回だけであり、安定した成績を誇っている。準決勝には2回(2009-10グループシーズンのチャンピオンズリーグ、2016-17シーズンのヨーロッパリーグ)、それ以外に準々決勝にも5回(1998-99シーズンのUEFAカップ、2003-04シーズンのチャンピオンズリーグ、2004-05シーズンのチャンピオンズリーグ、2005-06シーズンのチャンピオンズリーグ、2013-14シーズンのヨーロッパリーグ)進出している。さらに歴史をさかのぼれば1963-64シーズンのカップウィナーズカップでは準決勝、1967-68シーズンのUEFAカップでは準々決勝に進出している。
 リヨンと言うと2000年代のリーグ7連覇の印象が強いが、実はそれ以外の期間で欧州では好成績を残しており、2010年代はパリサンジェルマンの陰に隠れているが、パリサンジェルマンの到達できなかった準決勝にも2回進出している。

■10年前にはボルドーとのフランス勢対決を制して準決勝に進出

 チャンピオンズリーグでは10年ぶりの準々決勝となるが、10年前の準々決勝は今でもフランスのサッカーファンでは語り継がれるカードである。ベスト8決定戦でスペインのレアル・マドリッドを下したリヨンは準々決勝で同じフランス勢のボルドーと対戦した。欧州カップの長い歴史の中でフランス勢同士が対戦したのはこれが初めてのことである。前年のフランスリーグを制したボルドーをジェルラン競技場に迎えたリヨンは、ミッシェル・バストスが1ゴール、リサンドロ・ロペスが2ゴールをあげて3-1と先勝する。ボルドーでの第2戦は0-1と失点を抑え、1勝1敗で2試合通算成績でクラブ史上初のチャンピオンズリーグでの準決勝に進出したのである。これがリヨンにとって最初のチャンピオンズリーグでの準々決勝突破である。

■再開後の試合数の違いが懸念材料のリヨン

 そのリヨンであるが、シーズン再開後は満足した結果を残していない。本連載でも紹介したが、7月31日のリーグカップ決勝ではパリサンジェルマン相手にスコアレスドロー、PK戦で敗れている。そして、準々決勝進出を決めた決勝トーナメント1回戦ではユベントス(イタリア)相手に勝ち抜いてはいるものの、8月7日の試合そのものは0-1と敗れている。
 対するマンチェスター・シティはシーズンが再開してからは好調な成績を残し、8勝2敗であり、リーグ3連覇は逃したものの、2位に入っており、来季もチャンピオンズリーグで戦う。またFAカップでも2試合戦い、準々決勝では勝利し、準決勝でアーセナルに敗れている。再開後の戦績は9勝3敗である。  再開後の試合数の少なさが気になるところであるが、それは3日前準決勝進出を決めたパリサンジェルマンも同様であったが、イタリアのアタランタに勝利している。リヨンはこれまでチャンピオンズリーグの準々決勝は4回戦い、勝ち抜いたのはボルドーと対戦した時だけである。初めて国外のチームを破って準決勝に進出できるのか、ファンの期待は大きい。(続く)

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