第2890回 2021-22チャンピオンズリーグ開幕(5) MNMそろい踏みもクラブ・ブルージュと引き分け

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■リーグ戦で5戦全勝のパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンのチャンピオンズリーグ初戦の相手はベルギー王者のクラブ・ブルージュである。欧州の上位のリーグのチャンピオンとはいえ、チャンピオンズリーグでの成績は芳しくない。パリサンジェルマンは第2節に控えているマンチェスター・シティ(イングランド)戦前に勝ち点3を確保しておきたい。
 今シーズンのパリサンジェルマンはこれまでにリーグ戦を5試合戦い、全勝して2位以下に大きく差をつけている。

■リオネル・メッシ、パリサンジェルマンで初先発

 このクラブ・ブルージュ戦が今季6試合目となるが、いよいよこの試合でリオネル・メッシが先発する。メッシはシーズン開幕後の移籍ということもあり、パリサンジェルマンでのデビューは8月29日の第4節のスタッド・ド・ランス戦、キリアン・ムバッペの2ゴールでリードが拡がった66分、ネイマールに代わってピッチに背番号30が入ってきた。しかし、続く第5節のクレルモン戦はベンチからも外れる。メッシにとってパリサンジェルマンでの初先発はチャンピオンズリーグの初戦まで待たなくてはならなかったのである。

■夢のMNMが先発したパリサンジェルマンの攻撃陣

 そしてメッシは右サイドで出場したが、中央にはムバッペ、左にはネイマール、夢のMNMがそろい踏みとなる。メッシとネイマールがかつて在籍した当時のスペインのバルセロナではこの2人に加え、ルイス・スアレスと合わせてMSNと言われており、ゴールを量産した。パリサンジェルマンのファンはMNMがクラブとしても、フランス勢としても実質初めてのチャンピオンズリーグ優勝をもたらしてくれると期待せずにはいられない。隣国とはいえ、パリから1400人のファンがブルージュに駆け付けた。
 2年前の対戦では5得点を奪っているパリサンジェルマン、そしてチャンピオンズリーグのグループでは過去32試合連続得点という記録を持っており、MNMがゴールラッシュをもたらすのではないかという戦前の予想であった。

■クラブ・ブルージュが大健闘、1-1のドローに終わる

 しかし、27,546人の観衆に後押しされた青と黒のユニフォームのクラブ・ブルージュはパリサンジェルマンに対し、積極的に仕掛けてきた。ボール支配率こそ白のユニフォームのパリサンジェルマンが優勢であったが、クラブ・ブルージュは果敢に前に出るディフェンス、そしてボールを奪ったら速攻という、強豪チームに対する際の堅守速攻のお手本のような試合をした。
 しかし、先制点はパリサンジェルマンであった。15分に左サイドをドリブルで駆け上がったムバッペがクロスを入れる。ペナルティスポット付近でこのクロスに合わせたのがアンデル・エレーラであった。左足のシュートがゴールネットを揺らした。
 これに対し、クラブ・ブルージュも少ないチャンスから反撃する。27分にはCFのチャールズ・デケテラールが左サイドのDFのエドゥアルド・ソボルにいったん戻し、ソボルが攻めあがってクロスをあげる。これをフリーのハンス・ファンアーケンが右足でシュート、プレスネル・キンペンベがブロックしたが、コースが変わり、ケイロル・ナバスの守るゴールに吸い込まれていった。
 同点に追いつかれたパリサンジェルマンは29分、初先発となったメッシがシュート、これはポストに当たり、勝ち越しには至らない。守勢のクラブ・ブルージュは少ないチャンスをシュートまでもっていくが、33分、39分とナバスの好セーブに阻まれる。
 1-1のタイスコアのまま試合は後半に入る。後半開始時点でパリサンジェルマンは選手を2人交代し、マウリシオ・ポチェッティーノ監督の勝ち点3にこだわる姿勢が見える。ところが、50分にアクシデントが起こる。ムバッペが左足を負傷し、ピッチを去る。前半から左足の負傷を気にしており、マウロ・イカルディにポジションを譲り、夢のMNMトリオはここで解消した。3人の間で交わされたパスは19本、しかし、中央のムバッペへのパスは4本にとどまった。
 結局、試合は1-1のドローであったが、クラブ・ブルージュのシュート数は16本、パリサンジェルマンの9本を大きく上回り、ブルージュのヤン・ブレイデル競技場は優勝したような騒ぎとなった。一方、ポチェッティーノ監督就任後のパリサンジェルマンはシュート数で相手を下回ることが多く、課題と言えるであろう。(この項、終わり)

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