第2909回 中盤戦を迎えたチャンピオンズリーグ (2) 9年ぶりの勝利で2位に浮上したリール

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ホームで成績が悪いリール

 チャンピオンズリーグの第3節でリールはスペインのセビリアとスコアレスドロー、チャンピオンズリーグで10戦連続未勝利となった。リールは特にホームゲームの成績が悪く、21戦して3勝しかしていない。20試合以上チャンピオンズリーグのホームゲームを戦ってリールより成績の悪いのはルーマニアのステアウア・ブカレスト(21戦して2勝)だけである。リーグチャンピオンとして臨んだ今年のチャンピオンズリーグもホームゲームは3試合中2試合消化してしまい、後半戦はグループGで最も力があると目されているセビリアとのアウエーゲームから始まる。
 セビリアとのホームゲームを終えてからアウエーゲームを戦うまでにリールは国内リーグを2試合戦った。10月23日にはホームにブレストを迎え、ジョナサン・デビッドが先制したが、追い付かれてドロー、10月29日にはアウエーでパリサンジェルマンと対戦する。リールは欧州のトップレベルのチームとアウエーで連戦することになる。この試合もデビッドが先制して、ハーフタイムを迎えたが、後半にマルキーニョスとアンヘル・ディマリアのゴールで逆転されて、1-2と敗れてしまう。国内リーグでの順位も11位から12位へと順位を落としてしまう。

■2位以下は混戦となったグループG

 リール-セビリア戦と同日に行われたレッドブル・ザルツブルク(オーストリア)-ヴォルフスブルク(ドイツ)戦は3-1でレッドブル・ザルツブルクが勝利している。この結果、グループGは前半戦を終えた段階で首位はレッドブル・ザルツブルク(2勝1分、勝ち点7)、2位セビリア(3分、3)、3位リール(2分1敗、2、得失点差-1)、4位ヴォルフスブルク(2分1敗、2、-2)となっている。2位以下は混戦であり、すべてのチームに可能性が開かれている。

■先制点はここまで3引き分けのセビリア

 リールはこのチャンピオンズリーグで孤軍奮闘してきたトルコ代表のベテランのブラク・イルマズが病気のため欠場、2トップはティモシー・ウェアとデビッドが組む。それ以外にGKのレオ・ジャルディム、DFのスベン・ボトマンが負傷のためにメンバーから外れている。一方、ここまで勝利のないセビリアであるが、出場できないのはMFのパプ・ゴメスくらいであり、ジュール・クンデも戻ってきた。セビリアは地元で初勝利をあげて、首位突破に向けた足掛かりにしたいところである。
 2週間前のリールでの対戦同様、ボール支配率はセビリアが上回る。9分にはジョナタン・イコネが自陣でハンド、これで得たFKをマルコス・アクーニャがゴール前にあげる。これを東京オリンピックでも活躍したラファ・ミルがヘディングでシュート、リールはCKに逃げる。そして15分にセビリアはラファ・ミルのシュートがシュート、これをリールのGKのイボ・グルビッチが好セーブするが、こぼれたところをルーカス・オカンポスが押し込んで先制点をあげた。

■同点に追いついてから勢いの出たリールが逆転勝利

 ところが、リールは押され気味とはいえ、積極的に攻撃を仕掛け、逆転を狙いにいった。17分にはゼキ・チェリクが攻め込んでペナルティエリアの中で倒されるが、VARの結果、PKは与えられなかった。縦パスを攻撃の軸とするリールは42分にタテパスを受けたバンバがペナルティエリア内に突入、これをセビリアのトーマス・ディレイニーが倒してしまう。VARの結果、PKとなり、デビッドが決めてリールは同点に追いついた。
 後半に入ると、リールは見違えるようなチームになり、セビリアに波状攻撃を仕掛ける。51分のチェリクは右サイドからシュート、左サイドのポストに当たり、ボールが跳ね返る。これをイコネが待ってました、とばかりに蹴り込んでリールは逆転する。その後、試合は荒れ気味となり、両チームの選手に次々とイエローカードが差し出されたが、試合はリールがリードを保って、2-1と勝利する。チャンピオンズリーグでの9年ぶりの勝利でリールは2位に浮上し、15年ぶりの決勝トーナメントも見えてきたのである。(続く)

このページのTOPへ