第2908回 中盤戦を迎えたチャンピオンズリーグ (1) リール、チャンピオンズリーグで10戦連続未勝利

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■夏時間と冬時間の切り替わり時期に行われる中盤戦

 今年は10月31日の日曜日、欧州では夏時間が終了した。サマータイムが終わると日没時間が一気に早くなり、冬の到来を感じさせる。この夏時間と冬時間の切り替わりの前後に行われるのが欧州カップの第3節と第4節である。チャンピオンズリーグもヨーロッパリーグも第3節と第4節は会場を入れ替えて同じ相手と戦う。同じ相手に連勝して一気に終盤戦に向けて優位に立つケースもあれば、逆にここで連敗して失速することもあり、流れが変わってしまう可能性の大きいのが中盤戦である。同じ相手と連戦するとは言ってもホームとアウエーが入れ替わるとともに、冒頭で述べたように第1戦となる第3節は夏時間でまだ日没から間もない時間にキックオフされるのに比べ、第2戦となる第4節は日がとっぷりと暮れた時間帯のキックオフとなる。第3節で不本意な結果となったチームにとってはまさに暗黒の中での試合となる。
 したがって、第3節をホームで戦うのであれば勝利、アウエーの試合であっても引き分けておきたい。
 フランス勢はグループAのパリサンジェルマンはドイツのRBライプチヒ、グループGのリールはスペインのセビリアが中盤戦の相手である。

■スペインで第4の勢力であるセビリア

 リールは10月20日にホームにセビリアを迎えた。セビリアは第2シードであるが、このグループGの中で最も有力視されるチームである。スペインリーグではマドリッドの2チーム、バルセロナに次ぎ、2年連続で4位である。国内リーグ優勝は1度しかないが、ヨーロッパリーグではこれまでに6回の優勝を誇る。ただし、今季のチャンピオンズリーグではこれまで2引き分けである。
 セビリアのキープレーヤーは左サイドのFWを務めるルーカス・オカンポスである。アルゼンチン代表であり、モナコに3シーズン、マルセイユに4シーズン在籍し、セビリアに移籍した2年前は14得点をあげたが、昨年は5点にとどまった。さらに負傷もあり、南米選手権のメンバーからも外れてしまった。このリール戦で出場のチャンスをつかみ、復活への糸口としたい。オカンポス以外にフランスのクラブの所属していた選手が2人先発、ナントから移籍したジエゴ・カルロス、マルセイユに所属していたカリム・レキクである。なお、ボルドーから移籍したフランス代表のジュール・クンデはメンバーから外れている。

■チャンピオンズリーグでなかなか勝てないリール

 リールは第1節でドイツのヴォルフスブルクとホームでスコアレスドロー、第2節はオーストリアのRBザルツブルクに1-2と敗れており、チャンピオンズリーグでの連続未勝利は9になってしまった。昨季のリーグチャンピオンもこの時点ではリーグ11位と中位をさまよっているが、ピエール・モーロワ競技場には9月に行われたヴォルフスブルク戦とほぼ同じ3万4000人の観衆が集まった。

■セビリアにボールを支配され、かろうじてスコアレスドロー

 この試合もリールにとっては厳しいものとなった。これまでの2試合でのリールの課題はシュートの精度を欠いたことによる得点力不足である。ヴォルフスブルク戦は内容的には支配しながら得点をあげることができず、RBザルツブルク戦の得点はブラク・イルマズのFKからによるものであった。
 リールは開始早々にジョナタン・バンバが果敢にロングシュートするなど、期待を抱かせたが、その後は次第にボールを支配されてしまう。しかしながら、前半は5本のシュートを放ち、セビリアの8本に比べて少ないものの、5本中2本は枠の中にシュートを放った。
 後半に入っても、セビリアのボール支配率は高いままで、リールは攻撃のチャンスをつかめないままに時間が過ぎて行く。両チームとも次々と選手交代を試みるが、なかなか得点にはつながらない。リールは劣勢の試合をスコアレスドローに持ち込んだが、チャンピオンズリーグでの9年ぶりの勝利はならず、10戦連続未勝利、特にホームでは通算21戦してわずかに3勝しかしていなのである。(続く)

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