第2982回 決勝トーナメントで苦戦するフランス勢(1) ベスト16決定戦を勝ち抜いたマルセイユ

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■今季の成績だけであれば欧州でトップのフランス勢

 2月から3月にかけてチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグというUEFAが主催する大会の決勝トーナメントが行われた。
 今季の欧州カップにフランス勢は6チームが参戦、そのすべてのチームが決勝トーナメントに進出し、グループリーグを終えた時点で、UEFAランキングについては5位のままであったが、今季の成績だけであれば、フランスはオランダとイングランドを僅差で押さえて首位となった。フランスがこれだけの成績を残したのは2016-17シーズン以来のことであり、5年前にはチャンピオンズリーグでモナコ、ヨーロッパリーグでリヨンがそれぞれ準決勝に進出し、今季はそれ以上の成績を残したいところである。
 フランス勢で最初に登場したパリサンジェルマンはレアル・マドリッド(スペイン)と対戦した。先鋒の試合がいきなり大将戦となり、逆転負けを喫したことは、本連載第2974回と第2975回で紹介したが、今回からはそれ以外の5チームの戦いについて紹介しよう。

■今季から導入された首位通過のチームのベスト8決定戦からの参戦

 今季からは新たなヨーロッパカンファレンスリーグが始まるとともに、過密スケジュールを避ける日程となっている。この動きの中でグループリーグの成績によって決勝トーナメントにベスト8決定戦から参戦するチームと、ベスト16決定戦から参戦するチームに分けられたことである。ヨーロッパリーグとヨーロッパカンファレンスリーグのグループリーグで首位通過したチームは決勝トーナメントではベスト8決定戦から参戦する。逆にグループリーグで下位通過したチームがワンランク下の大会の決勝トーナメントに転戦する際にベスト16決定戦から参戦することになった。昨年までもチャンピオンズリーグのグループリーグ3位のチームがヨーロッパリーグの決勝トーナメントの初戦であるベスト16決定戦に転戦していたが、今季はヨーロッパリーグのグループリーグで首位突破したチームはベスト8決定戦から参戦、2位のチームはチャンピオンズリーグの3位チームとともにベスト16決定戦から戦うことになる。これと同様の大会規定がヨーロッパリーグとヨーロッパカンファレンスリーグにも適用される。

■ヨーロッパカンファレンスリーグのベスト16決定戦でカラバフと対戦するマルセイユ

 ヨーロッパリーグのグループリーグで3位になったマルセイユはヨーロッパカンファレンスリーグのベスト16決定戦に回ることとなった。
 マルセイユはフランス勢ではパリサンジェルマンの次に登場、2月17日から決勝トーナメントを戦う。マルセイユの相手はアゼルバイジャンのカラバフである。カラバフは昨季のリーグ戦は2位となったが、それまでは7シーズン連続で優勝をしてきた。優勝を逃したため、新設されたヨーロッパカンファレンスリーグの予備戦から出場し、予備戦を勝ち抜いてグループリーグを戦ったが、スイスのバーゼルに及ばず2位になり、ベスト16決定戦から決勝トーナメントを戦う。昨年の雪辱を果たすべく、国内リーグでは2位に勝ち点10の差をつけて独走している。
 一方のマルセイユはフランスカップでニースとの南仏対決で1-4と大敗してしまい、残るタイトルは国内リーグとこのヨーロッパカンファレンスリーグだけである。国内リーグは2位であるが、パリサンジェルマンに大きく差を付けられている。

■2戦とも勝利したマルセイユ、ベスト16入り

 ビッグクラブとの対戦でないにも関わらず、平日の夜のベロドロームには2万6000人のファンが集まった。マルセイユはボールを支配され、きわどいシュートを放たれ、不安な序盤であった。しかし、次第にリズムを取り戻し、41分にはアルカディウシュ・ミリクがCKをヘディングで決めて先制する。さらにミリクは44分にも追加点を決め、マルセイユはいい時間帯にリードを広げた。
 カラバフは終盤の86分に1点を返し、追い上げるが、点差をつけて勝利したいマルセイユはアディショナルタイムの92分にペナルティエリア内でクロスをあげ、カラバフの選手がハンドしたが、ディミトリ・パイエにボールが渡り、パイエがゴールを決め3-1と先勝した。
 アウエーの第2戦は1週間後の24日に行われた。週末に行われたリーグ戦でマルセイユは今季昇格したばかりのクレルモンにホームで0-2で敗れるという取りこぼしをし、アゼルバイジャンのバクーで戦うイレブンをマルセイユに残ったファンは不安な気持ちで勝利を祈る。しかし、心配は無用であった。マルセイユは12分にパペ・ゲイエが先制し、終盤の77分にマテオ・ゲンドウジが追加点、そしてアディショナルタイムにはコンラッド・ドラフエントが3点目を入れて、連勝し、他の5チームと同じベスト16に残ったのである。(続く)

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