第2998回 リヨン、ウェストハムに準々決勝で敗れる(3) 数的優位になり攻め続けたリヨン、第1戦はドロー

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■前半アディショナルタイムに退場者を出したウェストハム

 4月7日21時、イングランドのロンドンスタジアムでヨーロッパリーグ準々決勝のウェストハム-リヨンの第1戦がキックオフされた。決勝トーナメントとあってロンドンスタジアムは6万観衆が詰めかける。リヨンはこの時点でリーグ9位、一方のウェストハムはリーグ6位である。
 リヨンのキックオフで始まった試合、アウエーのリヨンが優位に試合を進める。ボール支配率も陣地もリヨンが優位であり、10分にはムーサ・ダンベレがウェストハムのゴールを襲う。また、前回の本連載で紹介したタンギ・エンドンベレも昨年秋にこのスタジアムで敗れた雪辱を晴らすべく、シュートを放つ。一方のウェストハムも16分にリヨンの19歳のサイドDFのマロ・グストの背後にパスを出し、サイード・ベンラーマがシュート、これをリヨンのGKアントニー・ロペスは両手でパンチングして防いだ。次第にウェストハムが盛り返していくかに見えた。
 ところが、前半のアディショナルタイム、リヨンはダンベレがボールを持ってペナルティエリアに入ろうとしたところを、ウェストハムのサイドDFのアーロン・クレスウェルがタックルする。決定的な得点機の阻止ということでドイツ人の主審はレッドカードを提示した。ウェストハムは残り45分以上を10人で戦わなくてはならなくなった。そしてこの反則でリヨンはFKを獲得する。エメルソンが23メートルの位置からウェストハムの臙脂と水色の壁に立ち向かう。エメルソンのシュートは壁に当たり、CKとなり、リヨンはなおもチャンスが続くが、前半は得点を奪えずに、0-0で折り返した。

■自陣ゴール前にくぎ付けとなったホームのウェストハムが先制点

 さて後半、もともと試合を優勢に進め、数的優位に立ったリヨンが立ち上がりから攻め続ける。ホームのウェストハムは自陣30メートル以内にブロックを作り守勢一方となる。リヨンのGKをDF2人以外のほぼ20人のプレーヤーがウェストハムのペナルティエリア近辺に位置するという一方的な試合となった。
 しかし、サッカーというのはわからないスポーツである。52分にリヨンは自陣でグストがボールを失う。ウェストハムはパブロ・フォルナルスがホールを持ち込んでゴール前に近づいたが、リヨンのストッパーのジェローム・ボアテングに阻まれる。ところがボアテングもまたコントロールミスをして再びボールはウェストハムに、ゴール前でジャロッド・ボーウェンがシュート、ボアテングとアントニー・ロペスがブロックしようとしたが及ばず、まさかの先制点となり、ロンドンスタジアムのファンは歓喜する。

■選手交代が功を奏したリヨン、同点に追いつく

 先制を許したリヨンは攻め続けるが、ゴールが遠い。64分にはストッパーのボアテングに代えてFWのカール・トコ・エカンビを投入する。同時にMFのロマン・フェーブルに代えてFWのマテウス・テテをピッチに送る。ブラジル人のテテはこの試合の直前に行われたリーグ戦のアンジェ戦ではゴールを決めている。リヨンの首脳陣のメッセージは明確である。得点をあげることが期待されている。この交代が功を奏す。64分には交代出場したばかりで右サイドにいるテテにエンドンベレがパス、テテは強いグラウンダーでクロスを入れる。これをウェストハムのGKアルフォンス・アレオラがクリアしたものの、クリアボールはエンドンベレのところへ、1月までプレミアリーグでプレーしていたエンドンベレは右足で強烈なシュート、リヨンは同点に追いついた。

■一方的に攻め込んだリヨン、不満の残るアウエーでのドロー

 その後もウェストハムの選手は自陣ゴール前にくぎ付けとなる。リヨンは攻め続けるが、なかなか枠内のシュートが飛ばない。試合の終盤にファンがピッチの中に入り込んだこともあり、後半のアディショナルタイムは8分と表示された。しかし、リヨンは23本のシュートを放ちながらも、枠内はわずか4本のみというシュートの精度の悪さが響き、1-1のドローに終わる。アウエーの第1戦で引き分けは結果だけ見れば上出来かもしれないが、試合内容を考えれば、勝ちたいところであった。(続く)

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