第3053回 UEFAランキングのライバル、ポルトガルとオランダ

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■オランダのチームとの直接対決に敗れたモナコ

 シーズンを迎え、国内リーグが各国とも始まったが、欧州カップの予備戦、プレーオフもその合間に行われている。本連載では第3046回と第3051回でチャンピオンズリーグの予備戦3回戦でモナコがオランダのPSVアイントホーフェンに敗れたが、この敗戦はフランスサッカー界に重く受け止められた。敗れたモナコはヨーロッパリーグに転戦するが、勝ち抜いたとしてもプレーオフが待っており、勝てばようやくチャンピオンズリーグの本戦にたどり着くが、敗れた場合もヨーロッパリーグに転戦する。モナコが参戦した予備戦3回戦に出場した強豪リーグのチームチャンピオンズリーグまたはヨーロッパリーグの本戦のチケットが確保されているが、確率論的には4チームのうち1チームだけがチャンピオンズリーグ、残りの3チームは予備戦3回戦の勝敗にかかわらずヨーロッパリーグを戦うことになる。
 今回の敗戦が重く受け止められているのは、モナコがチャンピオンズリーグではなく、ヨーロッパリーグを戦うことではない。論点はモナコがオランダのチームに敗れたことである。

■過去5シーズンの成績で算出されるUEFAランキング

 フランスリーグのUEFAランキングはこのところ5位を維持している。このランキングに従ってチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグの出場チーム数が割り当てられるが、4位と5位の間には大きな差がある。1位から4位までのリーグからは4チームが本戦に出場できるが、5位のフランスからは本戦には2チーム、そして予備戦3回戦に1チームが出場する。リーグで3位、4位になったチームにとっては大きな違いである。
 一方、5位と6位のリーグを比較すると、チャンピオンズリーグに関しては同条件であるが、ヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグの出場枠に違いが出てくる。そして7位以下は本戦から出場できるのは1チームだけとなる。
 2022-23シーズンの欧州カップのチーム数割り当てとなるUEFAランキングは2016-17シーズンから2020-21シーズンまでの5シーズンの成績で計算されるが、1位はイングランド、以下スペイン、イタリア、ドイツとなり、5位のフランスの次は6位ポルトガル、7位オランダとなっている。

■5位のフランスを追う6位ポルトガル、7位オランダ

 2022-23シーズンの成績は2024-25シーズン以降のチームの割り当てに影響するが、2024-25シーズンの割り当てには2017-18シーズンの成績がカウントされない。この2017-18シーズンの成績が悪いのがポルトガルとオランダなのである。今季、ポルトガルやオランダのチームの成績が良いとフランスは5位の座が危なくなる。したがって、オランダのチームとの直接対決で敗れたことは痛手なのである。

■モナコの敗戦により、ポルトガル、オランダに肉薄されたフランス

 UEFAランキング4位までのリーグのチームにはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグには本戦からしか出場しないが、5位以下のリーグのチームはプレーオフ以下から出場するチームもあり、すでに戦いが始まっている。
 プレーオフ、予備戦を戦っているチームはフランスはモナコ(チャンピオンズリーグ予備戦3回戦)、ニース(ヨーロッパカンファレンスリーグプレーオフ)、ポルトガルはベンフィカ(チャンピオンズリーグ予備戦3回戦)、ジル・ビテンセ(ヨーロッパカンファレンスリーグ予備戦3回戦)、ギマラエス(ヨーロッパカンファレンスリーグ予備戦2回戦)、オランダはPSVアイントホーフェン(チャンピオンズリーグ予備戦3回戦)、トゥウェンテ(ヨーロッパカンファレンスリーグ予備戦3回戦)、AZアルクマール(ヨーロッパカンファレンスリーグ予備戦2回戦)と出場している。
 予備戦3回戦を終えた時点でベンフィカ、ジル・ビセンテ、PSVアイントホーフェン、トゥウェンテ、AZアルクマールが勝ち抜いており、モナコとギマラエスだけが敗れている。UEFAランキングでフランスはポルトガル、オランダに肉薄されている。
 8月中旬にプレーオフが行われ、出場チームが決まるが、UEFAランキングの5位争いも目が離せない。(続く)

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