第3079回 中盤戦を迎えたチャンピオンズリーグ(5) 4回目の対戦となるパリサンジェルマンとベンフィカ

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■唯一の全勝対決となったベンフィカ-パリサンジェルマン戦

 ポルトガルの三強の一角にして、最高の実績を誇るベンフィカ、昨季の国内リーグでは2位と不本意な結果であったが、チャンピオンズリーグには予備戦3回戦、プレーオフを勝ち抜いて本戦に出場した。グループリーグでは連勝して中盤戦を迎え、パリサンジェルマンとの全勝対決となる。今年のグループリーグの中で中盤戦が全勝対決となったのはこのカードだけである。昨年もグループCのアヤックス(オランダ)とボルシア・ドルトムント(ドイツ)が中盤戦で全勝対決を迎えたが、ここで連勝したアヤックスはそのまま6連勝でグループ首位突破を果たしたのに対し、連敗したボルシア・ドルトムントはグループ3位に沈みヨーロッパリーグに転戦している。したがって、連勝スタートしたチームであっても中盤戦で勝ち点を失うと一気に失速することになる。

■カタール資本になる前の2回の対戦はベンフィカが制す

 パリサンジェルマンとベンフィカ、両国を代表するチーム同士の対戦であるが、これまでに欧州カップでは3たび(6試合)対戦している。初めの2回はチャンピオンズリーグ以外での対戦であり、パリサンジェルマンがカタール資本になる前のことである。
 最初の対戦は2006-07シーズンのUEFAカップのベスト8決定戦、この時のパリサンジェルマンの中心選手は主将であり、得点源であるパウレタであった。ホームの第1戦、アウエーの第2戦ともパウレタはゴールをあげたものの、第1戦は2-1、第2戦は1-3と1勝1敗、2試合通算得点でベンフィカが初対決を制す。
 2度目の顔合わせは2010-11シーズンのヨーロッパリーグ、この時もベスト8決定戦であった。ベンフィカはこのシーズンはチャンピオンズリーグに出場しており、グループリーグで2勝4敗という成績であったが3位になり、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントに転戦してきた。決勝トーナメント1回戦ではグループリーグを首位通過したシュツットガルト(ドイツ)を下す。ベラルーシのBATEを下したパリサンジェルマンはリスボンでの第1戦は先制するが、1-2と逆転負けし、パリでの第2戦は逆に先制され、同点に追いつくにとどまり、またもベンフィカに敗れた。なお、この大会はポルトガル勢が大活躍、ベスト4のうち3チームがポルトガルのチームで、ポルトガル勢同士の決勝はポルトがブラガを下した。

■チャンピオンズリーグでの唯一の対戦となった2013-14シーズンのグループリーグ

 そして唯一のチャンピオンズリーグでの対戦が2013-14シーズンである。前年の国内リーグでパリサンジェルマンはカタール資本となってから最初の優勝を果たし、チャンピオンズリーグに出場する。グループCでは、ポルトガルリーグで2位となったベンフィカと対戦する。
 第2節をパリ、第6節をリスボンで戦ったが、パリでの試合はパリサンジェルマンが3-0と勝利する。パリサンジェルマンは好調で第5節を終えた時点で首位突破を確定させた。最終節はリスボンでベンフィカとパリサンジェルマンが対戦、決勝トーナメント進出の可能性の残っていたベンフィカは、意地を見せて2-1と勝利したが、2位争いではギリシャのオリンピアコスに競り負けて、3位となり、ヨーロッパリーグに転戦した。

■パルク・デ・プランスに大挙するパリ在住のポルトガル人

 このようにこれまでの3度の対戦を振り返ると、カタール資本になる前はベンフィカが優勢、カタール資本になってからはパリサンジェルマンが優勢であるが、注目すべきは観客数である。リスボンではルス競技場、パリではパルク・デ・プランスであるが、パルク・デ・プランスの試合はパリサンジェルマンがそれほど強いチームでなかった時代の試合も満員の観衆が集まっている。これはパリならびにその周辺に多く住むポルトガル移民がパルク・デ・プランスに大挙し、パリの試合もホームゲームにしてしまう。今回の対戦は第3節がリスボンで行われ、第4節はパリでの開催となる。パリサンジェルマンとしては、リスボンでの試合でベンフィカを波に乗せないことが肝心であろう。(続く)

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