第3154回 ヨーロッパリーグのフランス勢の戦い (1) 27年ぶりの対戦となるナント-ユベントス戦

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■ヨーロッパリーグのグループリーグで2位となったフランス勢3チーム

 前回までの本連載ではチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出したパリサンジェルマンがバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)とのホームの第1戦で敗れたことを紹介したが、今回からはヨーロッパリーグの決勝トーナメントを戦うフランス勢3チームについて紹介したい。
 まず、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントはヨーロッパリーグのグループリーグで2位までに入ったチームとチャンピオンズリーグのグループリーグの3位チームで争われるが、ヨーロッパリーグのグループリーグを首位通過したチームは決勝トーナメントの1回戦(ベスト8決定戦)から参戦するが、グループリーグ2位となった8チームとチャンピオンズリーグから転戦してきた8チームはプレーオフ(ベスト16決定戦)を戦わなくてはならない。
 フランス勢についてはヨーロッパリーグにはモナコ、レンヌ、ナントが出場し、3チームとも2位通過であったことは本連載第3091回と第3092回で紹介した通りである。2位通過は試合数が多くなるだけではなく、プレーオフでチャンピオンズリーグから転戦してきたチームと戦わなくてはならない。
 レンヌはシャフタール・ドネツク(ウクライナ)、ナントはユベントス(イタリア)、モナコはバイエル・レバークーゼン(ドイツ)と対戦することになった。

■2年連続でリーグ優勝できず、昨季は無冠に終わったユベントス

 この中で最も注目を集めたのはユベントス-ナント戦であろう。対戦相手のユベントスはイタリアリーグで2011-12シーズンから2019-20シーズンまで9連覇を記録したが、一昨季、昨季と連続して4位に終わっている。リーグ4位にもチャンピオンズリーグの出場権は与えられるが、優勝チームではないので第1シードを優勝したACミランに譲り、第2シードとしてグループリーグに臨んだ。パリサンジェルマンと同じグループHに入り、難敵かと思われたが、第1節でパリサンジェルマンに敗れ、1勝5敗という惨敗、辛うじて同勝ち点のマッカビ・ハイファ(イスラエル)を押さえて3位に入り、ヨーロッパリーグに転戦してきた。昨季は11年ぶりに無冠に終わり、今季も不正会計により勝ち点15を剥奪されており、リーグ中位である。もしも勝ち点を剥奪されていなくても首位のナポリとは勝ち点15の差がある。イタリアの名門にとっては準決勝進出を決めているイタリアカップとこのヨーロッパリーグだけが今季獲得可能なタイトルである。

■21シーズンぶりに欧州カップに戻ってきたナント

 そして、このユベントス戦はナントにとっても意味深い。元祖カナリア軍団としてその名をとどろかせたのは20世紀のことである。ナントが最後に欧州カップを戦ったのは、UEFAカップの予備戦であったインタートトを除くと2001-02シーズンのチャンピオンズリーグが最後である。実に21季ぶりの欧州カップ出場にオールドファンは歓喜した。そしてグループリーグでは開幕戦のホームでのオリンピアコス(ギリシャ)は後半アディショナルタイムの決勝点で勝利をあげたが、第2節から3試合連続で完封負け、欧州の壁は高いと思われたが、最後の2戦で連勝し、2位を確保し、決勝トーナメントに進出した。

■ナントの最高成績となった1996年のチャンピオンズリーグ準決勝

 これまでのナントの欧州での最高成績は1980年のカップウィナーズカップと1996年のチャンピオンズリーグの準決勝進出である。この1996年春の準決勝で戦った相手がユベントスなのである。トリノでのアウエーの第1戦を0-2と落としたナントは第2戦、ホームのボージョワール競技場での戦いに希望を託す。ナントは2度ユベントスに先行されながら、エリック・デクロワ、ジャフェ・エンドラム、フランク・ルヌーの得点で3点をあげ、3-2とホームで勝利はしたが、合計得点で及ばず、決勝進出はならなかった。決勝に進出したユベントスは決勝でもアヤックス・アムステルダム(オランダ)をPK戦で下して2回目の優勝を果たした。ナントのオールドファンは王者を瀬戸際まで追い込んだ27年前の戦いを昨日のように覚えているのである。(続く)

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