第3153回 パリサンジェルマン、バイエルン・ミュンヘンに先勝を許す (3) またもキングスレー・コマンが決勝点

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■パリサンジェルマンが優位な成績を残すバイエルン・ミュンヘン戦

 満員の観衆で埋まったパルク・デ・プランス、オトゥーユ側のゴール裏にはワンピースのルフィの図柄の入った巨大な横断幕が掲げられる。
 バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)のキックオフで試合が始まった。このカードは新型コロナウイルスの感染が始まった2020年、チャンピオンズリーグの準々決勝以降をポルトガルのリスボンで集中開催した時の決勝と同じカードである。その時はバイエルン・ミュンヘンが1-0と勝利し優勝を果たしたが、その翌季にはチャンピオンズリーグの準々決勝で対戦している。本連載の第2806回から第2810回で紹介した通り、この時はミュンヘンで第1戦が行われ、パリサンジェルマンが3-2と勝利し、ホームの第2戦では逆にバイエルン・ミュンヘンが1-0と勝利した。2試合通算成績は1勝1敗で、合計スコアは3-3となったが、当時はアウエーゴール2倍ルールが存在し、パリサンジェルマンが準決勝に進出した。
 パリサンジェルマンは欧州のビッグクラブの厚い壁に跳ね返されてきたが、ビッグクラブの中でバイエルン・ミュンヘンとの過去の対戦成績は相性が良く、過去11戦して6勝5敗と勝ち越している。パリサンジェルマンが欧州カップで10戦以上戦っているチームの中で唯一勝ち越しているのがこのバイエルン・ミュンヘンなのである。しかし、2020年のリスボンでの決勝の敗戦がファンにとっては忘れられない。

■パリサンジェルマンにも所属したエリック・シュポ・モティンとキングスレー・コマン

 ただ、前回の対戦ではパリでバイエルン・ミュンヘンが勝利している。この日も立ち上がりから試合を支配したのはバイエルン・ミュンヘンであった。27秒にこの試合最初のシュートを放ったのはエリック・シュポ・モティン、3年前のチャンピオンズリーグ決勝で対戦した直後にパリサンジェルマンからバイエルン・ミュンヘンに移籍した選手である。でその決勝で唯一の得点をあげたキングスレー・コマンもかつてパリサンジェルマンに所属した選手である。また、バンジャマン・パバール、ダヨ・ウパメカノもコマン同様フランス代表である。

■バイエルン・ミュンヘンが試合を支配した前半

 試合はバイエルン・ミュンヘンがボールを支配し、パリサンジェルマンは守備に追われる展開となった。バイエルン・ミュンヘンが攻め続ける。しかし、パリサンジェルマンのマルキーニョスとセルヒオ・ラモスを中心とした守備は固く、バイエルン・ミュンヘンにシュートを打たせても得点は許さない。ただ、パリサンジェルマンは中盤の選手も守備に追われ、攻撃を組み立てることができず、前線のリオネル・メッシ、ネイマールは孤立してしまう。結局前半のパリサンジェルマンは1本もシュートを放つことができなかった。
 攻め続けたバイエルン・ミュンヘンも最初の枠内シュートは25分のコマンまで待たなくてはならなかった。前半だけで10本のシュートを放ったバイエルン・ミュンヘンもノースコアで後半を迎える。

■バイエルン・ミュンヘンが先制、キリアン・ムバッペ投入も同点に追いつけず

 パリサンジェルマンは事態の打開を図るため、後半開始時にアクラフ・ハキミを下げて、プレスネル・キンペンベを投入し、3バックとし、キリアン・ムバッペがウォーミングアップを開始した。ところがピッチの中ではバイエルン・ミュンヘンがパリサンジェルマンのゴール前でボールを左右に動かし、最後はコマンがボレーシュートで先制点をあげた。古巣相手ということでゴール後のパフォーマンスはせずに試合が再開。
 パリサンジェルマンも57分にムバッペを投入、負傷明けとは思えないような動きを見せる。ここから試合は一気にオープンな攻め合いとなる。攻勢に出たパリサンジェルマンに対し、バイエルン・ミュンヘンはシュポ・モティンやパバールがゴールに迫る。そして、74分にはムバッペのシュートをゾマーがセーブ、こぼれたところをネイマールが2本立て続けにシュート、さらにこぼれたボールをムバッペがシュートし、ゴールネットを揺らしたが、オフサイド。さらに82分にもネイマールからのパスをムバッペがゴールに叩き込んだが、ファーサイドのヌーノ・メンデスがオフサイドの位置におり、ノーゴール。
 結局、パリサンジェルマンは0-1で敗れ、2011年にカタール資本となってから初めて3連敗を喫したのである。(この項、終わり)

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