第3156回 ヨーロッパリーグのフランス勢の戦い (3) アンヘル・ディマリアがハットトリック、ナント敗退

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■第1戦は上々の成績だったヨーロッパリーグ2位通過のフランス勢3チーム

 ヨーロッパリーグの決勝トーナメントのプレーオフ、グループリーグを2位通過したフランス勢はチャンピオンズリーグのグループリーグで3位のチームと第1戦をアウエーで戦った。2月16日に行われた試合でフランス勢は1勝1分1敗とまずまずの成績を残した。
 ヨーロッパリーグの決勝トーナメントにプレーオフが導入されたのは昨季からである。新方式初年のプレーオフにはフランス勢は出場しなかったので、取り上げなかったが、プレーオフの勝敗はヨーロッパリーグ2位組3勝、チャンピオンズリーグ3位組5勝とチャンピオンズリーグ勢が優勢であった。チャンピオンズリーグ勢は第2戦をアウエーで戦うことを考えれば、さらにチャンピオンズリーグ勢の力が勝っていると言えるであろう。昨季のプレーオフ第1戦におけるヨーロッパリーグ2位組の成績は2勝2分4敗、今季もフランス勢以外5チームの成績は3分2敗であるから、フランス勢3チームの成績はよく、プレーオフ勝利を期待するファンの数は少なくなかった。

■ナントでプロデビュー、ユベントスで選手と監督を務めたディディエ・デシャン

 しかし、2月23日にホームで行われた第2戦、3試合ともフランスのファンにとっては残念な結果になってしまった。フランス勢はナントとモナコが18時45分にキックオフを迎えた。
 第1戦でユベントス(イタリア)と引き分けたナントの本拠地ボージョワール競技場は強い雨の中、3万4000人のファンで埋まり、発煙筒が焚かれるなど、異様な雰囲気に包まれる。スタンドにはフランス代表監督のディディエ・デシャンの姿も見える。デシャンはナントでプロデビューを果たし、その後、ユベントスでも活躍した。27年前に両チームが対戦した際はユベントスの一員としてプレーしている。そして2006年から2007年にかけてユベントスの監督も務めている。デシャンの監督就任前年に起こした不正疑惑でユベントスは2部に相当するセリエBを戦ったが、デシャンは勝ち点剥奪というハンディのある中、1年で1部復帰を果たした。現在のユベントスも勝ち点を剥奪された中での戦いであり、デシャンには様々な想いが交錯する中での観戦となった。

■メンバーを大幅に変えたユベントス、アンヘル・ディマリアが先制点

 両チームは1週間前にはトリノで引き分けたが、この2試合の間の週末に行われたリーグ戦、ナントはRCランスに1-3と敗れ、ユベントスはスパッツァに2-0と勝利している。ユベントスは第1戦とは大きくメンバーを変え、3バックはアレクシス・サンドロ、ブレメール、ダニーロと全員ブラジル人で固めてきた。攻撃陣も1トップにモイス・キーンを起用、トップ下にアンヘル・ディマリアとパリサンジェルマン出身が並ぶ。第1戦で得点を記録したドゥシャン・ブラホビッチはベンチ、アシストをしたフェデリコ・キエーザはメンバー外、ポール・ポグバもまだ復帰していない。
 迎え撃つナントは1トップにアンディ・ドロールを起用し、第1戦で得点をあげたルドビック・ブラとのコンビネーションにかける。
 試合は立ち上がりからナントが積極的に攻めたが、5分に自陣でボールを奪われ、ユベントスでフランスのサッカーを最も知る男、アンヘル・ディマリアに先制点を決められてしまう。

■シュートをハンドで止められたディマリアがPK成功、後半にもヘディングで3点目

 なおもユベントスは攻め続け、17分、ディマリアのゴール前でのシュートに対し、ナントのニコラ・パロワが左手を使ってストップしてしまう。主審は一発退場を命じ、ユベントスにPKを与える。ワールドカップの決勝ではPKを蹴らなかったディマリアがゆっくりと決めて2-0となる。これで試合は決定してしまった。その後もユベントスは攻め続ける。
 1週間前に最高の試合を展開したナントはどこかへ消えてしまった。後半に入ってもユベントスが攻め続け、ナントのGKラフォンの動きだけが目立つ。好セーブを続けていたラフォンも79分にアレックス・サンドロのシュートをセーブしたが、ボールがディマリアのところに飛び、ヘディングで押し込まれる。ラフォンはボールに触ったものの、ゴールイン、ディマリアがハットトリックを決め、ナントは27年前の雪辱を果たすことができなかったのである。(続く)

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