第3183回 フランス勢最後の望み、ニース(3) 63年ぶりに欧州での準々決勝に進出

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■ディディエ・ディガール監督就任以来無敗のニース、第1戦に勝利

 UEFAインデックスでポルトガルとオランダに迫られているフランスの唯一かつ最後の砦としてニースはヨーロッパカンファレンスリーグの決勝トーナメント1回戦に臨む。モルドバのシェリフ・ティラスポリとの対戦となるが、第1戦は3月9日、モルドバの首都のキシナウで行われた。
 ニースを率いるのは36歳の青年監督のディディエ・ディガールである。GKのカスパー・シュマイケルと同じ年である。現役時代はニースで活躍したが、引退後はニースの育成機関の指導者となり、今年1月10日に暫定監督となった。就任以来、リーグ戦では6勝3分と負けなしである。ディガール監督は若手を積極的に起用し、リーグの順位も7位まで上昇してきた。好調なニースは前半アディショナルタイムの48分、月末の試合で代表入りすることとなる21歳のケフレン・テュラムからのクロスを18歳のアユブ・アムラウイが決め、この1点を守り切って先勝した。
 そして、第2戦は3月16日、ニースの本拠地アリアンツ・リビエラ競技場で行われた。第1戦と第2戦の間に行われたアウエーのナント戦は2たび先行したが、いずれも追いつかれ、2-2のドローに終わったが、ディガール監督は無敗記録を伸ばし、来季の欧州カップ出場を狙う勢いである。

■抜擢された若手が活躍するニース

 ニースは主将で守備の要であるダンテが、第1戦で警告を受け、第2戦は出場停止となる。代わって同ポジションで主将を務めたのが23歳のジャン・クレール・トディボである。トディボは190センチと長身のストッパーであり、月末には代表入りすることになる。若い逸材を積極的に起用しているディガール監督はチームとして結果を残すだけではなく、若手が代表スタッフの目に留まっている。古豪ニースからフランス代表に入るのはクリストフ・ジャレ以来5年ぶりのことである。

■第2戦も先手を取って連勝、63年ぶり3回目の欧州での準々決勝

 アリアンツ・リビエラ競技場には2万3000人のファンが集まった。ニースのキックオフで始まった試合、4分には早くもVARが登場する。シェリフ・ティラスポリはニースのテレム・モッフィのペナルティエリア内でのハンドを主張したが、逆にシェリフ・ティラスポリの選手のファウルという判定となる。先制点はニースであった。30分にテュラムが左サイドからシェリフ・ティラスポリの守備陣の裏にパスを通り、ガエタン・ラボルドが左足で決めた。その後もニースは攻め続けて前半を折り返す。
 後半の立ち上がりにトディボが負傷して倒れこむシーンがあり、ファンはヒヤリとしたが、戦線に復帰、53分には最前線のモッフィにパスを供給し、モッフィはパブロ・ロサリオとパス交換して最後は自らの左足でシュート、リーグ戦で15得点を奪っているモッフィはこの大会での初ゴールとなる。
 少なくとも3点が必要となったシェリフ・ティラスポリはその直後に1点を返すが、79分にニースはビラル・ブラヒミがシュート、跳ね返ったところを再びブラヒミが蹴りこんで3-1となった。試合はこのままニースが勝利し、ベスト8入りを果たした。
 これまでにニースが欧州カップでベスト8入りしたのは2回だけ、1957年と1960年のチャンピオンズカップだけである。63年ぶりの偉業達成に南仏の町は沸きあがったのである。ディガール監督就任以降、国内外で7勝4分と負けがない。

■フランスを追うポルトガル勢はベンフィカとスポルティングが勝ち残る

 そしてこのニースの勝利を喜んでいるのはニースの市民だけではない、今後のチャンピオンズリーグなどの出場枠を決めるUEFAインデックスは、ニースが勝ち抜いたことにより、5位のフランスには今後も加算されることになる。
 気になる6位のポルトガル勢と7位のオランダ勢であるが、ポルトガル勢はチャンピオンズリーグではベンフィカは準々決勝進出を決めていたが、ポルトは敗退、ヨーロッパリーグではスポルティングがアーセナル(イングランド)にPK勝ちしている。しかし、フランス勢にとって脅威なのは7位のオランダなのである。(続く)

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