第3184回 フランス勢最後の望み、ニース(4) 準々決勝の相手はバーゼル

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■フェイエノールトとAZアルクマールが残るオランダ勢

 欧州カップを戦う最後のフランス勢となったニース、これからは今後のフランス勢のチャンピオンズリーグなどの出場枠を決めるUEFAインデックスの獲得、そしてクラブ史上初めての欧州カップでの準決勝進出をかけて戦う。ニースがシェリフ・ティラスポリ(モルドバ)を破って8強に入った夜にチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグの8強が決定した。
 現在フランスのUEFAインデックスは5位、これを6位のポルトガルと7位のオランダが追い上げている。6位のポルトガルに関しては前回の本連載で紹介した通りチャンピオンズリーグのベンフィカとヨーロッパリーグのスポルティングが残っているが、7位のオランダはヨーロッパリーグのフェイエノールトとヨーロッパカンファレンスリーグのAZアルクマールの2チームが残っている。

■これまで2回の準々決勝はいずれもレアル・マドリッドに敗れる

 ニースの欧州カップでの準々決勝は1960年のチャンピオンズカップ以来63年ぶりのことである。黎明期のチャンピオンズカップには、フランスからスタッド・ド・ランス、ニース、サンテチエンヌが出場したが、好成績を残したのはスタッド・ド・ランス、ニースである。スタッド・ド・ランスはレアル・マドリッド(スペイン)に1956年と1959年の決勝で敗れているが、ニースも1957年と1960年の準々決勝でレアル・マドリッドに敗れている。特に1960年の準々決勝はニースはホームの第1戦で3-2と競り勝ったが、アウエーの第2戦で0-4と敗れ、2試合合計のスコアで敗退している。この大会でレアル・マドリッドが勝利をあげることができなかったのはこのニース戦だけであった。初期のチャンピオンズカップにおけるフランス勢というとどうしてもスタッド・ド・ランスが話題となるが、くじ運さえ恵まれていれば、ニースも同様の結果を残したはずである。

■パリサンジェルマンに敗れて無敗記録がストップしたニース

 これまで2回の準々決勝では敗れたニースであるが、今回の相手は当時のレアル・マドリッドほどのチームではない。さらに前回の本連載で紹介をした通り、今年初めに暫定監督のディディエ・ディガールが就任して以来、無敗を続ける。ヨーロッパカンファレンスリーグ1回戦のシェリフ・ティラスポリ戦を連勝で乗り切った後も国内リーグではロリアン、アンジェに連続して引き分け、リーグでの順位は8位となり、欧州カップ出場権の5位との勝ち点差は7である。ヨーロッパカンファレンスリーグの準々決勝第1戦の直前に行われたリーグ戦ではパリサンジェルマンに挑戦したが、リオネル・メッシ、セルヒオ・ラモスのゴールで0-2と敗れてしまい、ディガール監督にとっては初の黒星となった。

■昨年は1回戦でマルセイユに敗れたバーゼル

 連続試合無敗記録が12でストップしたニースであるが、クラブ史上3回目の準々決勝の対戦相手はスイスのバーゼルである。バーゼルは、昨季はリーグ2位、ニースより2つ前の段階の予備戦2回戦から勝ち抜いてきた。グループHではスロバン・ブラチスラバと勝ち点で並ぶが、直接対決の成績で2位にとどまり、決勝トーナメントはプレーオフから戦った。ヨーロッパリーグのグループリーグで3位となって転戦してきたトルコのトラブゾンスポルと対戦した。第1戦はトラブゾンスポル、第2戦はバーセルのホームゲームであり、バーゼルはアウエーの第1戦で0-1と敗れたが、ホームの第2戦で2-0と勝利、逆転で勝ち抜いた。
 バーゼルは昨年もヨーロッパカンファレンスリーグを戦い、決勝トーナメントの1回戦でマルセイユに連敗し、敗退している。準々決勝に進出したバーゼルは昨年を上回る成績を残している。バーゼルはこの時点でスイスリーグでは6位、昨年より順位は落ちているが、上位との差は小さい。ニース戦に勝利して国内でもラストスパートをかけたいところである。(続く)

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