第3291回 勝ち残りを決めるフランス勢 (3) 苦しい戦いとなったRCランスとパリサンジェルマン

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■終盤戦を迎える段階で中位のフランス勢2チーム

 前回と前々回の本連載ではヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグに出場したマルセイユ、レンヌ、トゥールーズ、リールがグループリーグで勝ち残りを決め、年が明けてもそれぞれの決勝トーナメントあるいはそのプレーオフへの進出を確定したことを紹介してきた。
 ところが、もっともプレステージの高いチャンピオンズリーグに出場したフランス勢は苦戦した。
 終盤戦を迎える時点でグループBのRCランスは3位、グループFのパリサンジェルマンも2位につけている。

■首位アーセナルと対戦したRCランス

 RCランスは11月29日に首位アーセナル(イングランド)とアウエーで対戦する。首位アーセナルは3勝1敗で勝ち点9、RCランスは1勝2分1敗で勝ち点5である。RCランスは勝利すればアーセナルに勝ち点1差に迫ることができる。逆にアーセナルは引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる。そしてアーセナルが勝利した場合はRCランスとの勝ち点差は7と広がり、アーセナルは首位を確定する。さらにこの試合の前に行われたもう1つの試合でPSVアイントホーフェン(オランダ)がセビリア(スペイン)に勝利したため、PSVアイントホーフェンとの直接対決で負け越しているRCランスは3位以下が確定してしまう。
 ランスで1-2と負けたアーセナルであるが、ホームでの勝利で決勝トーナメント進出の瞬間を見ようと6万近い観衆がエミレーツスタジアムに集まった。

■アーセナルに大敗を喫し3位以下が確定したRCランス

 何とか引き分け以上に持ち込みたかったRCランスであるが、前半で試合は決まってしまった。キックオフ直後から攻め込んだのはアーセナルであった。13分にカイ・ハバーツが今季のチャンピオンズリーグでの初ゴールを左足で決める。21分にはブカヨ・サカのパスをガブリエル・ジェズスが決めて追加点。23分には今度はサカが3点目を決める。日本のファンの皆様にとっては冨安健洋の活躍を楽しみにされていたであろうが、4点目と5点目は冨安がアシストを決めた。27分に冨安は前線にロングパス、このパスを受けたガブリエル・マルテネッリがRCランスの守備をかわしてシュート、そのままゴールに入る。さらにアディショナルタイムの46分には冨安は右サイドを駆け上がりクロス、これをマルティン・ウーデゴールが決めて5-0とする。
 大活躍の冨安はハーフタイムで交代し、アーセナルの攻撃は後半はいったん休止したが、それでも終盤にPKでジョルジーニョが加点する。RCランスは攻撃のチャンスはあったものの、ノーゴール。0-6で敗れたRCランスは3位以下が確定し、3位の座を死守すべく最終戦でセビリアと対戦する。

■後半アディショナルタイムのPKで追いついたパリサンジェルマン

 時間が前後したが、11月28日にパリサンジェルマンはホームにニューカッスル(イングランド)を迎えた。勝ち点1差のボルシア・ドルトムント(ドイツ)がACミラン(イタリア)とのアウエーゲームである。パリサンジェルマンにとってはこれがグループリーグで最後のホームゲーム、これまで2つのホームゲームはいずれも完封勝ちしている。この試合で勝利して首位奪還ということは現実的である。
 パリサンジェルマンは戦前の予想通り、試合を支配した。しかし、ニューカッスルは24分、パリサンジェルマンのペナルティエリア付近でパスを左右に回し、ミゲル・アルミロンが右45度の位置から強烈なシュート、これをパリサンジェルマンのGKジャンルイジ・ドンナルンマが前にはじく。このこぼれ球を狙っていたかのように走りこんできたのがアレクサンデル・イサクであった。イサクのシュートは見事にゴールネットを揺らし、ニューカッスルは今季のチャンピオンズリーグで初めてアウエーゲームで得点した。
 パリサンジェルマンはその後も攻め続けるが、ゴールが遠い。後半のアディショナルタイム98分、ウスマン・デンベレとペナルティエリア内で競り合ったティノ・リブラメントがハンドをVARの末とられる。キリアン・ムバッペがPKを成功させ、勝ち点1を獲得し、何とか2位を確保するにとどまった。(この項、終わり)

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